元となった辞書の項目
bring up
解説
以下では「bring up」について、できるだけ詳しく解説していきます。
1. 基本情報と概要
意味(英語・日本語)
- 英語: “bring up”
- 主な意味:
1) (話題などを)持ち出す、提起する、言い出す
2) (子どもを)育てる、しつける
3) (食べたものを)吐く(カジュアル・やや口語的)
- 主な意味:
- 日本語: 「持ち出す」「提起する」「育てる」「吐く」などの意味を持つ句動詞です。
日常会話では、「話に持ち出す」「子育て(子を育てる)」「吐く」の文脈でよく使われます。シチュエーションによって意味が変わるため、コンテクスト(文脈)をよく確認して使います。
品詞
- 句動詞(phrasal verb)
- “bring” は動詞、“up” は副詞(または前置詞句として機能する場合もあり)。
- 英語の文法上は「他動詞 + 副詞」の形で、目的語が入るかどうかで語順が変わることがあります(例: “bring the topic up” や “bring up the topic” など)。
活用形
- bring – brought – brought – bringing
- “I bring up / you bring up / he brings up …”
- “I brought up / you brought up …”
- “I am bringing up / he is bringing up …”
他の品詞形
- “bring” 自体は動詞ですが、“bring out” “bring in” など、別の句動詞としても多くの派生形があります。
- “bring” を名詞化した形はありません。(“bringing” は動名詞としては使えますが、独立の名詞としてはあまり使われません。)
CEFRレベルの目安
- B1(中級)レベル
- 日常会話でよく使われるため、中級程度でよく身につけたい表現です。
2. 語構成と詳細な意味
語構成
- bring (動詞) + up (副詞)
- bring:もともと「持ってくる」「連れてくる」という意味の動詞
- up:上へ・上に向かって、持ち上げるイメージ
詳細な意味・派生
1) 話題を“持ち上げる”→「提起する、持ち出す」
2) 子どもを“育て上げる”イメージ→「育てる、しつける」
3) (俗な表現で)胃の中から“持ち上げる”→「吐く」
コロケーション・関連フレーズ(10個)
- bring up a topic → 話題を持ち出す
- bring up the subject → その話題を取り上げる
- bring up children → 子どもを育てる
- bring up an issue → 問題を提起する
- bring up in conversation → 会話の中で持ち出す
- be brought up by someone → (人)に育てられる
- bring up concerns → 懸念を伝える
- bring up questions → 疑問を提起する
- bring up for discussion → 討議のために取り上げる
- brought up to respect others → 他者を尊重するよう育てられた
3. 語源とニュアンス
語源
- “bring” は古英語の “bringan” に遡り、「運ぶ」「もたらす」を意味していました。
- “up” は上方向、または強調のニュアンスを持ち、「持ち上げる」「上まで引き上げる」という感覚です。
- そこから、人を「大人にまで成長させる(上へ引き上げる)」という意味から「育てる」、話題を「会話に引き上げる」→「提起する」と使われるようになりました。
ニュアンス・使用上の注意
- カジュアル(口語)・フォーマルどちらでも使われるが、子育てを指すときはどちらかといえばカジュアル寄り。
- 「提起する」という意味でビジネスでも使われるが、文書では “raise” や “mention” を使うことも多い。
- 口語で「吐く」という意味にも使われるが、やや直接的なので注意が必要。
4. 文法的な特徴と構文
一般的な構文
- “bring + [名詞] + up”
- “bring up + [名詞]”
- どちらも意味は同じですが、目的語が短い場合は “bring up the topic” のように続ける傾向があり、目的語が長い場合は “bring the topic about the new project up” のように分割されることもあります。
イディオム
- “bring someone up short” → 相手をハッとさせる、不意打ちのように止める
- “bring up the rear” → (隊列や列の) 最後尾を進む
使用シーン: フォーマル/カジュアル
- 「提起する」意味での “bring up” は会議やメールなど幅広い状況で使える。
- 「子どもを育てる」意味での “bring up” はややカジュアル寄りで、フォーマルには “raise” を使うことが多い。
- 「吐く」の意味は口語表現でフォーマルな場面には不向き。
他動詞・自動詞の使い分け
- 他動詞として目的語をとります。“bring up + 目的語”
- 自動詞的にも文脈がはっきりしていれば使えますが、通例は他動詞として扱われるケースが多いです。
5. 実例と例文
ここでは日常会話・ビジネス・学術の3つの文脈でそれぞれ3つずつ例文を示します。
① 日常会話
- “I don’t want to bring up my ex-boyfriend in this talk.”
- (この話で元カレの話は持ち出したくないんだ。)
- (この話で元カレの話は持ち出したくないんだ。)
- “I was brought up in a small town by my grandparents.”
- (私は祖父母に、小さな町で育てられました。)
- (私は祖父母に、小さな町で育てられました。)
- “Don’t bring up that embarrassing story again, please!”
- (あの恥ずかしい話、もう持ち出さないでよ!)
② ビジネス
- “Could you bring up the sales report in our next meeting?”
- (次のミーティングで売上報告書について提起してもらえますか?)
- (次のミーティングで売上報告書について提起してもらえますか?)
- “I will bring up the budget issues with the finance department.”
- (財務部門と予算の問題を話し合いたいと思います。)
- (財務部門と予算の問題を話し合いたいと思います。)
- “We should bring up our concerns about the new policy.”
- (新しい方針についての懸念を提起するべきです。)
③ 学術的な文脈
- “The professor brought up the concept of ‘cognitive dissonance’ in the lecture.”
- (教授は講義で「認知的不協和」の概念を取り上げました。)
- (教授は講義で「認知的不協和」の概念を取り上げました。)
- “When discussing historical events, it’s crucial to bring up various perspectives.”
- (歴史的出来事を議論する際には、様々な観点を提示することが重要です。)
- (歴史的出来事を議論する際には、様々な観点を提示することが重要です。)
- “She brought up a fascinating hypothesis regarding climate change.”
- (彼女は気候変動に関して興味深い仮説を持ち出しました。)
6. 類義語・反意語と比較
類義語(Synonyms)
- raise(提起する/育てる)
- 例: “raise a topic” / “raise children”
- “bring up” より少しフォーマル。
- 例: “raise a topic” / “raise children”
- mention(言及する)
- 例: “mention the issue”
- “bring up” ほど「強く提起する」ニュアンスはない。
- 例: “mention the issue”
- introduce(導入する、紹介する)
- 例: “introduce a new idea”
- 「新しいアイデアを導入する」ニュアンス。
- 例: “introduce a new idea”
- rear(子どもや動物を育てる)
- 例: “to rear children”
- ややフォーマルまたは専門的な語感。
- 例: “to rear children”
反意語(Antonyms)
- “omit” (省略する、触れない)
- 例: “omit the topic” → (話題を省略する)
- 例: “omit the topic” → (話題を省略する)
- “neglect” (育てない、放置する)→ 子育ての文脈での反意に相当。
7. 発音とアクセントの特徴
- 発音記号 (IPA): /brɪŋ ʌp/
- アクセント: “BRING up” のように “bring” に強勢がきやすい。
- アメリカ英語とイギリス英語ともに基本的に同じ発音。
- “bring” の “r” をしっかり発音する点が、英語学習者には少し難しい場合あり。
8. 学習上の注意点・よくある間違い
- スペルミス: bring や brought のスペルに注意。「brought」は “b-r-o-u-g-h-t” と “gh” を落としがち。
- 同音異義語との混同はあまりありませんが、 “bring” と “take” の混同は多い。
- “bring” は「(相手のいる場所に) 持ってくる」、 “take” は「(相手の場所から) 持っていく」。
- “bring” は「(相手のいる場所に) 持ってくる」、 “take” は「(相手の場所から) 持っていく」。
- 「提起する」と「育てる」の全く異なる文脈で使われるため、誤解されないようコンテクストを大事にする。
- TOEICなどでも「会議で話題を提起する」という文脈や、「誤答選択肢として ‘bring up children’ を育てる意味でなく混同する」といった問題が出題されることがあるので注意。
9. 記憶に残るヒントやイメージ
- “bring up” は「下のものを上に持ち上げる」イメージ。 → 子どもを大人に、あるいは話題を会話に持ち上げる。
- “子どもを育てる” と “話題を持ち出す” は、どちらも「下から上へ引き上げる」という概念で関連づけると覚えやすい。
- “bring up” = “bring (pull) up” と視覚化してみると記憶しやすい。
- 発音のポイントは “br-” で唇をしっかり閉じて息を出すこと。最後の “-ng” は鼻音で終わる。
以上が “bring up” の詳細な解説です。意味や文脈、使い方をしっかり把握して、ぜひ日常会話やビジネスシーンで活用してみてください。
意味のイメージ

意味(1)
を持ち出す
意味(2)
を育てる