最終更新日
:2025/01/28
quit
IPA(発音記号)
解説
以下では、形容詞としての quit
をできるだけ詳しく解説します。もっとも、現代英語で quit
はほとんどの場合、動詞として「やめる」「辞める」を意味します。形容詞としては古い文献・修辞的表現など、限られた場面での使用が主になるため、実際の会話や一般的な文章で出会う頻度は極めて低い点にご注意ください。
1. 基本情報と概要
意味(英語・日本語)
- (形容詞)
quit
: “free” / “released” / “clear”
日本語では「免除された」「解放された」「済んでいる」といった意味合いを取ります。具体的に言うと、何らかの負担や責任、義務などから解放されている状態を指すときに使われます。
「責任や義務から解放されている」「借金などの義務や取り立てを免れている」というニュアンスがあります。
品詞と活用形
- 形容詞: quit (比較級・最上級は通常の形容詞変化「quitter, quittest」はほぼ使用されず、古風またはほとんど用いられません)
他の品詞としての例
- 動詞: to quit
- 現代英語での一般的な意味は「やめる」「辞める」。
- 活用形: quit – quit – quit (不規則変化:過去形も過去分詞形も同形)
- 現代英語での一般的な意味は「やめる」「辞める」。
- 名詞としての一般的用法はありませんが、動詞形から派生した表現(例: “quit notice”など)が特定分野で使われることがあります。
CEFR レベルの難易度(目安)
形容詞としての quit
はあまり使用しないため、学習される段階も高めと見なせます。
- C1(上級)レベル以上: 古風または修辞的用法として文献などを読む際に見かける程度。
2. 語構成と詳細な意味
語構成
quit
は語源的にはラテン語由来(後述)ですが、接頭語・接尾語がついて形成されているわけではありません。- 語幹として
quit
があり、「自由になる」「免れた」というイメージが元にあります。
他の単語との関連性
quit
(動詞): 「やめる」「放棄する」「辞職する」quittance
(名詞): 「免除」「清算」「報復」といった意味(やや古風)acquit
(動詞): 「無罪とする」「免除する」という現代でも比較的使われる単語(ad-
+quit
による派生)
よく使われるコロケーション・関連フレーズ(※形容詞としては稀、歴史的・慣用的文脈を含みます)
- be quit of a debt(借金から免れている)
- be quit of charges(容疑が晴れている)
- be quit and free(完全に解放されている)
- be quit of all obligations(あらゆる義務から解放されている)
- get quit of a responsibility(責任から解放される)
- quit claim(≒放棄証書; 法的文書における用例)
- quit and done(終わって解放された)
- quite quit(完全に解放された; 大変古風な表現)
- stand quit(負担などがなくなった状態)
- left quit of punishment(処罰を免除された)
3. 語源とニュアンス
語源
- 中英語の
quit
は古フランス語 “quiter” や ラテン語 “quietus”(静かな、解放された)に遡るとされています。もともと「負担・借金などから自由になる」というニュアンスがあります。
使用時の注意点・ニュアンス
- 形容詞としては非常に古風で、現代ではほとんど見られず、文学的・歴史的な文脈で登場することがあります。
- 口語としてもフォーマルとしても、現代英語では通常使われません。(“to quit” の動詞形は頻出します)
- 過度に使うと不自然・時代がかった印象を与えることがあります。まれに法律文書(quit claim deed など)で痕跡を見かける程度です。
4. 文法的な特徴と構文
一般的な構文
be quit of + 名詞
: 「~から解放されている」
例) He is quit of all charges.(彼は全ての容疑から解放されている)
フォーマル / カジュアル
- 形容詞としてはそもそも現代ではあまり使われないため、特にフォーマル・カジュアルの区別はほぼ意識されません。むしろ「古い文語表現」として認識されます。
文法上のポイント
- 可算・不可算の概念は形容詞なのでありません。
- 自動詞・他動詞の区別も、形容詞のためありません。
- “be + quit of …” という連結で使われる点が最も典型的です。
5. 実例と例文
下記の例文は文語的・修辞的なニュアンスが強い点にご留意ください。現代の日常会話やビジネス文脈では、形容詞としてはほとんど使いません。
日常会話(文脈上、かなり古風・文学的表現)
- “Now that I’ve paid my debts, I am finally quit of worry.”
(借金を返したので、やっと心配から解放されたよ。) - “He seemed quite satisfied, as if he were quit of all concerns.”
(彼はまるで一切の不安から解放されたかのように、とても満足そうだった。) - “I feel quit of my past mistakes after talking to my mentor.”
(メンターに相談したあと、過去の失敗から解放された気分だ。)
ビジネス(現実にはほぼ見られないが、あえて古風な文体で)
- “Once the contract is fulfilled, we shall be quit of any further obligations.”
(契約を履行すれば、それ以上の義務から解放されることになる。) - “The company is now quit of its previous financial burdens.”
(その企業はかつての財政的負担から解放された。) - “With this agreement, we are quit of all overly restrictive clauses.”
(この合意によって、煩わしい制約事項から解放されている。)
学術的・文献的
- “In historical records, one might encounter phrases like ‘quit of taxes’, denoting exemption.”
(歴史的文書では「税金を免れた(quit of taxes)」のような表現に出会うかもしれない。) - “By royal decree, the landowner was declared quit of feudal dues.”
(王令によって、その地主は封建的貢納の取り立てから免除されたと宣言された。) - “The subject, once quit of penalty, resumed his place in court.”
(処罰から解放されたその人物は、再び宮廷での地位を取り戻した。)
6. 類義語・反意語と比較
類義語(形容詞の用法)
- “free” (自由な、解放された)
- 現代でニュアンスを伝えるなら
free
が自然です。
- 現代でニュアンスを伝えるなら
- “exempt” (免除された)
- 法的・公式的な文書でよく使われます。
- 法的・公式的な文書でよく使われます。
- “clear” (負担や義務がなくなった)
- 比較的日常的。「借金がない」「疑いが晴れている」などを指す場合に使われる。
反意語
- “liable” (責任がある、負担を負う)
- “bound” (拘束された)
- “obligated” (義務を負った)
これらはいずれも現代で多用される表現であり、「quit」の古風な用法とは対照的に、実際のコミュニケーションでよく使われます。
7. 発音とアクセントの特徴
- 発音記号(IPA): /kwɪt/
- アメリカ英語(AmE)・イギリス英語(BrE)ともにほぼ同様の発音です。
- アクセントは1音節のみですので、特に強勢の移動はありません。
- 日本人学習者が /k/ と /w/ をはっきり区別せずに「クイット」と2拍で発音しがちですが、実際には [kw] で滑らかにつなぐように意識するのがコツです。
8. 学習上の注意点・よくある間違い
- ほとんどの場合、
quit
は動詞として使用されるため、「形容詞」として使う必要はまずないと思ってよいです。 - スペルミスとして
quitt
やquite
(別の意味を持つ副詞)と混同することに注意が必要です。 - 同音異義語との混同:
quiet
(静かな)とスペルが似ていますが、発音は /ˈkwaɪ.ət/ と大きく異なります。 - 資格試験などでは、動詞
quit
は頻出するものの、形容詞として出題される可能性は極めて低いです。
9. 記憶に残るヒントやイメージ
quit
(形容詞)には「何かから解放される」というイメージがあり、古語表現として残っています。- 語感としては「quiet(静かな)」に近い綴りですが、実際は「解放・免除」の意味。
- 覚える際は、「やめる(動詞)」の
quit
から派生し、「やめて自由になった状態 → quit of something(〜から解放された)」とイメージすると理解しやすいです。 - ただし、現代での実用度が低い形容詞形なので、文学作品や法的書類の特殊表現にあたったときに思い出す程度で十分です。
以上が形容詞としての quit
の解説です。現代英語ではほとんど使用されないため、学習や会話においては、主に動詞としての用法を覚えておけば問題ありません。ただし、古典文学や特殊な文書などで形容詞の quit
を目にした場合には、「免除された」「負担がなくなった」という古風な意味を持つと理解しておきましょう。
意味のイメージ
復習用の問題
正解を見る
その事件の後、彼はすべての責任から免れていた。
正解を見る
After the incident, he was quit of all responsibilities.
英語 - 日本語
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