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no such
解説
以下では「no such」という表現について、できるだけ詳しく解説します。
1. 基本情報と概要
意味(英語 / 日本語)
- 「no such」は主に「そのようなものは存在しない」「そんなもの(人・事柄)はない」といった意味合いを持つ表現です。
- 例: “There is no such thing as a free lunch.”(ただより高いものはない[直訳:無料のランチなんて存在しない])
日本語では、「~というもの(こと)はない」「~なんてないよ」と強く否定するときに使われます。カジュアルな日常会話からビジネス、学術的な文脈まで、さまざまな場面で使われます。
品詞と活用
- 「no such」は文法的には「no (形容詞) + such (形容詞または代名詞として機能)」の組み合わせで、決まったフレーズ(表現)として扱われます。
- 単独の「no」「such」はそれぞれ別の品詞・用法がありますが、「no such」は一塊として「そのような存在はない」と言い切るときに使われます。
他の品詞形
- 「no」:形容詞・副詞的に使われる(“I have no money.” など)
- 「such」:形容詞・代名詞として使われる(“It was such a nice day.” など)
「no such」というフレーズ自体は、形容詞+形容詞(または代名詞)の組み合わせで、一定の文脈で否定表現として固定化されています。
CEFRレベルの目安
- B1(中級)以上
理由: 「no such」は日常会話からビジネスまで幅広く使われる一方、初学者レベル(A1/A2)でも見聞きはしますが、瞬時に訳せるようになるには中級程度の文脈理解が必要なためです。
2. 語構成と詳細な意味
1) “no”
- 元々「not any」「none」を意味する語。“none”とも関連。
2) “such”
- 「そのような」「そういった種類の」という意味。
- 古英語の “swylc” に由来し、“of this kind” のニュアンスを持つ。
「no such」は、それらが合わさることで「そのようなものは存在しない」という否定を強調するフレーズとなります。
関連表現・コロケーション(10例)
- no such thing → (そんなもの・事柄は存在しない)
- no such person → (そんな人はいない)
- no such place → (そんな場所はない)
- no such luck → (そんなうまい話(幸運)はなかった)
- no such problem → (そんな問題はない)
- no such record → (そのような記録はない)
- no such evidence → (そのような証拠はない)
- no such option → (そんな選択肢はない)
- no such case → (そのような事例は存在しない)
- no such plan → (そのような計画はない)
3. 語源とニュアンス
- “no”は古英語の “nā” (not any) に由来し、強い否定を表す語として長い歴史を持ちます。
- “such”は古英語の “swylc” (of this kind) に由来し、「~のような」と種類・性質を指し示す語です。
- 組み合わさった “no such” は、英語の中でもきわめてストレートに「該当するものは存在しない」と否定するための決まり文句として使われてきました。
微妙なニュアンスや使用時の注意
- カジュアルからフォーマルまで幅広く使われますが、ビジネス文書や正式な場面では「no such document exists」のように、ややかしこまった言い回しにもなり得ます。
- 「No such luck.」はややくだけた印象で、「そんな都合のいい話はなかったよ」といった口語表現です。
4. 文法的な特徴と構文
1) 一般的な構文
- “There is no such + 名詞 + (as ~).”
例: “There is no such thing as a free lunch.” - “No such + 名詞 + exists.”
例: “No such record exists in our database.”
2) イディオム
- “No such luck.”
→ 「(期待したけど)そんなラッキーなことはなかった」という慣用表現。
3) フォーマル / カジュアルの使い分け
- フォーマル: “No such document can be found.”
- カジュアル: “I looked everywhere, but there’s no such place.”
4) 他動詞・自動詞の区別
- 「no such」はあくまで名詞を修飾する表現(「そのような~は存在しない」)であり、動詞の他動詞/自動詞の区別には直接関与しません。
5. 実例と例文
日常会話での例文(3つ)
- “I checked the store, but they said there’s no such product available.”
(お店で確認したけど、そんな商品は置いてないって言われたよ。) - “He claims he sent a letter, but I have no such letter in my mailbox.”
(彼は手紙を送ったって言うけど、私の郵便受けにはそんな手紙は来てないよ。) - “Did you call? Sorry, I see no such call in my call history.”
(電話した? ごめん、着信履歴にはそういうのが見当たらないよ。)
ビジネスシーンでの例文(3つ)
- “Our records indicate no such transaction took place on that date.”
(当社の記録によれば、その日にそのような取引は行われていません。) - “I've reviewed all the relevant documents, and I found no such agreement.”
(関連書類をすべて確認しましたが、そのような合意書は見当たりません。) - “There is no such clause in the contract.”
(契約書にはそのような条項はありません。)
学術的な文脈での例文(3つ)
- “Based on our current knowledge, there is no such phenomenon observed in any experiments.”
(現在の知識に基づく限りでは、どの実験においてもそのような現象は観測されていません。) - “The data suggests no such species exists in this region.”
(データによると、この地域にそのような種は存在しないと示唆されています。) - “Until now, we have found no such evidence supporting that hypothesis.”
(これまでのところ、その仮説を裏付ける証拠は見つかっていません。)
6. 類義語・反意語と比較
類義語
- “no (something) at all” → (まったく~はない)
- 「No information at all」(まったく情報がない) のように、「全く」という強調が入りやすい。
- 「No information at all」(まったく情報がない) のように、「全く」という強調が入りやすい。
- “not exist” / “does not exist” → (存在しない)
- もっと直接的・フォーマルに「存在しない」と言うときに使われる。
- もっと直接的・フォーマルに「存在しない」と言うときに使われる。
- “none” → (1つもない)
- 単独の形で「なし」「1つもない」を示す。
反意語
- 厳密な反意語というよりは、「あること」を表すフレーズとして “some such” (何らかのそういうもの) などがありますが、日常的には “some such” はあまり多用されません。「(実際に) ある / 存在する」と対比するなら “Yes, there is such a thing.” などが挙げられます。
7. 発音とアクセントの特徴
- アメリカ英語 (IPA): /noʊ sʌtʃ/
- “no” は「ノウ」、 “such” は「サッチ」のように発音。
- “no” は「ノウ」、 “such” は「サッチ」のように発音。
- イギリス英語 (IPA): /nəʊ sʌtʃ/
- “no” は「ナウ」または「ノウ」に近い音。
- “no” は「ナウ」または「ノウ」に近い音。
- アクセントは「no」にやや強めに置かれることが多いです (“NO such”)。
- よくある間違い: “such”の発音を /suːtʃ/ と引き延ばすなど、母音を伸ばしすぎる誤りに注意。
8. 学習上の注意点・よくある間違い
- スペリングミス: “no sush” など、タイプミスをしやすい。
- 同音異義語の混同: とくに “such” を “search” と混同するケースがある。
- “no such thing” と “nothing” の使い分けに注意:
- “There is no such thing as ghosts.” → 「幽霊なんて存在しない」
- “There is nothing here.” → 「何もない」 というように強調したい対象が違う。
- “There is no such thing as ghosts.” → 「幽霊なんて存在しない」
- 資格試験・英検・TOEICなどでも、「no such」構文が出てくる例文が時々あります。特に読解問題で「書類が存在しない」や「証拠がない」という内容を伝える際に使われやすいです。
9. 記憶に残るヒントやイメージ
- 有名な格言: “There is no such thing as a free lunch.”(ただより高いものはない)
→ このフレーズを丸ごと覚えると「no such」の使い方をイメージしやすいです。 - 「“no”で強く否定し、“such”で特定の種類を示す」と覚えると分かりやすいでしょう。
- 発音する際は「ノウサッチ」と一気に言う練習をすると、聞き取りと発話の両面で定着しやすくなります。
以上が、「no such」の詳細な解説です。日常からビジネス、学術の場面まで幅広く使える否定表現ですので、覚えておくと大変便利です。ぜひ例文を口に出したり、書き写したりして身につけてください。
意味のイメージ
意味(1)
《There is ~ thing as ...》…なんて存在しない
意味(2)
《~ luck》残念ながらそうはいかない
意味(3)
そのような...はない