were it not for ...
「もし…がなければ」(倒置表現)
以下では、仮定法表現「were it not for ~」について、なるべく詳しく、わかりやすく解説します。
1. 基本的な意味と形
were it not for ~ は、「もしも~がなければ」という意味を表す仮定法の表現です。
同じ意味をもつ if it were not for ~ の if を省略し、主語と動詞が倒置(Were + 主語 + not ~)された形です。
例:
・(If it were not for) → Were it not for your support, I couldn’t do this.
(もしあなたの支えがなければ、私はこれができないだろう)
2. 仮定法過去のポイント
「were it not for ~」は仮定法過去を用いた表現で、現在の事柄を“もし~でなければ”という仮定のもとに述べる際に使われます。仮定法過去と聞くと「過去のことか」と思いがちですが、実際は「今起きていない状態」を想定するために動詞の形として“過去形”を使うのです。英語では「現実とは違う仮定」を伝えるときに過去形を使うというルールがあります。
また、この表現は「現在のこと」にも「過去のこと」にも使われることがあります。たとえば過去を前提とする場合も、締めくくりの助動詞を適切な形に変えれば問題ありません。
例:
・Were it not for his advice at that time, I would have failed.
(もしあのとき彼のアドバイスがなかったら、私は失敗していただろう)
3. 倒置構文の仕組み
もともと「if it were not for ~」だったのをifを省略すると、文頭に“Were”が来ます。これを倒置と言います。主語(it)の前に動詞(were)が来るため、以下の形になるのが特徴です。
「Were + 主語 + not + 前置詞 + 名詞...」
英語の仮定法では、if を省略するとこの倒置がよく行われます。たとえば「If I were you, I would...」を倒置して「Were I you, I would...」とするのも同じパターンです。
4. 言い換え表現
「were it not for ~」は、ほかにもいくつかの表現で置き換えられます。
- if it were not for ~
- 元の形をそのまま使うパターン。
- Without + 名詞
- 「~がなければ」というニュアンスを短い表現で表すことができる。
- 例: Without your help, I wouldn’t have succeeded.
- 「~がなければ」というニュアンスを短い表現で表すことができる。
- But for + 名詞
- 「もし~がなければ」「もし~がなかったら」という意味で使える。
- 例: But for your support, I would have given up.
- 「もし~がなければ」「もし~がなかったら」という意味で使える。
例:
・Were it not for your kindness, I would be lost.
→ If it were not for your kindness, I would be lost.
→ Without your kindness, I would be lost.
→ But for your kindness, I would be lost.
5. まとめ
- were it not for ~ は、主に「もし~がなければ」という意味で、if it were not for ~ から if を省略して倒置させた仮定法過去の表現。
- 「仮定法過去」だからといって常に過去の話をしているわけではなく、“現実と異なる仮定”を表すために過去形を用いる。
- Without ~ や But for ~ でも言い換えが可能で、いずれも条件がなければ実現しない、という仮定を表す。
- 文脈次第で「現在または過去に~がなければどうなっていたか」を示すことができ、その場合は助動詞の形(would/could + have + 過去分詞 など)を調整して使う。
このように、仮定法の中でも倒置表現にあたる「were it not for ~」は、英語でよく使われる印象的なフレーズの一つです。習得しておくと、条件を表す文章表現に幅をもたせられるでしょう。