1. 基本情報と概要

単語: sufficient

品詞: 形容詞 (adjective)

意味（英語）: enough or adequate

意味（日本語）: 十分な、足りる

「必要な量・程度を満たす」というニュアンスで使われる単語です。「十分にあるからこれ以上は必要ない」というポジティブなイメージがあります。

活用形

形容詞のため、動詞のように人称や時制による活用変化はありません。比較級・最上級としては、通常は「more sufficient」「most sufficient」と言えなくはありませんが、実際の使用例は少なく、多くの場合は「enough」「adequate」など他の形容詞を用いて比較表現をします。

ほかの品詞

• 「sufficiency」(名詞)：十分さ、充足
  


• 「sufficiently」(副詞)：十分に
  

CEFRレベル目安: B2（中上級）

「sufficient」は日常的に使われますが、「enough」よりも少しフォーマルな印象があり、ビジネスや学術的な文章でもよく登場します。

2. 語構成と詳細な意味

語構成

• 接頭語: 「suf-」(「sub-」の変形)
  


• 語幹: 「fic」 (「facere」＝「to make/ to do」に由来)
  


• 接尾語: 「-ient」 (形容詞化)
  

「sufficient」は、ラテン語「sufficere (下から支える、十分にする)」から来ています。

派生語・類縁語

• 「sufficiency」: (名) 十分さ、充足
  


• 「insufficient」: (形) 不十分な
  


• 「insufficiency」: (名) 不足、欠乏

よく使われるコロケーション（共起表現）/関連フレーズ

1. sufficient funds（十分な資金）
   


2. sufficient evidence（十分な証拠）
   


3. sufficient time（十分な時間）
   


4. sufficient resources（十分な資源）
   


5. sufficient reason（十分な理由）
   


6. be sufficient for～（～にとって十分である）
   


7. in sufficient detail（十分詳細に）
   


8. a sufficient amount（十分な量）
   


9. sufficient condition（十分条件）
   


10. sufficient to meet the needs（ニーズを満たすのに十分である）

3. 語源とニュアンス

語源

• ラテン語「sufficere」→「sub（下）＋facere（作る、なす）」の組み合わせが基になっています。「下から支える」→「十分に補う」といったイメージです。

ニュアンス

• 「enough」よりもややフォーマルで硬めの表現です。
  


• ビジネスや報告書、契約書などで「必要条件を満たしている」という意味合いでよく使われます。
  


• 会話でも使われますが、カジュアルよりはやや丁寧・フォーマルな印象を与えます。

4. 文法的な特徴と構文

1. 述語的使い方: X is sufficient (for ～)
   
   
   
   • 「～に対してXは十分だ」という表現。
   
   


2. 名詞を修飾: sufficient + 名詞
   
   
   
   • 「十分な～」「足りる～」という意味を直接名詞にかける形です。
   
   

使用シーン

• フォーマル: プレゼンテーション、ビジネスメール、契約書、報告書など
  


• カジュアル: 日常会話でも可能ですが、「enough」のほうがよりカジュアル

可算・不可算

• 形容詞なので、名詞が可算か不可算かにかかわらず修飾が可能です。
  


• ただし、「sufficient amount」「sufficient number of ～」などで、修飾する名詞の可算・不可算に合わせた表現をします。

5. 実例と例文

日常会話での例文

1. We have sufficient snacks for everyone, so help yourself.
   
   （みんなに行き渡る十分なお菓子があるから、自由に取ってね。）




2. I think this jacket is sufficient for the weather today.
   
   （このジャケットが今日の天気には十分だと思う。）




3. Is your phone’s battery sufficient to last the entire day?
   
   （あなたの携帯のバッテリーは一日持つくらい十分？）

ビジネスでの例文

1. Do we have sufficient budget for the new project?
   
   （新しいプロジェクトのための予算は十分にありますか？）




2. The current data is not sufficient for a conclusive report.
   
   （今あるデータでは結論的な報告を出すには不十分です。）




3. Please ensure that the supply chain has sufficient resources before we proceed.
   
   （進める前に、サプライチェーンが十分なリソースを確保しているか確認してください。）

学術的な場面での例文

1. A sample size of 100 might be sufficient for this study’s statistical analysis.
   
   （この研究の統計解析には、サンプルサイズ100で十分かもしれません。）




2. It is sufficient to note that this theory has multiple interpretations.
   
   （この理論には複数の解釈があると注記しておけば十分です。）




3. Sufficient evidence suggests a correlation between these variables.
   
   （これらの変数間に相関があるという十分な証拠が示されています。）

6. 類義語・反意語と比較

類義語

1. 「enough」:（十分な）
   
   
   
   • カジュアル・日常的に使われる。「sufficient」よりも一般的・口語的。
     
   
   


2. 「adequate」:（妥当な、十分な）
   
   
   
   • 「sufficient」と似たフォーマル度。必要条件を満たすイメージ。
     
   
   


3. 「ample」:（余裕があるほど十分な）
   
   
   
   • 「十分以上に豊富」というニュアンス。
   
   

反意語

1. 「insufficient」:（不十分な）
   


2. 「inadequate」:（十分でない、力不足の）
   


3. 「deficient」:（欠陥のある、不足している）

7. 発音とアクセントの特徴

発音記号 (IPA)

• イギリス英語: /səˈfɪʃ.ənt/
  


• アメリカ英語: /səˈfɪʃ.ənt/
  

アクセント（強勢）の位置

• 「-fi-」の部分にアクセントが来ます（sə-FI-shənt）。
  

よくある発音の間違い

• 「su-」を「サ」ではなく「ス」と発音する傾向があるが、弱音化 (schwa /ə/) を使って、より「サ」に近い母音にするのが自然です。

8. 学習上の注意点・よくある間違い

1. スペルミス: 「sufficent」と「i」が抜けてしまう誤りが多いので要注意。
   


2. efficient との混同: 「efficient」は「効率的な」の意味なので、しばしば混同しないように注意。
   


3. 比較表現: 「more sufficient」「most sufficient」はあまり一般的でないため、「enough」や「more than enough」「fully sufficient」などを使い分ける。

試験対策

• TOEICや英検の読解問題では「十分な量・条件を整えているか」を述べる文脈で登場することが多いです。文脈から「enough」同義語として理解されることもしばしばです。

9. 記憶に残るヒントやイメージ

• 「sufficient」は「するフィッシュ・エント」と音で捉えると、「十分に魚(フィッシュ)がある」と連想する覚え方も面白いかもしれません。(ジョーク的ですが、イメージとして残りやすいです)


• スペリングのポイント: 「suf + fic + i + ent」→ 3つに区切っておぼえるとミスが減ります。
  


• 勉強テクニック: 「adequate」とセットで覚えると、類義表現を比較しやすいです。

以上が「sufficient」の詳細解説です。必要十分な状態を表す際に、ややフォーマルに「enough」の代わりに使う言葉として覚えておくと便利です。