助動詞: would
willの過去形のwouldは奥が深い
以下では、助動詞 “would” について、より詳しく、わかりやすく解説します。
1. 助動詞とは?
助動詞 (modal auxiliary) は、主に動詞の前に置かれ、動詞の意味を補強・補助する役割を持つ語です。たとえば、動詞 “run (走る)” の前に助動詞 “would” を付けると “would run (走るだろう)” のように意味が変化します。
2. “would” の基本的な役割
“would” は、もともと “will” の過去形です。しかし、単なる「過去の意味」だけではなく、“will” が持つ「未来の見通し」「意志」「推測」などを、より「過去から見た視点」や「実現性が低い・控えめなトーン」に変化させる役割があります。具体的には以下のようなニュアンスを表すことが多いです。
過去から見た未来(間接話法など)
- 例: He said he would come. (彼は来ると言っていた → 「過去に ‘will come’ と言っていた」の意味)
仮定・条件(条件節での仮定法)
- 例: If I had more time, I would travel the world. (もっと時間があれば世界を旅行するのに → 現実には時間がない)
- 「現実とは異なる」仮の状況を想定し、「もしそうであれば~するだろう」と表す際に使う。
意志・控えめな意見・提案
- 例: I would help you if I could. (できるなら手伝いたい → 現実は難しいが、助けたいという意思を表す)
- 例: I would say this plan needs more discussion. (私としてはこの計画にはもっと議論が必要だと思います → 控えめな主張)
丁寧な依頼・申し出
- 例: Would you open the window, please? (窓を開けていただけますか?)
- “Could you~” と同様に丁寧な響きを持つ表現。
過去の習慣的行動
- 例: When I was a child, I would play in the park every day. (子どもの頃は毎日公園で遊んだものだ → 過去の習慣を懐かしむ表現)
3. “would” と “will” の違い
“will” が「未来・意思・推測」をストレートに表すのに対し、“would” は「過去からの見方」や「控えめ」「仮定的」のニュアンスが加わります。特に以下の点を押さえておくとわかりやすいでしょう。
- “He will come.”: 「彼は来るだろう」(確度や意志が高い/単純に未来を述べている)
- “He would come.”: 「彼は来るだろうと思う」「来るかもしれない」(確度がやや下がり、控えめ・仮定的な響き)
「時制が“過去形”」というよりは、「現在から距離を置き、可能性や確度を下げる」ニュアンスが加わると考えると理解しやすいです。
4. 具体的な例文
過去の意志・予定を表す文
- “He promised he would finish the report by Friday.”
→ 「彼は金曜までにレポートを終わらせると約束した(過去に ‘will finish’ と言った内容)」
- “He promised he would finish the report by Friday.”
仮定法の文
- “If I had enough money, I would buy a car.”
→ 「もし十分なお金があれば車を買うのに(現実には買えない)」
- “If I had enough money, I would buy a car.”
控えめな意見・提案
- “I would suggest we review the documents again.”
→ 「もう一度書類を見直した方がいいかと(控えめな印象)」
- “I would suggest we review the documents again.”
丁寧な依頼
- “Would you mind closing the door?”
→ 「ドアを閉めていただけますか?」
- “Would you mind closing the door?”
過去の習慣
- “When we were kids, we would play outside until sunset.”
→ 「子どもの頃は日が暮れるまで外で遊んだものだ」
- “When we were kids, we would play outside until sunset.”
5. まとめ
- 助動詞 “would” は “will” の過去形ですが、純粋な過去を表すだけでなく、「仮定」や「控えめな言い方」、「過去から見た未来」、「過去の習慣的動作」など幅広いニュアンスを表すことができます。
- 過去形になると「今から距離がある」イメージが強まり、確度や直接性が下がる・控えめになるといった感覚があります。
- “If I were you, I would ...” のように、仮定法では特に頻出する表現なので見かけたら要チェックです。
これらを踏まえると、英文を読むとき・書くときに “would” に込められたニュアンスを上手に理解・使い分けられるようになるでしょう。