元となった辞書の項目
compromise
IPA(発音記号)
解説
1. 基本情報と概要
単語: compromise
品詞: 動詞 (他動詞・自動詞両方で使われる)
意味 (英語):
- To settle a dispute by mutual concession.
- To risk or endanger something important or valuable (e.g., “to compromise one’s safety”).
意味 (日本語):
- お互いに譲歩して合意に達すること、妥協すること。
- (価値や立場などを)危うくする、損なう。
「compromise」は「お互いに歩み寄って妥協する」イメージのほか、「大切なものが損なわれる」イメージでも使われます。会議で話し合いが停滞したときに、双方が譲歩して合意に至るような場面で使われる一方、セキュリティやプライバシーが危険にさらされる文脈でも用いられる点が特徴です。
活用形
- 原形: compromise
- 三人称単数現在形: compromises
- 現在分詞 / 動名詞: compromising
- 過去形・過去分詞形: compromised
派生語(他の品詞例)
- 名詞: compromise (例: “reach a compromise”「妥協点に達する」)
- 形容詞: compromising (例: “compromising evidence”「立場を危うくする証拠」)
CEFR レベル
- B2 (中上級)
複雑な議論や交渉の文脈で使われることが多く、微妙な意味合いを押さえる必要があるため、中上級レベルに相当すると考えられます。
2. 語構成と詳細な意味
語構成
- com-: “共に、共通の”という意味を持つラテン語由来の接頭語 “com-”
- promise: ラテン語 “promittere” (前へ送る、差し出す) に由来する “promise” (約束)
本来は “com-” (共に) + “promise” (約束) から来ており、「双方が約束を分かち合う(互いに譲歩して決めごとをする)」というニュアンスがあります。
よく使われるコロケーション (関連フレーズ10選)
- reach a compromise (妥協点に達する)
- compromise on the price (価格で妥協する)
- compromise one’s principles (自分の信条を曲げる)
- compromise national security (国家の安全保障を危うくする)
- compromise a position (立場を危うくする)
- be willing to compromise (妥協する意思がある)
- compromise the quality (品質を損なう)
- compromise one’s integrity (誠実さを損なう)
- find a compromise solution (妥協案を見つける)
- refuse to compromise (妥協を拒否する)
3. 語源とニュアンス
語源
ラテン語の “compromissum” が中世フランス語を通じて英語に入ったといわれています。
- “com-” (共に) + “promittere” (約束する) が組み合わさり、もとは「互いに譲歩して合意する」という意味が基本でした。
ニュアンスと使用時の注意点
- “compromise” は、主に「妥協する」という前向きあるいは中立的な文脈で使われる半面、「本来の状態・価値を損なう」という否定的な文脈でも使われます。
- カジュアルな会話でもビジネスシーンでもよく使われますが、「損なう」という意味合いで使うときは、より警戒的・深刻な響きを持ちます。
4. 文法的な特徴と構文
- 他動詞用法: “to compromise something”
- 例: “They compromised their integrity.” (彼らは自分たちの誠実さを損なった)
- 自動詞用法: “to compromise with someone”
- 例: “They decided to compromise.” (彼らは妥協することに決めた)
可算名詞 / 不可算名詞の区別
- 名詞 “compromise” は通常可算名詞として扱われる場合が多い (“make a compromise” / “reach a compromise”) が、一部文脈によっては不可算名詞的に捉えられることもあります。
フォーマル / カジュアル
- ビジネスや正式な交渉の場面で使われやすいフォーマルなニュアンスもありますが、日常会話で “Let’s compromise.” のようにカジュアルに使われることもあります。
5. 実例と例文
日常会話 (カジュアル)
- “We can’t agree on the color of the sofa. Let’s compromise and choose a neutral shade.”
(ソファの色で意見が合わないね。妥協して無難な色にしよう。) - “I’m willing to compromise if it means we can finish faster.”
(もし早く終わるなら、私は喜んで妥協するよ。) - “Don’t compromise your health by skipping meals.”
(食事を抜いて体調を崩さないようにね。)
ビジネス (フォーマル / セミフォーマル)
- “We need to compromise on the budget to move this project forward.”
(このプロジェクトを進めるために、予算で妥協する必要があります。) - “Both parties agreed to compromise rather than prolong the negotiations.”
(交渉を長引かせるよりも、双方は妥協することに同意しました。) - “Any unauthorized access could compromise our clients’ data.”
(不正アクセスは、顧客のデータを危うくする可能性があります。)
学術的 / 専門的シーン
- “Excessive heat could compromise the structural integrity of the materials.”
(過度な熱は、素材の構造的完全性を損なう可能性があります。) - “In seeking to balance transparency and privacy, researchers often must compromise.”
(透明性とプライバシーの均衡を取るために、研究者はしばしば妥協せざるを得ません。) - “Using substandard components can compromise the overall performance of the device.”
(標準以下の部品を使うと、その装置全体の性能を損なう可能性があります。)
6. 類義語・反意語と比較
類義語 (Synonyms)
- settle(解決する)
- 主に争い事や訴訟などで「決着をつける」といった意味合い。必ずしも「譲歩」や「妥協」を含意しない場合もある。
- 主に争い事や訴訟などで「決着をつける」といった意味合い。必ずしも「譲歩」や「妥協」を含意しない場合もある。
- negotiate(交渉する)
- 具体的に取引や条件などを話し合って決めること。必ずしも双方が譲歩するとは限らない。
- 具体的に取引や条件などを話し合って決めること。必ずしも双方が譲歩するとは限らない。
- concede(譲歩する)
- 自分の主張を少し曲げる意味合いが強く、「不本意ながら」受け入れるニュアンスを持つ。
- 自分の主張を少し曲げる意味合いが強く、「不本意ながら」受け入れるニュアンスを持つ。
反意語 (Antonyms)
- stand firm(立場を崩さない)
- 「譲歩しないで断固としている」イメージ。
- 「譲歩しないで断固としている」イメージ。
- refuse(拒否する)
- 妥協せずにはっきりNOという場合。
- 妥協せずにはっきりNOという場合。
7. 発音とアクセントの特徴
発音記号 (IPA): /ˈkɒmprəmaɪz/(イギリス英語), /ˈkɑːmprəmaɪz/(アメリカ英語)
- アクセントは先頭音節 “com-” に置かれます: COM-pro-mise
アメリカ英語とイギリス英語の違い
- イギリス英語: “o” の音が “ɒ” に近く、短め
- アメリカ英語: “o” の音が “ɑː” に近く、やや伸ばす
よくある発音の間違い
- 第二音節の “pro” を強く発音しがちですが、実際には第一音節 “COM” にアクセントを強く置きます。
- “ise” を [aɪz] と発音するのに慣れない場合は [iz] としてしまうことがあるので注意。
8. 学習上の注意点・よくある間違い
- スペルミス
- “compromise” の後半 “-mise” の部分を “-mize” と誤って書く人がいる。
- “compromise” の後半 “-mise” の部分を “-mize” と誤って書く人がいる。
- 他動詞・自動詞の混同
- “compromise on something” と “compromise something” は意味が異なる。
- 前置詞 “on” を使うと「(何かの点で)妥協する」、直接目的語を取ると「(何かを)危うくする」という意味合いになりやすい。
- “compromise on something” と “compromise something” は意味が異なる。
- TOEIC・英検など試験対策
- ビジネス交渉の文脈や契約書中などで出題される場合がある。意味の違いを把握していないと読解問題で誤答につながりやすい。
9. 記憶に残るヒントやイメージ
- イメージ: 「お互いが自分の主張を少しずつ削って真ん中で合う」感じ。
- 語源に着目: “com-” (共に) + “promise” (約束)。それぞれの主張から譲って「共に約束する」のが “compromise”。
- 勉強テクニック:
- “com” は「共通、共に」という意味の接頭語。ほかの “combine,” “communicate,” “community” などもまとめて覚えるといい。
- “promise” のもともとの意味や派生語を知るとしっかり頭に入る。
- “com” は「共通、共に」という意味の接頭語。ほかの “combine,” “communicate,” “community” などもまとめて覚えるといい。
以上が動詞 “compromise” の詳細解説です。妥協や譲歩の文脈だけでなく、「危うくする」という側面にも注意して覚えておくと便利です。
意味のイメージ
意味(1)
〈信用・名声など〉'を'危うくする,傷つける,汚す
意味(2)
(…と)妥協する,和解する《+with+名》