倒置(Never/No sooner/Hardly/Little/Scarcely/Seldom ....)
準否定語による倒置
以下では、倒置構文の一種である「準否定語(Never / No sooner / Hardly / Little / Scarcely / Seldom など)」が文頭に来る場合について、より詳しく解説します。
準否定語とは?
英語には、以下のような「ほとんど~ない」「めったに~ない」などの意味をもつ副詞があります。これらは見かけ上は否定語ではないものの、文全体に否定的な意味合いを含むため「準否定語」と呼ばれることがあります。
- never(決して~ない)
- seldom(めったに~ない)
- rarely(めったに~ない)
- hardly(ほとんど~ない)
- scarcely(ほとんど~ない)
- little(ほとんど~ない)
- no sooner(~するとすぐに)
これらが文中にある場合、文自体は肯定文の形をとっていても、意味としては否定や否定に近いニュアンスをもつので、いわゆる「否定文」と同じ扱いになります。
倒置構文(Inversion)とは?
通常、英語の文は「主語(S)+ 動詞(V)+ …」の語順になりますが、特定の副詞や表現が文頭に出ると「助動詞(または be 動詞など)+ 主語(S)+ 動詞(V)」のように、主語と動詞がひっくり返る(=倒置)現象が起こります。
準否定語が文頭に来たときも、この倒置が起こるのが大きな特徴です。
例1)Seldom の場合
通常の語順(準否定語が真ん中にある場合)
He seldom visits that place.
(彼はめったにその場所を訪れない。)倒置が起こった語順(準否定語が文頭にある場合)
Seldom does he visit that place.
(めったに彼はその場所を訪れない。)
文頭に “Seldom” を置くと、後に助動詞の “do” / “does” / “did” が入り、主語と動詞が続きます。
例2)Never の場合
通常の語順
He never dances in public.
(彼は決して人前で踊らない。)倒置が起こった語順
Never does he dance in public.
(決して彼は人前で踊らない。)
倒置構文が必要になる理由
準否定語は意味的に否定を強調するような役割をもちます。その準否定語を文頭に置くことで、否定のニュアンスをより強く相手に伝える効果があります。一方、否定を表す副詞などが文頭にきた場合、英語では文法上、主語と助動詞を倒置させるルールがあります。これにより、倒置構文が生まれます。
倒置構文のつくり方
- 準否定語を文頭に置く。
- もともと助動詞がある場合は、それを主語の前に出す。
- 例)He can rarely see it. → Rarely can he see it.
- もともと助動詞がない場合は “do / does / did” を文頭に挿入する。
- 例)He seldom visits that place. → Seldom does he visit that place.
be動詞の場合
be動詞が使われている文では、be動詞自体が助動詞の役割をするため、do/did を使わずにそのまま倒置させます。
- 例)He is never late. → Never is he late.
主な準否定語の意味と倒置形の例
Never(決して~ない)
- 通常:He never goes there.
- 倒置:Never does he go there.
- 通常:He never goes there.
Seldom(めったに~ない)
- 通常:He seldom visits that place.
- 倒置:Seldom does he visit that place.
- 通常:He seldom visits that place.
Hardly(ほとんど~ない)
- 通常:I hardly saw him yesterday.
- 倒置:Hardly did I see him yesterday.
- 通常:I hardly saw him yesterday.
Scarcely(ほとんど~ない)
- 通常:She scarcely ate dinner.
- 倒置:Scarcely did she eat dinner.
- 通常:She scarcely ate dinner.
Little(ほとんど~ない)
- 通常:He little knows the truth.
- 倒置:Little does he know the truth.
- 通常:He little knows the truth.
No sooner(~するとすぐに)
- 通常:He no sooner arrived than he left again.
- 倒置:No sooner had he arrived than he left again.
(No sooner の場合は過去完了形とともに使われることが多いのもポイントです。)
- 通常:He no sooner arrived than he left again.
まとめ
- 準否定語(Never, Seldom, Hardly, Scarcely など)が文頭に置かれると、否定の強調を表すために倒置構文(助動詞+主語)の形を取ります。
- 助動詞がない場合でも「does / do / did」などを補って倒置を成立させます。
- もともと助動詞のある文や be 動詞の文では、それを主語の前に出して使います。
このように、準否定語が文頭に来るときには倒置が起こるというルールをしっかり押さえておきましょう。特にライティングやフォーマルな文章で否定を強調したいとき、あるいは試験などでよく狙われるポイントなので、ぜひ覚えておいてください。