元となった辞書の項目
ravage
解説
以下では、名詞「ravage」について、できるだけ詳しく解説します。
1. 基本情報と概要
【意味(英語・日本語)】
- 英語: ravage ⇒ 「(大きな)破壊、損害、惨状」
- 日本語: 「甚大な破壊・損害を指す名詞」
たとえば、“the ravage(s) of war” のように「戦争の惨禍」と訳されることもあります。
「ravage」は、何かが壊滅的な被害を与えるときに使われる言葉です。「破壊が及ぼす惨状」のニュアンスがあり、特に、大きな被害をもたらすような状況で使われます。
【品詞】
- 名詞 (countable / uncountable どちらの用法もあり)
【活用形】
- 名詞なので、通常は “ravage” / “ravages” として複数形をとります。
- 例: “the ravages of war” (戦争の恐ろしい被害)
【他の品詞形】
- 動詞: “to ravage” ⇒ 「~を破壊する、荒廃させる」
【CEFRレベル】
- B2 〜 C1 (中上級〜上級レベル)
- “ravage” は、日常会話よりも文書やニュース報道などで見られる表現です。語感や意味が強いため、学習者にはやや上級の単語といえます。
2. 語構成と詳細な意味
【語構成】
- 「ravage」は、特別な接頭語や接尾語がついているわけではありません。「rav-」や「-age」がもともと接尾語・接頭語の役割を果たすこともありますが、発達の過程で1つの単語として定着しています。
【派生語・類縁語】
- ravage (動詞) ⇒ 「荒らす、壊滅させる」
- ravager (名詞) ⇒ 「破壊をもたらす者、荒々しく破壊する人・もの」
- ravaged (形容詞) ⇒ 「荒廃した、ひどく損害を受けた」
【よく使われるコロケーション(共起表現)10選】
- the ravages of war(戦争の惨状)
- the ravages of time(時間の経過による損害・劣化)
- leave something in ravages(何かを破壊の跡に残す)
- suffer the ravages(甚大な被害を受ける)
- cause ravages(甚大な破壊を引き起こす)
- widespread ravages(広範囲に及ぶ破壊)
- the ravages of disease(病気の猛威)
- endure ravages(甚大な損害を耐え忍ぶ)
- be subjected to ravages(~に破壊をもたらされる・~の被害にさらされる)
- ravages on the environment(環境への甚大な被害)
3. 語源とニュアンス
【語源】
- 「ravage」はフランス語の “ravager”(ラヴァジェ)に由来し、そのもとをたどるとラテン語の “rapere”(奪う、引きずり去る)に関連すると言われています。
【歴史的使用とニュアンス】
- もともと「強奪する」「荒らしまわる」「猛威を振るう」という力強いイメージを持つ語です。英語では14世紀ごろから、「破壊」「荒廃」の意味合いで用いられています。
- 「戦争や自然災害などがもたらす壊滅的状況」を強調する場合に使われることが多いため、使うときは「非常に深刻な破壊・損害」を表すことを念頭に置く必要があります。
【使用時の注意点】
- 「ravage」は強い響きをもつ言葉です。口語でも使いますが、ニュースや報告書などフォーマルな文面で見られやすいです。
- カジュアルな場面では、相手に与える印象がやや重々しくなるかもしれません。
4. 文法的な特徴と構文
- 名詞 “ravage” は可算名詞としても不可算名詞としても使われます。文脈により複数形 “ravages” が用いられ、「(戦争や時間などによる)たくさんの破壊・被害」というニュアンスを出すことができます。
- 文中では “the ravages of ~” という形でよく登場し、特に「~がもたらす破壊」を表します。
【イディオムや構文例】
- “The ravages of time”: 時間がもたらす劣化・老化
- “Suffer the ravages of war”: 戦争による甚大な被害を受ける
- “Bear the ravages of disease”: 病気の猛威に耐える
5. 実例と例文
【日常会話での例文(3例)】
- “My grandparents’ old house shows the ravages of time.”
- 祖父母の古い家は、長い年月による傷みが目立っているよ。
- 祖父母の古い家は、長い年月による傷みが目立っているよ。
- “We want to protect our village from the ravages of the storm.”
- 私たちは嵐による甚大な被害から村を守りたいんだ。
- 私たちは嵐による甚大な被害から村を守りたいんだ。
- “You can see the ravages left by the wildfire in the burnt forest.”
- 焼け焦げた森には山火事がもたらした深刻な被害の跡が見えるよ。
【ビジネスでの例文(3例)】
- “The report highlights the ravages of the recent economic crisis on small businesses.”
- その報告書は、最近の経済危機が小規模事業に与えた深刻な影響を強調している。
- その報告書は、最近の経済危機が小規模事業に与えた深刻な影響を強調している。
- “Our insurance aims to mitigate the ravages of natural disasters on company assets.”
- 当社の保険は、自然災害が企業資産に及ぼす甚大な被害を軽減することを目的としています。
- 当社の保険は、自然災害が企業資産に及ぼす甚大な被害を軽減することを目的としています。
- “We must develop a contingency plan to deal with the ravages of sudden market fluctuations.”
- 急激な市場変動がもたらす大きな損害に対応するために、緊急時対策を立てる必要があります。
【学術的な文脈での例文(3例)】
- “Researchers are examining the ravages of soil erosion on agricultural productivity.”
- 研究者たちは、土壌浸食が農業生産性に及ぼす甚大な損害を調査している。
- 研究者たちは、土壌浸食が農業生産性に及ぼす甚大な損害を調査している。
- “Historical records document the ravages of plague across medieval Europe.”
- 歴史資料には、中世ヨーロッパ全域に及んだペストの猛威が記録されている。
- 歴史資料には、中世ヨーロッパ全域に及んだペストの猛威が記録されている。
- “The ravages of climate change are increasingly documented by environmental scientists.”
- 環境科学者たちによって、気候変動がもたらす深刻な被害がますます記録されている。
6. 類義語・反意語と比較
【類義語】
- “destruction” (破壊)
- 一般的に「破壊」を表す語。範囲は広いが「惨禍」というニュアンスはやや弱い。
- 一般的に「破壊」を表す語。範囲は広いが「惨禍」というニュアンスはやや弱い。
- “devastation” (壊滅、荒廃)
- 大規模な荒廃やショックを伴う使い方が多いが、「ravage」にかなり近い響き。
- 大規模な荒廃やショックを伴う使い方が多いが、「ravage」にかなり近い響き。
- “ruin” (破滅、荒廃)
- 建物や組織が破滅するイメージが強い。
- 建物や組織が破滅するイメージが強い。
- “damage” (損害)
- 日常的に使われ、「物理的・経済的な損害」を幅広く指す。
- 日常的に使われ、「物理的・経済的な損害」を幅広く指す。
- “havoc” (大混乱、大破壊)
- 破壊だけでなく混乱状態を強調するニュアンスがある。
【反意語】
- “restoration” (復元、回復)
- 破壊・荒廃を元に戻す「復元・回復」の意味をもつ。
7. 発音とアクセントの特徴
- 発音記号(IPA): /ˈrævɪdʒ/
- アメリカ英語とイギリス英語で大きな違いはありませんが、アメリカ英語では [rævɪdʒ] と若干カタめに「ラヴィッジ」と発音される傾向があります。
- 強勢は先頭の “ra-” に置かれます。
- 速く発音すると、/rævɪʤ/ のように “-dʒ” の部分が濁る音になるので、舌先がやや前歯の裏に来る感覚を意識します。
8. 学習上の注意点・よくある間違い
- スペル: “ravage” と “ravish” はスペルが似ていますが、意味が全く異なるため混同に注意してください。
- “ravage” を複数形で使うときは “ravages” と “s” をつけるのを忘れないように。
- TOEIC や英検などでは、大規模な被害や自然災害の話題で登場することがあります。文脈をよく把握し、「大きな被害」「荒廃」という意味をしっかりつかむ必要があります。
9. 記憶に残るヒントやイメージ
- 「ravage」を「ラビッジ」とカタカナにしてしまうと、「うさぎ (rabbit) 」のイメージになりそうですが、実際は「破壊」という激しい意味があります。
- 覚えるコツとしては、“ravage” の語源 “rapere”(奪う) と関連付けて、「激しく奪い去る → 大きな破壊をもたらす」というイメージを思い浮かべると定着しやすいでしょう。
- “the ravages of ~” の形をフレーズごとに覚えると、実際の文章でもスムーズに使えます。
以上が、名詞「ravage」の詳細な解説です。大きな被害や破壊を表す力強い単語ですので、ニュースや歴史の文脈などでよく見かけることがあります。ぜひ参考にしてみてください。
意味のイメージ
意味(1)
《複数形で》(…の)破壊の跡,惨害《+of+名》
意味(2)
〈U〉破壊[すること]