asylum
以下では名詞「asylum」について、多面的なポイントを網羅的に解説します。
1. 基本情報と概要
単語: asylum
品詞: 名詞 (noun)
意味(英語と日本語)
- 英語: “asylum”
- 日本語: 「避難所」「亡命先」「保護施設」「庇護」「(歴史的には) 精神病院」
「asylum」は、迫害などから逃れるための保護や避難先を指すときに使われる単語です。政治的迫害などを受けた人々を引き受ける場所や、その庇護(ひご)自体を意味します。正式な場面では「亡命申請」について話すときなどにも登場します。日常ではあまり頻繁に使われる単語ではありませんが、時事ニュースや国際関係、歴史を語る場面、法律的な文脈などで目にすることが多いです。
活用形
名詞なので、基本的には単数・複数形を持ちます。
- 単数形: asylum
- 複数形: asylums
ただし、日常的にはあまり複数形を見かけませんが、複数形として使われる場合は「施設(複数)」を指すときなどに使われます。
他の品詞形
「asylum」は名詞として使われることがほとんどで、他の品詞に変化する形は一般的ではありません。ただし、派生語や関連表現として形容詞的に「asylum-seeking (亡命申請中の)」のようなフレーズが使われる場合があります。
難易度 (CEFR レベル目安)
- B2 (中上級)
ニュース記事、政治や国際関係を扱う文章などで出てくる単語であり、ある程度語彙が増えてきた学習者が知っておくとよいでしょう。
2. 語構成と詳細な意味
語構成 (接頭語・接尾語・語幹など)
- “asylum”はギリシャ語の “asylon” (侵されない場所) に由来します。
- “a-” は「否定・無」を表すギリシャ語由来の接頭語。
- “-sylon” は「奪う、没収する」という意味を持つ語根。
- 合わさって「侵されない場所」「安全な避難所」のニュアンスになります。
- “a-” は「否定・無」を表すギリシャ語由来の接頭語。
派生語・類縁語
- asylum seeker: 亡命希望者、庇護を求める人
- right of asylum: 亡命権
よく使われるコロケーション(共起表現)や関連フレーズ(10個)
- seek asylum → 亡命を求める
- political asylum → 政治亡命 / 政治的庇護
- grant asylum → 亡命を認める / 庇護を与える
- apply for asylum → 亡命申請をする
- asylum seeker → 亡命希望者 / 庇護申請者
- offer asylum → 亡命を受け入れる / 保護を提供する
- deny asylum → 亡命を却下する
- mental asylum (historical usage) → 精神科病院(歴史的表現)
- refuge and asylum → 避難と庇護
- asylum claim → 亡命申請
3. 語源とニュアンス
「asylum」は、古代ギリシャ語「asylon」に由来します。もともとは「神聖な場所に対する略奪や暴力行為が許されない」という意味があり、そこから転じて「安全な聖域、避難所」という意味が根付いていきました。
歴史的な使われ方
- 古代では聖域や宗教施設などで、犯罪者や迫害を受ける者が一時的に逃げ込む場所としての意味合いが強かったとされています。
- 19世紀頃までは “lunatic asylum” という表現で「精神病院」を意味することが多く、「狂人収容所」というようなニュアンスで使われました。現在は精神病院をこう呼ぶのは差別的表現と考えられ、一般的ではありません。
使用時の注意点
- 「asylum」には「保護を求める」という切実さや公式性が含まれるため、主にニュースや政府の声明、国際法などフォーマルな文脈で使われることが多いです。
- カジュアルな日常会話ではあまり使いませんが、ニュースなどで見聞きする重要な単語です。
4. 文法的な特徴と構文
- 可算名詞: 基本的には「an asylum / the asylum」と記事が付きます。また、複数形「asylums」があるものの、文脈的には単数形で用いられることが主流です。
- フォーマルな文脈で登場しやすく、公的文書・ニュース・政治・法律文脈などがメイン。
一般的な構文
- “to seek (political) asylum”
- 亡命(政治亡命)を求める。
- 亡命(政治亡命)を求める。
- “to grant asylum”
- 亡命を認める。
- 亡命を認める。
- “to apply for asylum”
- 亡命申請をする。
イディオム・決まった表現
厳密に言うと慣用句(イディオム)として固定されている表現は少ないですが、上記のようなコロケーションは一種の慣用表現に近いです。
5. 実例と例文
日常会話 (カジュアル)
- “I heard she’s seeking asylum in Europe.”
- 「彼女はヨーロッパに亡命を申請しているらしいよ。」
- 「彼女はヨーロッパに亡命を申請しているらしいよ。」
- “He’s hoping to get asylum due to threats in his home country.”
- 「彼は母国での脅迫ゆえに亡命を望んでいるんだ。」
- 「彼は母国での脅迫ゆえに亡命を望んでいるんだ。」
- “They found a safe asylum in a neighboring country.”
- 「彼らは隣国に安全な避難所を見つけたよ。」
ビジネス (フォーマル)
- “The organization assists refugees applying for political asylum.”
- 「その組織は政治亡命を申請する難民を支援しています。」
- 「その組織は政治亡命を申請する難民を支援しています。」
- “Our legal team specializes in asylum cases.”
- 「当社の法務チームは亡命案件を専門としています。」
- 「当社の法務チームは亡命案件を専門としています。」
- “She addressed the asylum policy changes during the conference.”
- 「会議で彼女は亡命政策の変更点について述べました。」
学術的 / 公的・政治的な文脈
- “International laws recognize the right to seek asylum.”
- 「国際法は亡命申請する権利を認めています。」
- 「国際法は亡命申請する権利を認めています。」
- “The historical function of asylums extended beyond mere confinement.”
- 「歴史的には、精神病院には単なる収容所以上の役割がありました。」
- 「歴史的には、精神病院には単なる収容所以上の役割がありました。」
- “Debates on asylum often involve human rights and diplomatic relations.”
- 「亡命問題の議論では、人権と外交関係が絡むことが多いです。」
6. 類義語・反意語と比較
類義語
- “refuge” (避難所)
- 「refuge」も「安全な場所」を意味し、広い意味での「逃げ込む場所」というニュアンス。「asylum」が公式手続きや政治的庇護に焦点を当てるのに対し、 “refuge” はもっと一般的でカジュアルな言い方。
- 「refuge」も「安全な場所」を意味し、広い意味での「逃げ込む場所」というニュアンス。「asylum」が公式手続きや政治的庇護に焦点を当てるのに対し、 “refuge” はもっと一般的でカジュアルな言い方。
- “shelter” (避難所、保護施設)
- 「shelter」の方が日常的に「雨風をしのぐ避難所」「保護施設」を広く指す感じ。公式度があまり高くない。
- 「shelter」の方が日常的に「雨風をしのぐ避難所」「保護施設」を広く指す感じ。公式度があまり高くない。
反意語
- 明確な「反意語」は存在しませんが、「危険な場所 (danger, threat)」などは対極の概念に近いです。
7. 発音とアクセントの特徴
- IPA: /əˈsaɪ.ləm/
- アクセント(ストレス)は第2音節の “-sy-” の部分 (さイ-ləm) に置かれます。
- アクセント(ストレス)は第2音節の “-sy-” の部分 (さイ-ləm) に置かれます。
- アメリカ英語: [uh-SY-luhm]
- イギリス英語: [uh-SY-luhm]
- 大きな違いはあまりありませんが、「ə」の発音が若干異なるケースがあります。
- 大きな違いはあまりありませんが、「ə」の発音が若干異なるケースがあります。
- よくある間違いとして “a-ee-lum” と「アイ」の部分を伸ばし過ぎたり、“ay-sylum” と発音することがありますが、正しくは「ア・サイ・ラム」です。
8. 学習上の注意点・よくある間違い
- スペルミス
- aslyum, asylim などと字を入れ替えてしまうミスが発生しやすいので注意。
- aslyum, asylim などと字を入れ替えてしまうミスが発生しやすいので注意。
- 同音異義語との混同
- “a sine”や“a sign”など、まったく違う単語とは混同しにくいですが、綴り拾い読みで発音を間違えがち。
- “a sine”や“a sign”など、まったく違う単語とは混同しにくいですが、綴り拾い読みで発音を間違えがち。
- 試験での出題傾向
- 英検やTOEICなどで時事問題や社会問題の文脈で出ることがあります。特に英検準1級以上の読解や時事英語の設問で「政治的庇護」の文脈などが問われることがあります。
9. 記憶に残るヒントやイメージ
- 「a + sylum」で “a + silence(沈黙) っぽい印象” などと連想してみると、静かに守られる安全な場所をイメージしやすいかもしれません。
- “silent + safe place” → 安全ではあるが、外からは隔離されている感じ。
- ニュースなど時事英語の中で自然に目にしやすいので、時事問題を読む際に意識して覚えると記憶に定着しやすいです。
上記のように asylum は「公式の保護」「保護所」「亡命」と関係が深く、国際関係や社会問題について読む上で頻出する単語です。ぜひ活用の場面をイメージしながら覚えてみてください。
(孤児・盲人・狂人などの)保護収容所,養育院;〈U〉避難,保護