元となった辞書の項目
humbug
解説
1. 基本情報と概要
単語: humbug
品詞: 名詞 (ときに感嘆詞や動詞として使われることもあります)
意味(英語)
- (Noun) Deceptive or false talk; nonsense; something intended to trick or deceive
- (Exclamation) An expression of annoyance or dismissal
意味(日本語)
- (名詞) いんちき、でたらめ、ごまかし、または人をだます言動
- (感嘆詞) 「くだらない!」「たわごとだ!」というような苛立ちや否定を示す表現
「人をだますときのいんちき」や「嘘っぱち」を端的に表す名詞です。イギリスの作家ディケンズの小説『クリスマス・キャロル』でも「Bah! Humbug!」という形で有名になりました。日常会話ではあまり頻繁には使われませんが、「そんなの嘘だ!」「バカバカしい!」といったニュアンスを強調するときに、やや古風・演劇的に使われることがあります。
活用形
- 名詞としては単数形 “humbug”、複数形 “humbugs” で使われます。ただし、あまり複数形は一般的ではありません。
- 動詞としてはあまり一般的ではありませんが、過去形 “humbugged”、進行形 “humbugging” という形が存在します。
他の品詞の形
- 感嘆詞: “Humbug!” → 「そんなばかな!」「ごまかしだ!」のように1語だけで感情を表す。
- 動詞: “to humbug someone” → 「(人を)だます、あざむく」。現代ではやや古風な表現です。
CEFRレベルの目安
- C1(上級)
あまり日常的ではなく、文学作品や風刺的な文脈で見かけるような単語です。ネイティブでも会話で頻出というわけではありませんが、『クリスマス・キャロル』などの読書を通じて目にすることがあります。
2. 語構成と詳細な意味
語構成
- “humbug” は明確な接頭語・接尾語を持たない一語です。
- “hum” と “bug” から成るとする説もありますが、はっきりとした語源は定かではありません。
派生語や関連表現
- “humbugger” (あまり一般的ではありませんが「いんちきをする人」を指す場合があります)
よく使われるコロケーションや関連フレーズ(10個)
- “Bah! Humbug!”
- 「ばかばかしい!」「そんなの嘘っぱちだ!」
- 「ばかばかしい!」「そんなの嘘っぱちだ!」
- “Political humbug”
- 「政治的ごまかし」
- 「政治的ごまかし」
- “Expose humbug”
- 「いんちきを暴く」
- 「いんちきを暴く」
- “Full of humbug”
- 「嘘だらけの、いんちきばかりの」
- 「嘘だらけの、いんちきばかりの」
- “Commercial humbug”
- 「商業上のいんちき」
- 「商業上のいんちき」
- “Religious humbug”
- 「宗教的な欺瞞」
- 「宗教的な欺瞞」
- “Social humbug”
- 「社会的なまやかし」
- 「社会的なまやかし」
- “Empty humbug”
- 「根拠のないたわごと」
- 「根拠のないたわごと」
- “I smell humbug”
- 「怪しい、ごまかしの匂いがする」
- 「怪しい、ごまかしの匂いがする」
- “Unmask the humbug”
- 「そのいんちきを暴く/正体を暴露する」
3. 語源とニュアンス
語源
18世紀頃に現れた単語で、はっきりした由来は分かっていませんが、当時は「学生がする手品や騙し」という意味合いがあったとされます。後に一般的に「いんちき」「うそくさい」の意味に広がりました。
ニュアンス・使用時の注意
- やや古風、文学的・演劇的な響きがあります。
- 強い否定や軽蔑の気持ちをこめて使われることが多いです。
- 口語というよりは、文学や引用、皮肉や風刺的な場面で使われることが多いワードです。
- 「Bah! Humbug!」は特に有名で、現代では「つまらない」「馬鹿らしい」と一蹴するときに聞かれることもあります。
4. 文法的な特徴と構文
- 可算名詞として使う場合: “He is a humbug.”(彼はいんちき野郎だ)
- 不可算名詞的に使う場合もあり: “That’s pure humbug.”(それは全くのナンセンスだ)
- 感嘆詞として短く “Humbug!” と言うことがあります。
- 動詞としては古風で稀ですが、“He humbugged me.”(彼は私を騙した)というように使われることもあります。
使用シーン
- フォーマル度: 強い否定・非難のニュアンスを含むため、カジュアルでもフォーマルでもやや皮肉や文学的な効果を出すときに使われます。日常的にはやや特殊な表現です。
5. 実例と例文
日常会話 (カジュアル)
- “Bah! Humbug! I don’t believe a word they say.”
- 「ばかばかしい!あの人たちの言うことなんて信じられないよ。」
- 「ばかばかしい!あの人たちの言うことなんて信じられないよ。」
- “Stop with all that humbug, will you? Just tell me the truth.”
- 「そのでたらめはやめてくれない? 本当のことを教えてよ。」
- 「そのでたらめはやめてくれない? 本当のことを教えてよ。」
- “He’s always spouting humbug about his ‘amazing’ achievements.”
- 「彼はいつも“すごい”実績について大ボラを吹いているよ。」
ビジネスシーン
- “The proposal sounded like humbug with no real data to back it up.”
- 「その提案は裏付けとなるデータがなく、いんちきっぽく聞こえたよ。」
- 「その提案は裏付けとなるデータがなく、いんちきっぽく聞こえたよ。」
- “We need to distinguish genuine innovation from mere humbug.”
- 「本物のイノベーションと単なるごまかしを区別しなければならない。」
- 「本物のイノベーションと単なるごまかしを区別しなければならない。」
- “Let’s avoid any marketing humbug and stick to the facts.”
- 「いんちきなマーケティングを避け、事実に忠実でいましょう。」
学術的・フォーマル
- “Historically, protesters labeled certain governmental policies as ‘humbug’ to highlight perceived deceit.”
- 「歴史的に、抗議者たちは特定の政府政策を『いんちき』だとして、その欺瞞を強調した。」
- 「歴史的に、抗議者たちは特定の政府政策を『いんちき』だとして、その欺瞞を強調した。」
- “His paper was criticized as intellectual humbug, lacking rigorous methodology.”
- 「彼の論文は厳密な方法論に欠けており、知的ないんちきだと批判された。」
- 「彼の論文は厳密な方法論に欠けており、知的ないんちきだと批判された。」
- “The notion of humbug in 18th-century literature signified moral and social hypocrisy.”
- 「18世紀の文学での ‘humbug’ の概念は、道徳的・社会的な偽善を表していた。」
6. 類義語・反意語と比較
類義語
- “nonsense” (ナンセンス)
- くだらない話・意味のない話。より一般的で日常的。
- くだらない話・意味のない話。より一般的で日常的。
- “rubbish” (くだらないこと/ごみ)
- 主にイギリス英語で「くだらない」を意味するカジュアル表現。
- 主にイギリス英語で「くだらない」を意味するカジュアル表現。
- “fraud” (詐欺/詐称)
- 法律用語としての詐欺行為や騙しを指す。より正式・法的意味が強い。
- 法律用語としての詐欺行為や騙しを指す。より正式・法的意味が強い。
- “hoax” (悪ふざけ/作り話)
- 人を騙すための作り話やトリックを指す。事件やニュースなどで使われる。
- 人を騙すための作り話やトリックを指す。事件やニュースなどで使われる。
“Humbug” はやや演劇的・古風な響きを持つのに対し、上記の類義語はそれぞれもう少し口語や実務的に使われます。
反意語
- “truth” (真実)
- “honesty” (誠実さ)
“Humbug” は「偽り・詐称」を強調するため、反意語としては「正直さ」「真実」が挙げられます。
7. 発音とアクセントの特徴
- 発音記号 (IPA): /ˈhʌm.bʌɡ/
- アクセント: 最初の音節 “hʌm” に強勢があります。
- アメリカ英語とイギリス英語の違い: ほぼ同じ発音ですが、母音の微妙な違いは地域や話し手によって若干変わります。
- よくある間違い: “hum” を /huːm/ と発音しないように注意。 “bug” の部分を /bʊɡ/ とせずに /bʌɡ/ と発音するのが基本です。
8. 学習上の注意点・よくある間違い
- スペリング: “hambug” や “humburg” などと書き間違えないように注意してください。
- 同音異義語との混同: 特にはありませんが “humming” や “bug” などの単語と混ざってしまわないように気をつけましょう。
- 文脈: 現代ではあまり頻繁に使わないため、誤って日常会話で繰り返し使うと古臭い感じを与えるかもしれません。「Bah! Humbug!」はクリスマス時期や洒落、文学的な引用として知っておくとよいでしょう。
- 試験対策: TOEICや英検などの一般的な英語試験での頻出度は低いです。文学作品の読解や難単語を問う試験(上級レベル)で出る可能性があります。
9. 記憶に残るヒントやイメージ
- 「ディケンズの『クリスマス・キャロル』でスクルージが “Bah! Humbug!” と言っていた」ことを思い出すと結びつきやすいです。
- “hum” + “bug” というイメージで「ぶ~ん (hum) と不快な虫 (bug)」が人を惑わす感じで「いんちき・ごまかし」と覚えるのも一つの手です。
- 古風で演劇的な響きがあるため、演劇を学ぶ人や文学を読む人は特に覚えておくと便利です。
以上が名詞 “humbug” の詳細解説です。文学的・古風な雰囲気を伴う単語なので、使うシチュエーションを考えつつ覚えてみてください。
意味のイメージ
意味(1)
〈U〉〈C〉詐欺,ごまかし;たわごと,ばかげた話
意味(2)
〈C〉詐欺師,ぺてん師
意味(3)
〈C〉《英》ハッカ入りの糖果