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unto
解説
前置詞「unto」を詳細に解説
1. 基本情報と概要
英語: unto
日本語: ~へ、~に対して(古風・文語的表現)
品詞: 前置詞 (preposition)
概要(英語と日本語の意味)
- 英語: “unto” is an archaic or literary preposition meaning “to” or “until,” often found in older texts such as the King James Bible.
- 日本語: 「unto」は古い文体や聖書の文章などで使われる、現代英語の “to” や “until” に近い意味を持つ前置詞です。「~へ」「~まで」「~に対して」というニュアンスがあります。
例:「I say unto you(汝に告げる)」は「I say to you」の古風な表現です。現代英語の日常会話ではほとんど使われませんが、古典文学や聖書などでは非常によく目にします。
品詞と活用形
- 品詞: 前置詞
- 前置詞のため、動詞のような「活用形」はありません。
他の品詞になった時の例
「unto」自体が他の品詞になることはありません。
CEFRレベルの目安
- C2(最上級)
非常に古風で文語的なので、現代の日常会話ではまず使われません。古典的文学や聖書を読む強度の高い読解力・ボキャブラリーが求められるため、C2レベル相当です。
2. 語構成と詳細な意味
語構成
- 「unto」は中英語頃から使われていた前置詞で、厳密な接頭辞や接尾辞というよりは “on + to” が融合した形といわれます。直接的に「un-」という接頭語の意味(「否定」など)とは無関係です。
詳細な意味
- to(~へ、~に向かって)
- until(~まで)
- toward(~に対して)
※ ただし、これらの意味で使われる場合はほとんどが古典的・文語的表現です。
関連コロケーション・フレーズ10選
- “I say unto you”
- (汝に告げる;あなたに告げる)
- (汝に告げる;あなたに告げる)
- “unto God”
- (神への)
- (神への)
- “speak unto him”
- (彼に語りかける)
- (彼に語りかける)
- “do unto others”
- (他人に…する)
- (他人に…する)
- “deliver unto me”
- (私に引き渡す)
- (私に引き渡す)
- “call unto me”
- (私を呼ぶ)
- (私を呼ぶ)
- “swear unto the Lord”
- (主に誓う)
- (主に誓う)
- “it shall be given unto you”
- (あなたに与えられるだろう)
- (あなたに与えられるだろう)
- “look unto the mountains”
- (山々を仰ぎ見る)
- (山々を仰ぎ見る)
- “unto the end of the earth”
- (地の果てまで)
3. 語源とニュアンス
語源
- 中英語の “unto” は “on + to” から派生した形と考えられています。古英語の “on tō” や “and tō” という表記も見られます。
歴史的な使われ方
- 聖書や古典文学など、フォーマルかつ古風な文書で盛んに使われてきました。特に英訳聖書(King James Versionなど)で「I say unto you」のように多用されています。
微妙なニュアンスや注意点
現代英語では極めて文語的・古風・荘厳な響きがあります。日常会話ではまず使用されないため、使うときは「古風な感じ」「引用表現」「聖書などからの引用」を念頭に置いた文脈がほとんどです。
口語ではなく、文章で使う場合も非常にフォーマル/文学的で、歴史や宗教テキスト、演説などで古典的な雰囲気を出すときに限られます。
4. 文法的な特徴と構文
- 前置詞(preposition)のため、目的語を後ろに伴う。
- 例: “I say unto you” → you (目的語) の前に unto が置かれる。
一般的な構文やイディオム
- “do unto others as you would have them do unto you”
(自分がしてもらいたいように人にしなさい)
→ 聖書の言葉として有名です。 - “come unto me” → “come to me” と同義(古風)。
フォーマル/カジュアル
- 超フォーマルあるいは古風・文語表現。
- カジュアルシーンでは使用されません。
可算・不可算、他動詞・自動詞など
- 前置詞のため、名詞のように可算・不可算はなく、動詞のように他動詞・自動詞の区分もありません。
5. 実例と例文
以下、場面別に例文を示します。古風・文語的な例文が多くなります。
日常会話(ただし、現代ではほぼ使用されない)
- “I speak unto you these words, though they be old-fashioned.”
- (古風ではあるけれど、これらの言葉をあなたに語ります。)
- (古風ではあるけれど、これらの言葉をあなたに語ります。)
- “Unto my friend, I confide my secrets, but only in jest.”
- (友人に私の秘密を打ち明けるけれど、それは冗談めいたものだけ。)
- “I shall give this letter unto you, though I doubt its use.”
- (その役割に疑いはあるが、この手紙をあなたに差し出します。)
ビジネス(通常は使わないが、あえて古風な書簡などで)
- “I present unto you the annual financial report in this formal address.”
- (この正式な文書にて、年次財務報告書をあなたに提出いたします。)
- “Let this serve as notice unto all employees of the new company policies.”
- (これにより、新たな会社方針を全従業員に通知します。)
- “We entrust unto the board the authority to make final decisions.”
- (最終決定を下す権限を取締役会に委ねます。)
学術的文脈
- “In referencing historical texts, scholars often look unto archaic prepositions for linguistic insight.”
- (歴史的文献を参照する際、研究者はよく古い前置詞を言語的考察のために調べます。)
- “Unto the medieval era, one finds many such expressions in manuscripts.”
- (中世の時代においては、多くの文献にそのような表現が見られます。)
- “The evolution of ‘unto’ is traced by etymologists for historical context.”
- (語源学者は歴史的背景を知るために「unto」の変遷を調査します。)
6. 類義語・反意語と比較
類義語
- to(~へ)
- 現代英語では「to」が最も一般的で、口語・文章問わず使われる。
- “unto” は古風に響くという違いがある。
- 現代英語では「to」が最も一般的で、口語・文章問わず使われる。
- toward/towards(~の方向へ)
- “unto” と同じく「~へ向かって」という意味だが、さらに「方向性」を強調。
- until(~まで)
- 時間の「~まで」を表す前置詞/接続詞。 “unto” も文語的に「~まで」という意味で使われる場合がある。
反意語
- from(~から)
- 「~へ」と「~に対して」の反対は「~から」。
- away from(~から離れて)
- 方向性として逆の意味をもつ。
7. 発音とアクセントの特徴
発音記号 (IPA)
- アメリカ英語: /ˌʌnˈtuː/
- イギリス英語: /ˌʌnˈtʃuː/ あるいは /ˌʌnˈtuː/ のように発音される場合も
強勢(アクセント)の位置
- 「un-TO」と、第二音節「to」に強勢がくることが多いです。
アメリカ英語とイギリス英語の違い
- 大きな差はありませんが、イギリス英語のほうが “t” の前後がやや舌を強めに当てる発音になりやすいです。
よくある発音の間違い
- “until” と混同して “/ˌʌnˈtɪl/” のように発音してしまう例がありますが、正しくは “/ˌʌnˈtuː/” です。
8. 学習上の注意点・よくある間違い
- スペルミス
- “unto” を “untill” や “untill” のように書いてしまう誤りがある。
- “unto” を “untill” や “untill” のように書いてしまう誤りがある。
- “unto” と “until” の混同
- 響きが似ているが、意味とスペルが異なる。 “until” は「~まで(の時間)」で現代的にも頻繁に使う。
- “unto” は古風・文語的劇的表現。
- 響きが似ているが、意味とスペルが異なる。 “until” は「~まで(の時間)」で現代的にも頻繁に使う。
- 同音異義語との混同
- 厳密には同音異義語はあまりないが、 “onto” (~の上へ) と混同しないように注意。
試験対策
- TOEICや英検などの日常的な英語試験ではほぼ出題されません。
- 古典文学や聖書英語に特化した文献読解が試験範囲となる一部の文学系コースや大学院レベル(C2相当)での読書などで目にする可能性があります。
9. 記憶に残るヒントやイメージ
- 「unto」は「古風な “to”」とイメージすればOK。「アン・トゥ」と発音することで、特に聖書や古典的シーンを思い起こしやすいでしょう。
- 現代英語の文章や会話で使う必要はほぼないため、「古い文献で見かける特化単語」として覚えておくと便利です。
- 「I say unto you」という聖書のフレーズを思い出せば容易に記憶に残ります。
(以上)
意味のイメージ
意味(1)
…に,の方へ,まで(to)