元となった辞書の項目
want
IPA(発音記号)
解説
名詞 “want” の詳細解説
1. 基本情報と概要
意味
- 英語:lack, need, deficiency(「不足」「欠乏」「必要性」の意味)
- 日本語:「不足」「欠乏」「(必要とする)欲しいもの」という意味合いを持つ名詞です。
「want」と言えば動詞の「~が欲しい」という意味が思い浮かびやすいですが、名詞としては「不足しているもの」や「必要としている状態」を示します。やや文語的な響きがあり、日常会話よりも文章やフォーマルな文脈などで使われることがあります。
品詞・活用形
- 品詞:名詞 (noun)
- 活用:名詞なので動詞のような時制の変化はありませんが、以下の形があります。
- 単数形:want
- 複数形:wants (“何らかの不足・欠乏”が複数ある場合)
- 単数形:want
他の品詞例
- 動詞:to want (動詞形。「~が欲しい」「~を必要としている」)
- 過去形:wanted
- 現在分詞:wanting (形容詞的に「不足している」「物足りない」という用法もある)
- 過去形:wanted
CEFRレベルの目安
- 名詞としての “want” はB2 (中上級) 程度
- 動詞としての “want” はA1~A2(初級レベル)でよく学習されますが、名詞形はやや上級者向けの表現です。
2. 語構成と詳細な意味
語構成
- 特に接頭語や接尾語はなく、“want” そのものが語幹です。
詳細な意味
- 「不足」「欠乏」
- 例:They suffered from want.(彼らは欠乏に苦しんだ。)
- 「必要としている状態」
- 例:This tool is in want.(この道具が必要になっている。/この道具が不足している。)
- 「欲求、望み」
- ただし、動詞形ほど直接的な「欲しい」というニュアンスは強くなく、どちらかと言うと「欠けているもの」に焦点を当てます。
よく使われるコロケーションや関連フレーズ(10個)
- be in want of ~
- 「~が不足している」
- 「~が不足している」
- for want of a better word
- 「もっと適切な言葉が見つからないので」
- 「もっと適切な言葉が見つからないので」
- suffer want
- 「不足に苦しむ」
- 「不足に苦しむ」
- in great want
- 「非常に不足している状態で」
- 「非常に不足している状態で」
- out of want
- 「不足していない状態で」(ややマイナーな表現)
- 「不足していない状態で」(ややマイナーな表現)
- a want for freedom
- 「自由を求める欲求」
- 「自由を求める欲求」
- fill a want
- 「不足を満たす」
- 「不足を満たす」
- a sense of want
- 「不足感」
- 「不足感」
- want of resources
- 「資源不足」
- 「資源不足」
- want of opportunity
- 「機会の欠如」
3. 語源とニュアンス
語源
- 中英語の “wanten” に由来し、さらに古ノルド語の “vanta”(不足している)から来ているといわれています。元々は「何かが足りない状態」を指す言葉でした。
ニュアンス・使用時の注意点
- 「不足」の観点が強く、「大変困っている」ようなニュアンスを含む場合があります。
- 文章やややフォーマルな文脈で用いられることが多く、日常会話ではあまり使われません。
- 口語的には “lack” や “need” などを使う方が自然な場合もあります。
4. 文法的な特徴と構文
- 可算・不可算
- 「不足・欠乏」という意味の場合は不可算的に扱われることが多いですが、文脈によっては「(特定の)不足」という意味で可算扱いもされます。
- 不可算例:They are in want of food.(彼らは食べ物が不足している。)
- 可算例:Many wants of the people must be met.(多くの人々の(具体的な)必要事項を満たさなければならない。)
- 不可算例:They are in want of food.(彼らは食べ物が不足している。)
- 「不足・欠乏」という意味の場合は不可算的に扱われることが多いですが、文脈によっては「(特定の)不足」という意味で可算扱いもされます。
- 一般構文
- be in want of + 名詞 (~を必要としている)
- for want of + 名詞 (~が不足しているため、~がないので)
- be in want of + 名詞 (~を必要としている)
イディオム
- for want of a better word
- 「もっとよい表現が見つからないので」
- 多少婉曲に表現したいときに使われます。
- 「もっとよい表現が見つからないので」
5. 実例と例文
日常会話
- “I noticed a want in my wardrobe; I only have one pair of jeans.”
- 「クローゼットが足りないと感じたよ。ジーンズが1本しかないんだ。」
- 「クローゼットが足りないと感じたよ。ジーンズが1本しかないんだ。」
- “There seems to be a want of clear communication here.”
- 「ここでは明確なコミュニケーションが不足しているようですね。」
- 「ここでは明確なコミュニケーションが不足しているようですね。」
- “If there's a want, let me know and I'll bring it next time.”
- 「何か足りないものがあったら知らせてね。次に持ってくるから。」
ビジネス
- “Our department is in want of additional staff to meet the tight deadlines.”
- 「我が部署は締め切りを守るために追加の人員を必要としています。」
- 「我が部署は締め切りを守るために追加の人員を必要としています。」
- “In want of a better term, let's refer to this approach as ‘mixed strategy.’”
- 「もっと適切な用語が見つからないので、このアプローチを『混合戦略』と呼んでおきましょう。」
- 「もっと適切な用語が見つからないので、このアプローチを『混合戦略』と呼んでおきましょう。」
- “Due to the want of necessary resources, the project has been delayed.”
- 「必要なリソースが不足しているため、プロジェクトが遅れています。」
学術的な文脈
- “The study highlights the want of empirical data on this phenomenon.”
- 「本研究は、この現象に関する実証データの不足を強調している。」
- 「本研究は、この現象に関する実証データの不足を強調している。」
- “For want of evidence, the hypothesis remains speculative.”
- 「証拠が足りないので、その仮説は推測の域を出ない。」
- 「証拠が足りないので、その仮説は推測の域を出ない。」
- “His analysis was highly insightful but suffered from a want of broader context.”
- 「彼の分析は非常に洞察に富むが、広い文脈が不足していた。」
6. 類義語・反意語と比較
類義語
- lack(不足)
- より日常的かつ広範に使われる言葉。名詞・動詞両方で使用可能。
- より日常的かつ広範に使われる言葉。名詞・動詞両方で使用可能。
- shortage(不足、欠乏)
- 物理的・数量的不足によく用いられる。
- 物理的・数量的不足によく用いられる。
- deficiency(不足、欠陥)
- ややフォーマルで、医学や科学の文脈でも用いる。
- ややフォーマルで、医学や科学の文脈でも用いる。
- need(必要性)
- 「~を必要とする」という意味合いが強く、“want” よりポピュラー。
反意語
- abundance(豊富、充足)
- 「十分にある」「必要以上にある」状態を指す。
ニュアンスの違い
- “want” は形式的・文語的で、不足しているものや状態を強調する。
- “lack” は行為や状態としての「足りない様子」を指すことが多く、最も一般的。
- “shortage” は「(量的な)不足」感が強い。
- “deficiency” は「欠陥・不完全」といった概念も含む。
- “need” は「必要性」を強調し、「不足」よりも「求める」ニュアンスが強い。
7. 発音とアクセントの特徴
- 発音記号(IPA):/wɒnt/ (イギリス英語), /wɑːnt/ または /wɔːnt/ (アメリカ英語)
- イギリス英語:口をやや狭めて「ウォント」
- アメリカ英語:口をやや大きく開け気味に「ワント」に近い
- イギリス英語:口をやや狭めて「ウォント」
- アクセントは一音節語なので、特にアクセントの位置はありません。
- よくある発音ミスとしては、/o/ の音が曖昧になり “went” のように聞こえる場合があります。母音を意識してはっきり発音すると良いでしょう。
8. 学習上の注意点・よくある間違い
- 動詞形の “want” との混同
- 名詞では「不足」「欠乏」を表すが、動詞では「欲する」「希望する」なので文脈に注意。
- 名詞では「不足」「欠乏」を表すが、動詞では「欲する」「希望する」なので文脈に注意。
- スペルミス
- “wont” (習慣) とは全く別の単語なので注意。
- “wont” (習慣) とは全く別の単語なので注意。
- 同音異義語・類似スペル
- “won’t” (will not の短縮形) との混同に注意。発音記号は似ていますが、アポストロフィーの有無やイントネーションが異なります。
- “won’t” (will not の短縮形) との混同に注意。発音記号は似ていますが、アポストロフィーの有無やイントネーションが異なります。
試験対策
- TOEICや英検の場合、文脈から名詞の “want” か動詞の “want” かを判断させる問題が出る可能性があります。特に高度なレベルでは、熟語の “for want of 〜” という言い回しが出題されることがあります。
9. 記憶に残るヒントやイメージ
- “want” の名詞形は「何かが足りない」というマイナスのイメージを思い浮かべると覚えやすいでしょう。
- 「動詞の ‘want’= ‘欲しい’と気持ちが逆向き」というイメージをもつ:欲しい状態が強調されれば動詞、足りなくて不足している状態が強調されれば名詞。
- フレーズ「for want of ~」をセットで覚えておくと、文を読んだときに名詞としての “want” を見分けやすくなります。
以上が名詞 “want” の詳細解説です。名詞用法はあまり頻繁に使われるものではありませんが、文語的表現やフォーマルな文脈、学術的文脈で注意しておくと役立つでしょう。
意味のイメージ