hold back
1. 基本情報と概要
単語(フレーズ): hold back
品詞: 句動詞 (phrasal verb)
意味 (英語):
- to restrain or to keep someone/something from moving forward or advancing
- to withhold or keep something (e.g., information or emotions) from being expressed or released
意味 (日本語):
- 押しとどめる、前進や進行を阻止する
- 感情や情報を控える・隠す
「hold back」は「人や物を後ろに引きとめる」イメージを持つ句動詞です。「仲間や本人を前に進ませない」「感情を表に出さない」などの場面でよく使われます。
活用形:
- 動詞の形は “hold” の変化に準じる
- 現在形: hold back
- 過去形: held back
- 過去分詞: held back
- 現在分詞: holding back
- 現在形: hold back
他の品詞への変化例:
- 「holdback」という一語の名詞として使われる場合があり、「差し止め」「抑制」「妨げ」という意味で使われることもあります。
- 例: “There was a holdback in the project due to budget issues.”(予算問題があったため、プロジェクトに遅れが出た)
CEFRレベル: B2 (中上級)
→ 一般的な日常会話からビジネス場面など、幅広く使われるが、ニュアンスが複数あるため、やや上級寄りの学習者向けです。
2. 語構成と詳細な意味
語構成
- hold: 「つかむ、保つ、維持する」などの意味をもつ動詞
- back: ここでは副詞や前置詞の役割をすることが多く、「後ろへ、戻って」という意味合いを持つ
これらが組み合わさって「後ろへ (back) 保つ (hold)」→「抑える、引きとどめる」といったイメージになっています。
派生語や類縁語
- hold on: 「待つ、つかまる、耐える」
- hold off: 「(行動などを)遅らせる、近づけないようにする」
- hold up: 「支える、遅らせる、強盗をする(スラング)」 など
コロケーション(関連フレーズ)10選
- hold back tears → 涙をこらえる
- hold back laughter → 笑いをこらえる
- hold back information → 情報を隠す
- hold back progress → 進捗を妨げる
- hold back the crowd → 群衆を押しとどめる
- hold back emotions → 感情を抑える
- not hold back one’s opinion → 自分の意見を遠慮なく言う
- hold back growth → 成長を阻む
- hold back a student → 生徒の進級を留保する(留年させる)
- hold back the truth → 真実を言わないでおく
3. 語源とニュアンス
語源: 「hold (保つ) + back (後ろへ)」という単純な組み合わせの句動詞。英語では中世の頃から「hold」自体に「阻む」のニュアンスがあり、そこに「back」を加えることで「後ろにとどめておく→抑える」という意味が生まれました。
ニュアンス・使用上の注意:
- 相手や自分自身を「抑えている/控えている」イメージがあるため、少し制限をかける・否定的なニュアンスに感じられることも。
- 文章でも口語でも広く使われますが、状況次第で相手を励ますために “Don’t hold back!”(遠慮しないで!)とカジュアルに使われることがあります。
- 「hold back information」のように、「必要な情報を意図的に伝えない」という文脈ではややネガティブな響きがあります。
4. 文法的な特徴と構文
自動詞/他動詞: 「hold back」は多くの場合他動詞的に使われ、目的語として「人・物・情報など」を取ります。
- 例: “They held back the protesters.”(彼らは抗議者たちを押しとどめた)
- 例: “She held back her anger.”(彼女は怒りをこらえた)
- 例: “They held back the protesters.”(彼らは抗議者たちを押しとどめた)
分離可能な句動詞か: 指示代名詞(it, them など)が入る場合、しばしば文中で分離されます。
- 例: “She held her anger back.” と “She held back her anger.” の両方が可能です。
フォーマル / カジュアル:
- ビジネスメールや文書でも「情報を出ししぶる」という意味で用いられたり、カジュアルに「感情を抑えないで」という意味でも使われたりと、比較的汎用性が高い表現です。
5. 実例と例文
(1) 日常会話
“Don’t hold back your feelings. Tell me what’s bothering you.”
(遠慮せず言って。何が気になっているの?)“I had to hold back tears when I saw the ending of the movie.”
(映画の結末を見て涙をこらえなければならなかったよ。)“She tried not to hold back her laughter, but it was too funny.”
(彼女は笑いをこらえまいとしたけど、あまりにも面白かった。)
(2) ビジネス
“We shouldn’t hold back crucial data from our partners.”
(パートナーに重要なデータを隠すべきではありません。)“Budget cuts may hold back our project’s progress.”
(予算削減が私たちのプロジェクトの進行を妨げる可能性があります。)“He tends to hold back his opinions during meetings.”
(彼は会議中、自分の意見を控えがちだ。)
(3) 学術的・専門的文脈
“Regulatory constraints can hold back technological innovation.”
(規制上の制約が技術革新を阻むことがある。)“If participants hold back information in the survey, the results may be skewed.”
(もしアンケートで参加者が情報を出ししぶれば、結果が偏るかもしれない。)“Historical biases may hold back objective evaluations of the data.”
(歴史的なバイアスが、データの客観的評価を阻害する可能性がある。)
6. 類義語・反意語と比較
類義語 (Synonyms)
restrain(抑制する)
- よりフォーマルで、自分や他者の行動・感情を外的にきつく制限するニュアンスが強い。
- 例: “He restrained himself from yelling.”
- よりフォーマルで、自分や他者の行動・感情を外的にきつく制限するニュアンスが強い。
withhold(与えない、保留する)
- 情報や資源などを意図的に与えない。ややフォーマル。
- 例: “They withheld payment due to unsatisfactory work.”
- 情報や資源などを意図的に与えない。ややフォーマル。
suppress(抑圧する、抑える)
- 感情や事実を無理やり抑え込む、公式に表明させないニュアンス。
- 例: “The government tried to suppress the evidence.”
- 感情や事実を無理やり抑え込む、公式に表明させないニュアンス。
check(抑える、阻止する)
- 何かの進行を小さく抑えるニュアンス、「一時的にコントロールする」イメージ。
- 例: “We need to check the spread of the virus.”
- 何かの進行を小さく抑えるニュアンス、「一時的にコントロールする」イメージ。
反意語 (Antonyms)
release(解放する、放出する)
- しばっていたものを自由にする意味。
- 例: “She released her anger in a heated argument.”
- しばっていたものを自由にする意味。
let go(手放す、放す)
- 抑えていたものを手から離すイメージ。
- 例: “He couldn’t let go of his past.”
- 抑えていたものを手から離すイメージ。
7. 発音とアクセントの特徴
- 発音記号 (IPA): /hoʊld bæk/ (米), /həʊld bæk/ (英)
- アクセント: “hold” と “back” はそれぞれ独立した単語なので目立った強勢は “hold” にやや強く置かれる傾向があります。
- アメリカ英語: [ホウルド バック]
- イギリス英語: ホウルド バック
よくある発音ミス: “hold” の /oʊ/ の部分が短くなりすぎて “hod” のように聞こえるケース。伸ばして発音するよう意識しましょう。
8. 学習上の注意点・よくある間違い
- スペルミス: hold → hould, holde などと書き間違えないように注意。
- 語順間違い: “hold back it” のように目的語の代名詞を最後に置くと不自然になる場合があります。“hold it back” が自然。
- 類似表現との混同: “hold off”(遅らせる)や “hold up”(支える/遅らせる)などとごっちゃにならないように。
- 試験対策: TOEICや英検などでは句動詞が頻出します。シチュエーションのヒント(感情を抑える、情報を隠すなど)に注意して文脈から判断できるようにすると良いです。
9. 記憶に残るヒントやイメージ
- 「hold バック(後ろ)」の直感的なイメージで「後ろに引きとどめる → 抑える」と理解すると覚えやすいです。
- 「あと一歩で前に進むところを、後からつかんで動けなくする」ようなビジュアルをイメージすると定着が早まります。
- 感情(怒りや涙)をぎゅっと後ろに押しとどめるシーンなどを思い浮かべると、使い方のイメージがつかみやすいでしょう。
学習の際は、似たかたちの句動詞(hold on, hold off など)と一緒にまとめて覚えておくと、混同を防ぎながら効率的に習得できます。
【句動】自制する,控える
を押さえつける,を抑制する
をくい止める,を引き止める
をこらえる,を抑える