to have been+過去分詞
「だった(ようだ)」を表すto不定詞
以下では「seem to do」と「seem to have + 過去分詞」の違いや、特に「to have been + 過去分詞」の形がどのように使われるかを、より詳しく解説します。例文も交えながら整理してみましょう。
1. 基本形「seem to do」の意味
- seem to do は「~のようだ」「~らしい」という意味を表します。
- 「seem」は主観的な推測や見た目、状況からの判断を表す動詞で、あとに不定詞(to + 動詞の原形)をとります。
例文
- She seems to be rich.
→「彼女はお金持ちのようだ。」
ここでは “She is rich” と断定しているわけではなく、「そう見える・そう感じられる」というニュアンスです。
2. 完了不定詞「seem to have + 過去分詞」の意味
- seem to have + 過去分詞 は、動詞の “have + 過去分詞” が「完了形」になります。
- “完了形+不定詞” は「過去または完了された状態・動作」についての推測を表します。
例文
- She seems to have been rich.
→「彼女は(過去に)お金持ちだったようだ。」
“She seems to be rich.”(現在お金持ちに見える)に対して、完了不定詞 “She seems to have been rich.” は、過去の状態を推測しているのがポイントです。過去に「彼女は金持ちだった」可能性が高いと判断しているニュアンスになります。
3. 「to have been + 過去分詞」の形
ここでは “been” が be 動詞の過去分詞形で、そのあとに入る形容詞や補語、または過去分詞自体が続いていると考えられます。とくに「to have been + 過去分詞」という形は、受動の意味を帯びることが多いです。
たとえば受動態の推測を表す場合は、下記のようになります。
- The painting seems to have been stolen.
→「その絵は盗まれたようだ。」
ポイント
- “to have been + 過去分詞” は受動の形なので、「~されたみたいだ」「~だったようだ」という受け身の文脈でよく使われます。
- 例文の “She seems to have been rich.” の場合、「been」は be 動詞の過去分詞、“rich” は形容詞ですが、その全体が「過去に(rich という状態)であったようだ」という推測を示します。
4. 時制イメージの整理
- seem to do: 今の状態を推測 → 「~のようだ」
- seem to have + 過去分詞: 過去の行為・状態を推測 → 「~だった(した)ようだ」
- seem to have been + 過去分詞: 過去に「~された」または「過去に~だった」状態を推測 → 「~されたようだ」「(過去に)~だったようだ」
たとえば “He seems to have been injured.” は「彼はケガをしたようだ(ケガをした状態のままかどうかはわからない)」という意味です。ここでは過去の出来事(怪我したこと)に対する推測を表しています。
5. よくある例文
“He seems to have lost his wallet.”
- →「彼は財布をなくしたようだ。」
- 過去の行為(なくした)を推測。
“They seem to have been invited to the party.”
- →「彼らはパーティーに招待されたようだ。」
- 受動態で過去の出来事(招待された)を推測。
“I seem to have misunderstood the instructions.”
- →「私はその指示を誤解していたようだ。」
- 自分の過去の行為に関して「誤解していた」らしいことを推測している。
6. まとめ
- seem to do: 「~のようだ」という現在または一般的な状態の推測。
- seem to have + 過去分詞: 「~だった(した)ようだ」という過去の行為・状態の推測。
- seem to have been + 過去分詞: 特に受動態として「~されたようだ」と過去の出来事を推測したり、形容詞が続いて「過去に~だったようだ」と状態を推測したりするときに使う。
このように「seem to have + 過去分詞」を使うと、過去の出来事や状態を推測するニュアンスが加わります。現在の状態どうこうではなく、「すでに起きた(または過去に存在した)ものかもしれない」というニュアンスをしっかり押さえておくと、自然な英文を組み立てられるようになります。