文法(256)

161
B1.1

助動詞: may

推量と許可の助動詞

彼がそこにいるかもしれない。

このボタンはなに?
説明

助動詞「may」の使い方

助動詞とは、動詞の前に置かれて動詞本来の意味を「助ける」働きをする単語のことです。英語の助動詞には maycanmust などがあります。ここでは may の用法を中心に、詳しく解説します。


1. 「may」の基本的な意味

(1) 可能性を表す


  • 「~かもしれない」という意味を表すときに使います。話し手が何かを予測したり、可能性を示唆するときなどに用いられます。

    例:


    • I may run tomorrow.

      (明日は走るかもしれない。)

    • She may be busy now.

      (彼女は今忙しいかもしれない。)


(2) 許可を表す


  • 「~してもよい」という許可の意味を表すときに使います。丁寧な表現として、May I ~? の形で許可を求める質問としてもよく使われます。

    例:


    • You may run in the park.

      (公園で走ってもよい。)

    • May I come in?

      (入ってもよろしいですか?)



2. 助動詞「may」の文法的特徴


  1. 後ろには動詞の原形が続く


    • may の後ろは必ず runcomego など、動詞の原形が来ます。

    • 例: You may start now.(もう始めてもよいですよ。)


  2. 主語によって形が変化しない


    • may は三人称単数(he, she, it)のときでも形が変わりません。

    • 例: He may run.(彼は走るかもしれない。)


  3. 時制によって直接の形の変化はしない


    • 過去表現をしたい場合はほかの表現(might)を使うなど、言い回しを変える必要があります。

    • 例: He said that he might run.(彼は走るかもしれないと言った。)



3. 「may」とよく比較される表現


  • can: 「~できる」「~してもよい」


    • can は「能力」を表すときに使われることが多く、「許可」を表す用法もありますが、may よりカジュアルな印象です。


  • might: 「~かもしれない」


    • mightmay よりも控えめな言い方で、可能性がさらに低い、またはより丁寧に響く場合に使います。



4. まとめ


  • 可能性:「~かもしれない」

  • 許可:「~してもよい」

という2つの主要な意味を持つのが助動詞 may です。文中で見かけたときには「話し手が何かを推測しているのか、それとも相手に許可を与えているのか」という点を意識すると、より適切な和訳や理解ができるようになります。

ぜひ、例文を作りながら練習してみてください。

162
B1.1

助動詞: ought to

「~すべきだ」「〜のはずである,〜するのは当然である」を表す助動詞

我々は勝つに決まっている。

このボタンはなに?
説明

助動詞: ought to とは

ought to は「~すべきだ」「~するのが当然だ」という意味を表す助動詞です。英語の助動詞の中でも、話し手自身の主観的な意見というよりは、客観的・一般的な判断や義務感を伝える際によく用いられます。たとえば「run(走る)」という動詞に ought to を付けると、次のようになります。


You ought to run every morning.

(あなたは毎朝走るべきだ。)


この文は、健康や習慣といった客観的な理由に基づいて「走るべきだ」と助言・提案をしているニュアンスがあります。


1. 助動詞とは?

英語の助動詞(modal verbs)は、動詞の前に付け加えて、主語の意志・義務・推量などを表す働きをします。代表的なものに can, may, must, should, will などがあり、ought to もその一つです。


2. ought toshould の違い


  • should: 「~したほうがよい」という、話し手の主観的な助言・提案を強調する場合に使われることが多いです。

    例)You should see a doctor.(医者に診てもらったほうがいいよ)


  • ought to: 「~するのは当然だ」「~すべきだ」といったより客観的な理由や一般的な判断を含意します。場合によっては「当然こうあるべきだ」というニュアンスがやや強くなります。

    例)You ought to see a doctor.(医者に診てもらうのが当然だよ)


ただし、日常会話では should のほうが頻繁に使われるため、ought to は少し格式ばった印象を与えることがあります。特にアメリカ英語では should のほうが圧倒的に一般的です。


3. 形のポイント


  1. 助動詞 + 主語 + 動詞の原形

    通常の助動詞の使い方と同様、ought to の後ろには動詞の原形を置きます。ただし、助動詞としての形は “ought to + 動詞の原形” となるため、to を挟む点に注意が必要です。

    例)She ought to study harder.(彼女はもっと一生懸命勉強すべきだ)


  2. 否定形は “ought not to + 動詞の原形”

    例)You ought not to smoke.(タバコを吸うべきではない)


  3. 疑問形はあまり一般的ではありませんが、用例としては “Ought we to leave now?”(今出発すべきでしょうか?)などと表現されることもあります。



4. ought to の実際の使われ方


  • 客観的な助言や提案

    例)You ought to read this book if you want to understand the topic better.

    (その話題をよりよく理解したいなら、この本を読むべきだよ)


  • 道徳的・倫理的な義務

    例)They ought to respect their elders.

    (彼らは年配の人たちを敬うべきだ)


  • 当然そうあるべき状況

    例)This ought to be enough time to finish the project.

    (そのプロジェクトを終わらせるには、これだけの時間があれば十分なはずだ)



5. まとめ


  • ought to は「~すべきだ」「~するのが当然だ」という意味の助動詞。

  • should と比べると、より客観的・一般的な判断や倫理的ニュアンスを示すことが多い。

  • 日常会話では頻度が低めで、比較的フォーマルな場面や書き言葉で使われる傾向がある。

英語学習においては、まず should をしっかり使いこなしながら、会話や文章の文脈で ought to を耳にしたら「客観的・一般的な義務・必要性を表す言い方なんだな」と理解できるようにしましょう。必要に応じて自分でも使ってみると、より幅広い表現が身につきます。

163
B1.1

助動詞: used to

「かつて~だった」を表す助動詞

彼らは以前私たちの隣に住んでいた。

このボタンはなに?
説明

以下では、「used to」の使い方と、「be used to ~ing」との違いをできるだけ詳しく解説します。


「used to」の意味と使い方

1. 過去の状態や習慣を表す

「used to + 動詞の原形」 は、「かつては~していた」「以前は~だった」という、過去の状態や習慣を表す表現です。現在はそうでない場合に用いられます。


  • 例文:


    • I used to run every morning.

      (私は昔、毎朝走っていました。今はそうではない。)

    • I used to live in New York.

      (私は以前はニューヨークに住んでいました。今は違う場所に住んでいる。)


2. 「would」との違い

「過去の習慣」を表す表現として「would」も使うことがありますが、以下のような違いがあります。


  • used to → 過去の状態・習慣の両方を表せる


    • 例: He used to be shy.(彼は以前は内気でした。)

    • 状態そのもの(shy であること)を表現するなら “used to” を使う。


  • would → 過去の反復的な行動(習慣)を表す


    • 例: He would often go fishing on Sundays.(彼はよく日曜日に釣りに行ったものだ。)

    • 状態(be shy など)は「would」では表しにくい。


3. 否定文・疑問文

「used to」を否定文や疑問文にする場合は、助動詞 “did” を用いて形を変えます。


  • 否定文:


    • I didn’t use to run every day.

      (私は毎日走っていたわけではありませんでした。)


  • 疑問文:


    • Did you use to live here?

      (あなたは以前、ここに住んでいたのですか?)


※ 話し言葉では “didn’t used to” と書かれることもありますが、文法的には “didn’t use to” のほうが formally correct とされます。


「be used to ~ing」との違い

「used to do ~」とよく似た表現に、「be used to ~ing」 があります。形は似ていますが、意味がまったく異なるので注意が必要です。


  • be used to ~ing = 「~に慣れている」


    • 例文:

    • I’m used to running every morning.

      (私は毎朝走ることに慣れています。)

    • She is used to living in a big city.

      (彼女は大都会に住むことに慣れています。)


この場合の “used” は「慣れている」を表し、 to の後には 動名詞 (~ing) が続きます。過去の習慣を表す「used to do ~」と混同しないようにしましょう。


まとめ


  • used to + 動詞の原形: 過去の状態・習慣を表し、今はそうではない。

    例: I used to drink coffee every morning.(以前は毎朝コーヒーを飲んでいた。)

  • be used to + 動名詞 (~ing): 「~に慣れている」。

    例: I’m used to drinking coffee every morning.(毎朝コーヒーを飲むことに慣れている。)

形は似ていますが、意味が異なるため、それぞれの用法と例文をしっかり押さえましょう。

164
B1.1

There have+過去分詞

「~(~の間)ある、(継続的に)~している」をあらわす表現

最近、奇妙な出来事がいくつか起こっています。

このボタンはなに?
説明

以下の文は、“There have + 過去分詞”をより詳しく説明するために修正・加筆したものです。参考にしてみてください。


「There have + 過去分詞」の意味と使い方

1. 構造と特徴


  • 「There is / are」構文現在完了(have + 過去分詞)にした形です。

  • 主語の位置に「There」が来るため、文の焦点は「存在」や「状況」に当たります。「主語が何かをした」というよりは、「何かが起きてきた・存在している」というニュアンスを表します。

2. 意味


  1. (一定期間)~がある / ~が存在している

    例: There have been many challenges this year.

    「今年は多くの課題が存在してきた(この一定期間ずっとあった)。」

  2. (継続的に)~している / ~されている状態が続いている

    例: There have been so many discussions about this.

    「これについて非常に多くの議論がなされ続けている。」

これらはいずれも「ある状態が過去から現在まで続いている」ことを強調したいときに使います。

3. “There have + 過去分詞” を使う場面


  • ある事象や物事が過去から継続して存在しているとき。

  • 特に、「最近までに~が起こってきた」「いままでに~がなされてきた」というニュアンスを与えたいとき。

  • 状態や数量の変化も暗示できます(「増えてきた」「議論が長い間続いてきた」など)。

4. 文のバリエーション


  • 肯定文: There have been numerous reports about the issue.

  • 否定文: There haven’t been (have not been) any problems so far.

  • 疑問文: Have there been any updates on the project?

5. “There has + 過去分詞” との違い


  • 目的語(存在するもの)が単数か不可算名詞の場合は「There has been ...」を使います。

    例: There has been a significant change in policy.

  • 複数の場合や、主語にあたるものが複数形なら「There have been ...」となります。

    例: There have been many suggestions from the team.

6. よくある誤解やエラー


  • 「There is / are」構文と混同して、時制を間違えたまま使ってしまうことがあります。

    例: (誤) There is many discussions. → (正) There have been many discussions.

  • 「There have + 過去分詞」は現在完了形なので、現在とつながりのある過去の状態や動作を表す場合に使います。完結した過去方向の話には向きません。

    例: There were many discussions last year.(昨年のみの話なら過去形)


以上が、“There have + 過去分詞”構文のより具体的でわかりやすい解説です。この構文を使うと、「何かが過去から今まで続いて存在している」ことを示せます。日常会話でも、レポートや論文のようなフォーマルな文書でも使われるので、ぜひ活用してみてください。

165
B1.1

副詞節: so that ...

so thatを隣どうしに置くso that 構文

聞こえるようにもっと大きな声で話して下さい。

このボタンはなに?
説明

以下では「目的を表す副詞節 so that ...」について、より詳しく、わかりやすい形で解説します。


1. 用法と意味

so that ...」の節は「目的」を表すために用いられます。すなわち、“~するために...”や“~できるように...”という意味になります。たとえば、


I will leave early so that I can catch the first train.

(始発電車に乗るために、私は早く出発するつもりです。)


このように、主節で行われる行動の「目的・理由」を後ろの so that 節で説明しています。


2. 基本構文

目的を表す副詞節では、以下のように「so + that」を隣り合わせで置きます。

主節 + so that + 主語 + 助動詞 + 動詞の原形 + ...

ポイント: that はしばしば省略可能ですが、文中で省略するかどうかは文体や好みによります。


3. 中に入る「助動詞」と時制

so that ... 節の中では、次のような助動詞が用いられます。


  • can / may / will / could / might / would など

選ぶ助動詞は「主節の時制」にあわせて形を変化させます。


  1. 現在形や未来形の場合:


    • 主節が現在形・未来形の場合、so that 節では「can / may / will」などを用いるのが一般的です。

      例) I study hard so that I can pass the exam.

      (私は試験に合格するために一生懸命勉強しています。)


  2. 過去形の場合:


    • 主節が過去形の場合、so that 節では「could / might / would」などを用いて過去時制を表します。

      例) I studied hard so that I could pass the exam.

      (私は試験に合格するために一生懸命勉強しました。)



4. 「that」の省略

so that」の構文では、

so that + 主語 + 助動詞 + 動詞の原形

という形で使われますが、口語やカジュアルな文体では「that」が省略されることがよくあります。


  • 省略あり: I left home early so that I wouldn’t miss the bus.

  • 省略なし: I left home early so I wouldn’t miss the bus.

省略して「so + 主語 + 助動詞...」と書く形も広く用いられる、と覚えておきましょう。


5. 例文まとめ


  1. 現在形・未来形の例


    • I’m saving money so that I can travel around the world.

      (世界中を旅できるように、お金を貯めています。)

    • I’ll write down the address so that I won’t forget it.

      (忘れないように、住所を書き留めます。)


  2. 過去形の例


    • He woke up early so that he could finish his homework.

      (宿題を終わらせるために、彼は早く起きました。)

    • I practiced many times so that I would not make mistakes on stage.

      (ステージで間違えないように、私は何度も練習しました。)



6. 注意点


  • so ... that ...」の構文は「結果」を表す場合にも使われますが(例: The box was so heavy that I couldn't lift it.)、ここで扱うのは「目的」を表す構文とは別物です。区別して覚えましょう。

  • 口語では「so that」を「to 不定詞」と置き換えられる場合もあります。ただし、「to 不定詞」も「目的」を表しますが、so that よりは形式的でない印象になる場合もあります。

  • 助動詞を入れずに「so that + 主語 + 動詞原形」を書いてしまうと誤用となります。必ず助動詞を入れるか、それが省略できる文脈かどうかを確認しましょう。


まとめ


  • so that ...」は目的を表す副詞節であり、「~できるように」「~するために」と訳す。

  • so + that」を隣り合わせで置き、必ず助動詞(can / may / will / could / might / would など)を用いる。

  • 主節の時制にあわせて助動詞が変化する。

  • 「that」は省略可能で、口語などでは「so」のみになることが多い。

このポイントを押さえておくと、英文を組み立てる際に「目的」をはっきり示すことができます。ぜひ例文を参考に、使いこなしてみてください。

166
B1.1

形式主語it + that節

真主語はthat節

このボタンはなに?
説明

以下では「形式主語 it + that節」の基本構造と意味を、例文を交えながらなるべく詳しく解説します。


1. 「形式主語 it + that節」とは?

英語では、本来 “that節” が文の主語になる場合、主語として使うには長すぎたり複雑だったりすることがあります。そこで、文頭に「it」を置き、文末側に「that節」というかたちで内容を持ってくる仕組みを使うことがよくあります。これを「形式主語 it + that節」と呼びます。

例文


  • (1) It is important that we make an effort.

    「私たちが努力をすることは重要である。」

上の例では、本来「That we make an effort is important.」と言うこともできますが、やや不自然に聞こえるため、英語では「it」を先に置いて「それ(=本当は that節) が重要だ」と言い、(that以下の内容が)重要なのだと示します。


2. 形式主語 it の役割

「形式主語」とは、それ自体には大きな意味を持たない、文を構造的に成立させるためだけの主語です。本当の主語は、その後ろの “that節” です。上の例で言うと、


  • It (形式主語)

  • is important (述語)

  • that we make an effort (真の主語)

の構造になっています。


3. 基本パターン

「形式主語 it + be動詞 + 形容詞 + that節」の形が最もよく使われます。たとえば以下の形容詞がよく使われます。


  • important(重要だ)

  • necessary(必要だ)

  • essential(不可欠だ)

  • obvious(明らかだ)

  • strange(不思議だ)

  • natural(当然だ)

  • possible(可能だ)

  • likely(ありそうだ)

  • unfortunate(不運だ / 残念だ)

  • など...

例文


  • (2) It is necessary that he attend the meeting.

    「彼がその会議に出席することは必要だ。」

  • (3) It is obvious that something is wrong.

    「何かがおかしいのは明らかだ。」


4. that節の中の動詞形

「It is important(必要 / 重要)that …」などの文では、フォーマルな文体では that節の中の動詞が “should + 動詞の原形” になったり、あるいは直接動詞の原形になる(仮定法現在)ことがあります。日常会話では “should” を省いてそのまま動詞の原形を使うことが多いです。

例文


  • (4) It is important that he (should) be there on time.

  • (5) It is essential that every student (should) hand in the assignment.

両方とも “should” を入れても入れなくても文法的には問題ありませんが、ややフォーマルな雰囲気になるかどうかの違いがあります。


5. この構文を使う理由


  1. 読みやすさ・わかりやすさ

    長い主語(=“that節”)をいきなり文頭に置いてしまうと、英文が読みにくくなることがあります。そこで「it + that節」を使うことで、「何が重要なのか」「何が必要なのか」をわかりやすく示すことができます。


  2. 強調

    「It is … that …」の構造は「…なのは~だ」と訳せることもあり、後ろの“We make an effort”などが、何が重要なのかについて強調される効果もあります。



6. まとめ


  • 「形式主語 it + that節」は、本当の主語が that節であるときに、英語の文をすっきり表現するために用いられます。

  • 代表的な形は “It is + 形容詞 + that節” です。

  • that節の内容こそが文の主語的役割を果たしている点に注意しましょう。

  • フォーマルな文脈では、that節の中の動詞に “should + 原形” を使うことがあります。

このように、「形式主語 it + that節」は英語で主語をスマートに表現したり、文を読みやすくする大変重要な構文です。ぜひ例文を通じて使い方に慣れてみてください。

167
B1.1

関係代名詞 非制限用法

先行詞を補足的に説明する非制限方法

その医者は暮しむきは豊かだが、満足していない。

このボタンはなに?
説明

関係代名詞の制限用法と非制限用法

英語の関係代名詞(who, which, that など)や関係副詞(when, where, why など)には、大きく分けて「制限用法(Restrictive)」と「非制限用法(Nonrestrictive)」の2種類があります。ここでは、特に「非制限用法」に焦点を当てつつ、両者の違いと使い方について詳しく解説します。


1. 制限用法(Restrictive)の目的と特徴


  • 目的

    先行詞(関係代名詞が修飾する語)が「どの~なのか」を明確にするため、その情報がないと文の意味がはっきりしない場面で使われます。


  • 特徴


    1. 先行詞を特定する情報として欠かせないため、文からその節を取り除くと意味が変わってしまいます。

    2. 「,(カンマ)」を使わず、関係詞節が先行詞に直接続きます。

    3. who や which だけでなく、that を用いることも多いです。


  • 例文


    • I know a girl who lives nearby.

    • 「近所に住む女の子を知っている」

    • この文では「近所に住む」という情報がないと、どの女の子か不明瞭になってしまいます。関係代名詞節が先行詞を“制限”しているため、これを「制限用法」と呼びます。



2. 非制限用法(Nonrestrictive)の目的と特徴


  • 目的

    先行詞はすでに話題に上っているか、文脈的に特定されている状態が多いです。関係詞節は後から付け足す「補足情報」を提供する役割を担います。


  • 特徴


    1. 先行詞がすでに特定されているため、その情報がなくても文全体の意味は成り立ちます。

    2. 先行詞の直後に「,(カンマ)」を入れ、そのあとに関係詞節を置きます。関係詞節は挿入句のように扱われ、文から取り去っても主文の意味は保たれます。

    3. 非制限用法で関係代名詞として that を使うことはほとんどできません。主に who, which が用いられます。


  • 例文


    • The girl, who lives nearby, will be a teacher next month.

    • 「その女の子は、近所に住んでいるんだけど、来月先生になります。」

    • ここでは「その女の子」はすでに特定されており、“who lives nearby” は補足説明です。“who lives nearby” を省いても “The girl will be a teacher next month.” で文としては成立します。



3. 制限用法と非制限用法の使い分け


  1. 先行詞が未知か既知か


    • 話し手が「どの人(もの)か」を説明したい → 制限用法

    • 話し手・聞き手の間で先行詞が既にわかっている → 非制限用法


  2. コンマの有無


    • 制限用法 → カンマなし (The girl who lives nearby…)

    • 非制限用法 → カンマあり (The girl, who lives nearby, …)


  3. that の使用可否


    • 制限用法 → who, which, that すべて使用可能

    • 非制限用法 → 通常は who, which が使われ、that は使わない



4. まとめ


  • 制限用法 (Restrictive)


    • 先行詞を限定し、文の意味に不可欠な情報を与える。

    • カンマは使わない。

    • 例: I know a girl who lives nearby.


  • 非制限用法 (Nonrestrictive)


    • 先行詞はすでにわかっている・特定されている。

    • 付け足しの情報として関係詞節を用いるため、カンマで区切る。

    • 例: The girl, who lives nearby, will be a teacher next month.


カンマの有無や文脈によって意味が変わる大切な文法事項です。英語らしい表現を身に付けるためにも、使い分けを意識して練習してみてください。

168
B1.1

前置詞+関係代名詞

後方の前置詞を前にもってくるイメージ

こんなふうにそれは起こったのです。

このボタンはなに?
説明

以下の解説では、前置詞 + 関係代名詞(in which)の使い方と、その背後にある文の構造をより詳しく見ていきます。


1. 前置詞 + 関係代名詞とは?

「前置詞 + 関係代名詞」とは、関係代名詞の直前に前置詞を置き、関係代名詞節を導く形のことです。具体的には、以下のような形になります。


in which, to which, from which, of which など


これらはいずれも、前置詞と関係代名詞whichを組み合わせて使っています。


2. 例文で見る前置詞 + 関係代名詞

今回の例文は、次のとおりです。


This is the apartment in which we lived.

(これは私たちが住んでいたマンションです。)


ここで注目するのは “in which” の部分です。英語の動詞 “live” は「~に住む」という意味を表すために、通例 “live in + 場所” を使います。

関係代名詞節の中では “live in the apartment” という形を保ちたいので、the apartment を指す代名詞(which)に前置詞 in をつなげて “in which” という形になっています。


3. 文を2つに分けるとどうなるか?

関係代名詞を使わずに、文を2つに分けて考えてみましょう。


  1. This is the apartment.

  2. We lived in the apartment.

両方の文で “the apartment” が重複して登場していることがわかります。この2つの文を、共通する “the apartment” を基にひとつにまとめたのが “This is the apartment in which we lived.” です。


4. 前置詞を外さないように注意

関係代名詞節を作るうえで、もともと“live in”という動詞 + 前置詞の組み合わせであることを忘れないようにしましょう。前置詞 in をどこに置くかがポイントです。「前置詞 + 関係代名詞」という形で文をつなぐ時には、以下のいずれの形でも意味は変わりません。


  • This is the apartment in which we lived.

  • This is the apartment which we lived in.

前者のほうがややフォーマル、後者のほうがよりカジュアルな表現だと考えられています。


5. まとめ


  • 「前置詞 + 関係代名詞」とは、動詞とセットになる前置詞をそのまま関係代名詞にくっつける形です。

  • “live in” のように使う前置詞をそのまま “in which” として表せば、“the apartment” を説明する関係代名詞節が完成します。

  • “in which” と “which ~ in” は意味が同じですが、前者がより堅い表現、後者がより日常的です。

このように「前置詞 + 関係代名詞」を使うと、文章を一つにまとめられ、文意をすっきりと伝えることができます。書き手の好みや文体、場面に応じて、使いやすい形を選ぶとよいでしょう。

169
B1.1

関係副詞(先行詞なし)

関係副詞に関係の深い前置詞は省略できる

ここがその事故が起こった場所です。

このボタンはなに?
説明

以下では、関係副詞の「先行詞なし」の用法について、より詳しく解説します。Markdown形式でまとめていますので、どうぞ参考にしてください。


関係副詞(先行詞なし)とは

関係副詞には “when”・“where”・“why”・“how” などがあります。もともと 「関係副詞+先行詞」 という形をとることができますが、一部の英語表現では 先行詞(名詞)を省略 して使うことが可能です。

たとえば、


  • when ← the time when

  • where ← the place where

  • why ← the reason why

  • how ← the way how

    のように、それぞれ先行詞である “the time,” “the place,” “the reason,” “the way” が省略されるケースがよく見られます。


先行詞の省略例

1. when の場合 (the time の省略)

「~のとき」という意味で使用される “when” は、先行詞の “the time” とともに表すのが本来の形ですが、しばしば省略されます。


  • 先行詞を含む形:


    • This is the time when I met her.

      (これが私が彼女と出会った時だ。)


  • 先行詞なしの形:


    • This is when I met her.

      (これが私が彼女と出会った時だ。※the time が省略されている)


2. where の場合 (the place の省略)

「~の場所」という意味で使用される “where” は、先行詞の “the place” が省略されることがあります。


  • 先行詞を含む形:


    • This is the place where we took pictures.

      (ここが私たちが写真を撮った場所だ。)


  • 先行詞なしの形:


    • This is where we took pictures.

      (ここが私たちが写真を撮った場所だ。※the place が省略されている)


3. why の場合 (the reason の省略)

「~の理由」という意味で使用される “why” は、先行詞の “the reason” が省略されることがあります。


  • 先行詞を含む形:


    • I don’t know the reason why he quit his job.

      (彼がなぜ仕事を辞めたのか、その理由がわからない。)


  • 先行詞なしの形:


    • I don’t know why he quit his job.

      (彼がなぜ仕事を辞めたのかがわからない。※the reason が省略されている)


4. how の場合 (the way の省略)

「~の仕方・方法」という意味で使用される “how” は、先行詞の “the way” が省略されることがあります。


  • 先行詞を含む形:


    • This is the way how I solve the puzzle.

      (これが私がそのパズルを解く方法だ。)


  • 先行詞なしの形:


    • This is how I solve the puzzle.

      (これが私がそのパズルを解く方法です。※the way が省略されている)


※なお、現代英語では “the way how” は冗長とされるため、実際によく使われるのは省略後の “This is how ...” の形です。


注意点


  1. 先行詞を省略するかどうかは文脈や好みによります。特にフォーマルな文書では先行詞を含めた形が使われることもありますが、会話やカジュアルな文章では省略形が自然です。


  2. how に関しては、先行詞を入れると「the way how」という形になり、「the way」がすでに方法を表すため “how” が重複扱いになります。


    • × The way how I solve the puzzle

    • ○ The way I solve the puzzle / How I solve the puzzle


  3. “why” は疑問詞として使うときも「理由を尋ねる」用法があり、関係副詞として機能しているかどうかは文脈で判断します。



まとめ


  • 関係副詞 (when / where / why / how) は、本来「先行詞 + 関係副詞」で表現できます。

  • しかし、日常的には先行詞が省略されることが多く、とくに「the way how」のように冗長になる場合は “the way” を省いたり “how” を省いたりしてシンプルに言うのが一般的です。

  • 形式ばった文脈・会話的な文脈によって使い分けを意識しましょう。

上記の注意点を踏まえて、英作文やリーディングで使われる関係副詞のバリエーションを理解しておくと、英文の読み書きがよりスムーズになります。ぜひ参考にしてみてください。

170
B1.1

関係副詞(非制限用法)

カンマを付けて、付け足すように訳す

息子はロンドンへ行った、そこは私の生まれたところだ。

このボタンはなに?
説明

関係副詞(非制限用法)の解説

関係副詞(relative adverbs)には、「制限用法」と「非制限用法(カンマを伴う用法)」があります。どちらも名詞や節を修飾し、動作や状況が起こる場所・時・理由などを示しますが、文章全体のニュアンスや情報の伝え方に違いが生じます。以下で詳しく見てみましょう。


1. 関係副詞とは

英語の関係詞には「関係代名詞 (who, which, that など)」と「関係副詞 (where, when, why, how など)」があります。関係副詞は、副詞のはたらきをして、「場所 (where)」「時 (when)」「理由 (why)」「方法 (how)」などを表す名詞を修飾します。


例:


  • This is the house where I grew up.

    (ここが私が育った家です)

  • I remember the day when we first met.

    (私たちが初めて会った日を覚えています)


ここで着目すべきは、「関係副詞」の後ろに来る節(~ I grew up, ~ we first met)が、関係副詞が修飾する名詞(house, day)の説明になっている点です。


2. 制限用法と非制限用法

2-1. 制限用法 (Restrictive Use)


  • 先行詞(修飾する名詞)を特定し、限定する働きをします。

  • カンマを使いません。

  • その名詞が「どれか」を示したい場合や、その名詞にとって「不可欠な情報」を提供する場合に用いられます。

例文


I lived in Osaka where I met Jack.

「私は、ジャックと出会った大阪で住んでいます。」


  • どの大阪なのかを説明する情報として「ジャックと出会った」という要素を加えています。

  • 実際には「大阪」は一つしかないかもしれませんが、文法上、ここでは“出会った場所としての大阪”を限定するようなニュアンスが強くなります。


2-2. 非制限用法 (Non-Restrictive Use)


  • カンマで区切って使われる関係副詞です。

  • 先行詞(修飾する名詞)について、付加的な情報を言い足す役割を持ちます。

  • 名詞に必要不可欠ではない「補足説明」をするイメージです。

例文


I live in Osaka, where I met Jack.

「私は大阪に住んでいます。(ちなみに)そこでジャックと出会いました。」


  • 「大阪に住んでいる」というメイン情報に、蛇足的・補足的に「そこでジャックと出会った」という情報をカンマ以降で加えています。

  • 「大阪」自体を限定するわけではなく、「実はこの大阪でジャックと会ったんだよ」という余談や追加情報として述べています。



3. 制限用法 vs 非制限用法のニュアンスの違い


  1. 制限用法 (where I met Jack)


    • 「どの大阪か」を強調(限定)するイメージ。

    • 「ジャックと出会った場所」という情報が、大阪の説明として不可欠。


  2. 非制限用法 (where I met Jack)


    • 「大阪に住んでいます」という事実を先に述べ、あとから追加で「そこでジャックと出会った」という情報を足す。

    • 大阪の特定には直接関わらない「余談」や「補足説明」として提示。


このように、カンマの有無が「情報を限定するか、それとも付け足しとして扱うか」を決定付けます。


4. まとめ


  • 関係副詞は場所・時・理由などを表す名詞を修飾し、情報を補足するために使われます。

  • 制限用法ではカンマを使わず、被修飾名詞を特定(限定)するニュアンスを強調します。

  • 非制限用法ではカンマを使い、名詞に対する補足的・付加的な情報を穏やかに追加します。


例:


  • 制限用法: I lived in Osaka where I met Jack.

  • 非制限用法: I live in Osaka, where I met Jack.


文章の意味や文脈に応じて「どの情報が重要な限定情報か」「どの情報を補足として言い足すのか」を考えながら、カンマの有無や関係副詞の使い方を選ぶようにしましょう。

文法を追加

英語 - 日本語

ログイン / 新規登録

 

アプリをダウンロード!
DiQt

DiQt(ディクト)

無料

★★★★★★★★★★