元となった辞書の項目
tread
解説
1. 基本情報と概要
単語: tread
品詞: 動詞 (一部名詞としても使用される)
英語での意味:
- “to walk or step on something” (何かの上を歩く、踏む)
- “to walk in a specified way” (特定の方法で歩く)
日本語での意味:
- 「踏む」「歩く」「~の上を歩く」などの意味です。
- 「足を置く」というニュアンスから、慎重に行動するときに「tread carefully」のようにも使われます。
活用形:
- 現在形: tread
- 過去形: trod
- 過去分詞形: trod / trodden (両方使われますが、より古風・文語的に「trodden」が好まれます)
他の品詞としての例:
- “tread” は名詞として「靴底の溝」「タイヤの接地面」などを指すことがあります (“the tread of a shoe” など)。
CEFR レベル目安: B2(中上級)
- 日常会話で頻出するほどではないですが、文学やビジネスシーンなどで「慎重に行動する/扱う」という場面で出てきます。
2. 語構成と詳細な意味
語構成
- 接頭語: なし
- 語幹: tread
- 接尾語: なし
「tread」は古英語 “tredan” に由来し、単純な語幹のまま残っています。
詳細な意味と派生・関連語
- 足で踏む、歩く (to step or walk on something)
- 例: “Don’t tread on the flowers.”(花を踏まないで。)
- 慎重に行動する(比喩的表現)
- 例: “We must tread carefully when discussing politics.”(政治の話をするときは注意深く扱わなければならない。)
よく使われるコロケーション(共起表現)10選
- tread water
- 「水中で足をばたつかせて浮かんでいる(足のつかないところでとどまる)」
- 「水中で足をばたつかせて浮かんでいる(足のつかないところでとどまる)」
- tread carefully
- 「注意深く行動する」
- 「注意深く行動する」
- tread on eggshells
- 「非常に気を遣う(卵の殻の上を歩いているように慎重にふるまう)」
- 「非常に気を遣う(卵の殻の上を歩いているように慎重にふるまう)」
- tread lightly
- 「軽やかに歩く/慎重に事を運ぶ」
- 「軽やかに歩く/慎重に事を運ぶ」
- tread a fine line
- 「微妙な境界線上を行く(慎重さと大胆さの間)」
- 「微妙な境界線上を行く(慎重さと大胆さの間)」
- tread the path
- 「道を歩む(比喩的に人生の道を進む)」
- 「道を歩む(比喩的に人生の道を進む)」
- tread heavily
- 「重々しく足を踏みしめるように歩く」
- 「重々しく足を踏みしめるように歩く」
- tread out a fire
- 「足で火を踏み消す」
- 「足で火を踏み消す」
- tread on someone’s toes
- 「人の気分を害する、縄張りを侵す」
- 「人の気分を害する、縄張りを侵す」
- tread down
- 「踏みつぶす、踏みしめて平らにする」
- 「踏みつぶす、踏みしめて平らにする」
3. 語源とニュアンス
語源:
- 古英語の “tredan” (踏む、歩く)に遡ります。さらにゲルマン祖語の形を通じて、「足でステップをする」というイメージが古くからありました。
ニュアンス:
- “tread” には「足を置く、踏む」という直接的な意味だけでなく、「(注意深く)歩む」という比喩的なニュアンスもあります。
- 文語的・ややフォーマルよりの響きがあるため、小説やビジネス上でも「慎重に行動する」という意味合いでよく使われます。日常会話でも知っておくと表現の幅が広がります。
使用時の注意点:
- 「tread on someone’s toes」のように相手の領域を踏み荒らすイメージもあるため、比喩的に「気分を害する」のようにも使われます。
- フォーマルな場面で「We must tread carefully in this matter.」のように使われることが多いですが、口語でも理解されます。
4. 文法的な特徴と構文
他動詞 / 自動詞
- 他動詞として: “to tread something” (~を踏む)
- 例: “I trod the newly planted seeds by mistake.”(うっかりして植えたばかりの種を踏んでしまった。)
- 例: “I trod the newly planted seeds by mistake.”(うっかりして植えたばかりの種を踏んでしまった。)
- 自動詞として: “to tread on” (~を踏む)、 “to tread over” (~の上を歩く) などの前置詞を伴う。
- 他動詞として: “to tread something” (~を踏む)
一般的な構文・イディオム
- “tread carefully” → 「慎重に行動する」
- “tread on eggshells” → 「非常に繊細さを求められる状況で行動する」
- “tread lightly” → 「軽越に(軽やかに)歩く/注意深く行動する」
- “tread carefully” → 「慎重に行動する」
フォーマル / カジュアル
- フォーマル: 「We should tread carefully when dealing with this legal case.」
- カジュアルでは “walk” や “step” の方がより一般的です。
- フォーマル: 「We should tread carefully when dealing with this legal case.」
5. 実例と例文
日常会話での例文(3つ)
- “Please don’t tread on my new carpet with your muddy shoes.”
- (泥だらけの靴で新しいカーペットを踏まないでね。)
- (泥だらけの靴で新しいカーペットを踏まないでね。)
- “Be careful; you might tread on a nail in the backyard.”
- (庭で釘を踏むかもしれないから気をつけて。)
- (庭で釘を踏むかもしれないから気をつけて。)
- “I have to tread lightly around my roommate when she’s in a bad mood.”
- (ルームメイトが不機嫌なときは、慎重に接しないといけない。)
ビジネスシーンでの例文(3つ)
- “We need to tread carefully with our new partners to maintain a good relationship.”
- (新しいパートナーとは良好な関係を維持するために慎重に対応する必要があります。)
- (新しいパートナーとは良好な関係を維持するために慎重に対応する必要があります。)
- “Our company should tread very lightly when making drastic changes to employee benefits.”
- (従業員の福利厚生を大幅に変更する際は、非常に慎重に進める必要があります。)
- (従業員の福利厚生を大幅に変更する際は、非常に慎重に進める必要があります。)
- “If the negotiations fail, we will have to tread a new path in the market.”
- (もし交渉が失敗したら、市場で新しい道を模索しなければならないでしょう。)
学術・専門文脈での例文(3つ)
- “Researchers must tread cautiously when interpreting historical documents.”
- (研究者は歴史文書を解釈する際、慎重に進めなければならない。)
- (研究者は歴史文書を解釈する際、慎重に進めなければならない。)
- “In scientific studies, we tread on the edge of existing knowledge.”
- (科学的研究では、我々は既存の知識の境界を探り歩いています。)
- (科学的研究では、我々は既存の知識の境界を探り歩いています。)
- “Engineers should tread carefully when adopting untested technology.”
- (エンジニアは未検証の技術を採用する際には慎重な姿勢が必要です。)
6. 類義語・反意語と比較
類義語
- walk (歩く)
- 単純に「歩く」という意味。幅広く日常的に使われる。
- 単純に「歩く」という意味。幅広く日常的に使われる。
- step (足を踏み出す)
- 「一歩を踏み出す」という動作に焦点がある。
- 「一歩を踏み出す」という動作に焦点がある。
- trample (踏みつける)
- 「力強く踏みつける」という意味で、やや攻撃的なニュアンス。
- 「力強く踏みつける」という意味で、やや攻撃的なニュアンス。
- pace (歩き回る/一定の速度で歩く)
- 心配して歩き回る、またはペースを保って歩くイメージ。
- 心配して歩き回る、またはペースを保って歩くイメージ。
反意語(ニュアンス上対照的な表現)
- tiptoe (つま先でそっと歩く)
- 「踏む」に対して、「音を立てずにそっと歩く」イメージ。
- 「踏む」に対して、「音を立てずにそっと歩く」イメージ。
- (完全な反意は難しいが)fly (飛ぶ) などは「踏まずに移動する」という逆のイメージに近い。
7. 発音とアクセントの特徴
発音記号 (IPA):
- /trɛd/ (米英ともほぼ同じ)
アクセント:
- 英単語としては1音節なので “tread” のみ。強勢は先頭の /tr/ 音にかかるイメージです。
アメリカ英語とイギリス英語の違い:
- 大きな違いはありませんが、地域によっては母音 /ɛ/ がやや /e/ 寄りに発音されるなどの差がある場合があります。
よくある発音の間違い:
- 「トリード(/triːd/)」のように発音しがちですが、正しくは短い /ɛ/ で「トレッド」です。
8. 学習上の注意点・よくある間違い
- スペリングミス: “tread” と “treat” (扱う)、“thread” (糸) は似ているスペルなので混同しやすいです。
- 活用形の混乱
- tread – trod – trodden (または trod) となるので、他の規則動詞と混同しやすい点に留意してください。
- tread – trod – trodden (または trod) となるので、他の規則動詞と混同しやすい点に留意してください。
- TOEIC や英検での出題傾向
- ビジネスや交渉などで「慎重に~する」という意味合いでの “tread carefully” が出題される可能性があります。
- または熟語 “tread on eggshells” などのイディオム問題が出ることもあります。
- ビジネスや交渉などで「慎重に~する」という意味合いでの “tread carefully” が出題される可能性があります。
9. 記憶に残るヒントやイメージ
- “tread” は “t + read” と覚えるときに、「read(読む)するように慎重に足を置くイメージ」と関連づけると面白いかもしれません。
- 「足の裏で地面を“トレッド”する」と覚え、車のタイヤの “tread” (トレッド部分)と一緒にイメージすると定着しやすいです。
- 不規則動詞の活用は “tread-trod-trodden” とリズムを付けて声に出すなど、繰り返し練習して覚えましょう。
上記を踏まえて、「tread」を使いこなすと、歩く・踏むだけでなく、「物事に慎重に取り組む」という上級者らしい表現ができるようになります。ぜひ、例文やイディオムとあわせて覚えてください。
意味のイメージ
意味(1)
…‘を'踏んで通る,踏みしめて歩く
意味(2)
歩く,行く
意味(3)
(…を)踏む,踏みつける,踏みつぶす《+on(upon)+名》
意味(4)
《副詞[句]を伴って》…‘を'踏みつける,踏んで…にする