《古》(特に牛の)胆汁(たんじゅう) / (経験などの)苦さ,苦々しい思い《+『of』+『名』》 / 《英話》(…する)厚かましさ,ずうずうしさ《+『to』 do》
gall
1. 基本情報と概要
単語: gall
品詞: 名詞 (ときに動詞でも使われますが、ここでは名詞の意味を中心に解説します)
意味(英語)
- (主に文語的) Boldness or impudence(厚かましさ、図々しさ)
- Bitterness or resentment(苦々しさ、恨み)
- (生物学的) Bile(胆汁)
- (植物学的) A sore or abnormal growth on plants caused by insects or parasites(虫や寄生生物による植物のこぶ)
意味(日本語)
- 厚かましさや図々しさを表す言葉です。「よくそんなことが言えたね」というような「大胆なたち振る舞い」に対して使われます。
- 苦々しさ、恨み、憤りのような気持ちを指す場合もあります。
- 医学的・生理学的には「胆汁」を指すことがあります。
- 植物にできるこぶ(虫こぶ)のことを「gall」と呼ぶこともあります。
「gall」はやや古風または文語的であり、強い怒りや大胆さを強調するニュアンスで用いられることが多いです。
活用形
- 単数形: gall
- 複数形: galls
他の品詞形
- 動詞: gall (〜を苛立たせる、擦りむくなどの意味)
- 例:
His taunt galled me.
(彼のからかいは私を苛立たせた)
- 例:
難易度 (CEFR レベルの目安)
- B2(中上級): 一般的な会話・文章ではそれほど頻繁に登場しませんが、文学や報道などやや高度な文脈で見かけることがあります。
2. 語構成と詳細な意味
「gall」は、特に接頭語や接尾語を伴わない比較的短い単語です。語幹そのものが「gall」として機能します。
関連語や派生語
- galling (形容詞): イライラさせる、腹立たしい(動詞 gall の形容詞形)
- gallstone (名詞): 胆石(「胆汁」を意味する gall + stone)
- gall wasp (名詞): 植物の虫こぶを作る小さなハチ
よく使われるコロケーションや関連フレーズ(10個)
have the gall to do something
「図々しくも〜する」
例:He had the gall to accuse me of lying.
the gall of someone
「(人)の厚かましさ」
例:The gall of that man is unbelievable.
bitter gall
「苦々しさ」
例:The memory filled him with bitter gall.
swallow one’s gall
「怒り・恨みをこらえる」
例:She had to swallow her gall and stay polite.
vent one’s gall
「うっぷんを晴らす、恨みをぶちまける」
例:He vented his gall by writing a furious letter.
stir up gall
「怒り・恨みをかき立てる」
例:His remarks stirred up gall among the crowd.
a gall of bitterness
「深い苦々しさ、恨み」
例:He spoke with a gall of bitterness in his voice.
full of gall
「怒りや憤りでいっぱいの状態」
例:She was full of gall after being betrayed.
rinse away the gall (文芸的表現)
「苦しみや苦々しさを洗い流す」
例:He tried to rinse away the gall of his past mistakes.
enough gall to fill a river (誇張表現)
「並外れた図々しさや厚かましさ」
例:That politician has enough gall to fill a river.
3. 語源とニュアンス
「gall」の語源は古英語の「galla」(胆汁)にさかのぼり、さらにラテン語の「galla」に由来します。もともとは医学や健康の文脈で使われていた言葉ですが、苦みや憎しみの象徴として転じ、比喩的に「厚かましさ」や「憤り」といった意味を持つようになりました。
- ニュアンス: 現代では、「相手の無礼さや非常識さに驚く」ような場面で「gall」が使われることが多いです。やや強めの言葉なので、フォーマルな文章よりも、批判的な文脈や文学的表現でよく見られます。日常会話でも、皮肉や強い非難をこめて用いられますが、かなり感情的に響きます。
4. 文法的な特徴と構文
- 名詞(不可算名詞的に扱われる場合が多い): 例えば「He had the gall to do that.」のように、量や数ではなく概念的な厚かましさ・怒りを示します。
- フォーマル/カジュアル: 厚かましさを強調したいときなど、ちょっときつい表現として使われるので、ビジネスメールのような場面では注意が必要です。口語では批判的なニュアンスを強く与えます。
一般的な構文・イディオム
have the gall to + 動詞の原形
「〜するとは厚かましい(図々しい)」with (no) gall (文語的)
「(まったく)恨みなく、怒りなく」
例:She forgave him with no gall in her heart.
5. 実例と例文
(A) 日常会話での使用例
I can't believe he had the gall to ask for a favor right after insulting you.
(彼が侮辱した直後に平気で頼みごとをしてくるなんて信じられないよ。)It still fills me with gall thinking about how he cheated on me.
(彼が浮気したことを思うと、いまだに憤りを感じるよ。)You have a lot of gall showing up here after what you did.
(あんなことをしておいて、よくここに顔を出せるね。)
(B) ビジネスでの使用例
He had the gall to interrupt the CEO’s presentation to promote his own idea.
(彼はCEOのプレゼンを遮って自分のアイデアを宣伝するなんて図々しい人だ。)The competitor’s gall in copying our product design was truly shocking.
(競合他社が私たちの商品デザインを盗用するとは、本当に信じがたい厚かましさだ。)We should avoid letting bitterness and gall affect our negotiation strategy.
(恨みや憤りの感情が交渉戦略に影響しないように留意すべきだ。)
(C) 学術的・文献的な使用例
In ancient times, physicians believed an excess of gall contributed to aggressive behavior.
(古代では、医師たちは胆汁の過剰分泌が攻撃的な行動を引き起こすと考えていた。)The oak gall has long been studied for its unique parasitic interaction with wasps.
(オークにできる虫こぶは、ハチとの特異な寄生関係で昔から研究されている。)Shakespeare often used ‘gall’ to symbolize bitterness or moral corruption in his plays.
(シェイクスピアは自らの戯曲の中で「gall」を苦々しさや道徳的腐敗の象徴としてしばしば用いた。)
6. 類義語・反意語と比較
類義語
- impudence(厚かましさ)
- 「相手の立場を無視した失礼な態度」を主眼にする点が似ています。
- 「相手の立場を無視した失礼な態度」を主眼にする点が似ています。
- audacity(大胆さ、豪胆さ)
- 前向きな大胆さにも使われますが、ネガティブに「ずうずうしさ」としても使われます。
- 前向きな大胆さにも使われますが、ネガティブに「ずうずうしさ」としても使われます。
- nerve(神経、度胸)
- 「よくそんな神経があるね」という意味で「gall」と同様に人の図々しさを表現できます。
- 「よくそんな神経があるね」という意味で「gall」と同様に人の図々しさを表現できます。
反意語
- humility(謙虚さ)
- modesty(控えめ)
これらは「gall」の表す「図々しさ」や「苦々しさ」とは正反対の態度・性質を表す単語です。
7. 発音とアクセントの特徴
発音記号(IPA):
- イギリス英語: /ɡɔːl/
- アメリカ英語: /ɡɑːl/ (地域によっては /ɡɔːl/ と発音される場合もあります)
- イギリス英語: /ɡɔːl/
アクセントの位置: 単音節語のためアクセントは特に示す必要はありませんが、単語全体をしっかり /ɡɔːl/(英)または /ɡɑːl/(米)と伸ばして発音します。
よくある間違い:
gull
(カモメ)やgoal
(目標)と混同されやすいので注意が必要です。
8. 学習上の注意点・よくある間違い
- スペルミス:
gull
やgoal
、girl
と混同しないように気をつけましょう。 - 同音異義語との混同: イギリス英語だと「call」と似た音に聞こえる場合がありますが、頭文字をしっかり意識して発音してください。
- 試験対策: TOEIC や英検などではあまり頻出単語ではありませんが、文章読解問題などで表現力や文脈理解力を問われる際に出題される可能性があります。文学作品や時事解説で「相手を強く批判的に形容する」文脈として出ることがあります。
9. 記憶に残るヒントやイメージ
- 「gall」と「胆汁(bile)」は苦いイメージから、「苦々しさ」「図々しい」という感情を連想しやすい単語です。
- 「ガルッ!」と喉の奥から出すような音をイメージすると、相手に対する怒りや驚くほどの厚かましさを想像しやすいかもしれません。
- 実際に覚えるときには、自分が「信じられないほどの厚かましさ」を感じたエピソードを思い出しながら「He had the gall to …」を口に出してみるのがおすすめです。
以上が名詞「gall」の詳細な解説です。あまり日常的に使う単語ではありませんが、感情を表現するときに強い印象を与える言葉として覚えておくと便利です。いろいろな文脈で出会う可能性がありますので、ぜひ参考にしてください。
(経験などの)苦さ,苦々しい思い《+of+名》
《英話》(…する)厚かましさ,ずうずうしさ《+to do》
《古》(特に牛の)胆汁(たんじゅう)