元となった辞書の項目
abroad
解説
1. 基本情報と概要
単語: abroad
品詞: 副詞 (adverb)
CEFRレベル: B1(中級)
基本的な意味(英語):
・in or to a foreign country; overseas.
基本的な意味(日本語):
・海外で、海外に、「外国へ/で」という意味です。
日常的には「海外へ行く・海外で過ごす」など、「外国で生活したり活動する」ニュアンスで使われます。
活用形
- 副詞のため、動詞のような時制による変化はありません。
- 「abroad」は形容詞としては使われず、多くの場合は「He lives abroad.(彼は海外に住んでいる)」のように、副詞として文中に組み込まれます。
他の品詞形
- 「abroad」はもともと副詞としてのみ機能する単語なので、名詞や動詞などへの変化形はありません。
2. 語構成と詳細な意味
語構成
- 「a-」:古い英語や方言的表現で「~の状態に、~の場所に」という意味を持つ接頭語。
- 「broad」:広い、広範囲の、の意。
「abroad」は本来「広い場所にいる」→「自国の外に出ている」という発想から来ているとされています。
よく使われるコロケーション(共起表現)10選
- go abroad / 海外に行く
- travel abroad / 海外旅行をする
- study abroad / 海外留学をする
- live abroad / 海外に住む
- work abroad / 海外で働く
- move abroad / 海外に引っ越す
- spend time abroad / 海外で時間を過ごす
- send money abroad / 海外に送金する
- go on a trip abroad / 海外旅行に出かける
- abroad for business / 仕事で海外に行く
3. 語源とニュアンス
語源
- Middle English(中期英語)で “abrode” や “on brode” の形があり、古英語の “on brād” (on + broad) に由来すると言われています。 元々は「広い範囲に」というイメージから、「遠くへ」「外国へ」へと意味が拡大しました。
ニュアンス・使用上の注意
- 「海外・外国で」という意味を表すときにカジュアルからフォーマルまで幅広く使われます。
- 「出国する」「外国にいる」という状況を端的に指し、特別な感情的響きはありません。
- 書き言葉・話し言葉の両方で頻繁に用いられます。
4. 文法的な特徴と構文
副詞としての用法
- 例: “He went abroad last year.”(彼は昨年海外に行った)
- 単体で場所や位置を示すため、前置詞は不要です。
- 誤:“He went to abroad.”
- 正:“He went abroad.”
- 誤:“He went to abroad.”
- 例: “He went abroad last year.”(彼は昨年海外に行った)
「広範囲に、一般に」というやや古めの用法
- 例: “Rumors were spread abroad.”(噂が広く広まった)
- 現代では少しフォーマル・文語的な響きがあります。
- 例: “Rumors were spread abroad.”(噂が広く広まった)
よくある構文・表現
- “study abroad” (海外留学をする)
- “travel abroad” (海外旅行に行く)
- “work abroad” (海外で働く)
- “study abroad” (海外留学をする)
5. 実例と例文
日常会話での例文
- “I’m planning to go abroad next summer.”
→ (来年の夏に海外に行くつもりなんだ。) - “Have you ever lived abroad before?”
→ (海外に住んだことはある?) - “My cousin just came back from studying abroad.”
→ (私のいとこは海外留学から帰ってきたばかりなんだ。)
ビジネスシーンでの例文
- “He often travels abroad for conferences.”
→ (彼は会議のためにしばしば海外出張します。) - “Our company is looking to expand abroad by next year.”
→ (私たちの会社は来年までに海外へ事業拡大を検討しています。) - “Could you handle our overseas clients while I'm abroad?”
→ (私が海外にいる間、海外顧客の対応をお願いできますか?)
学術的な文脈での例文
- “Pursuing a PhD abroad can broaden your academic perspectives.”
→ (海外で博士号を取ることは学問的視野を広げます。) - “Many universities offer scholarships for research abroad.”
→ (多くの大学が海外研究の奨学金を提供しています。) - “Her fieldwork abroad greatly enhanced her dissertation.”
→ (彼女の海外でのフィールドワークは論文の質を大きく高めました。)
6. 類義語・反意語と比較
類義語
overseas(海外に/で)
- “overseas” も「海外で、海外へ」という意味の副詞・形容詞ですが、「海を越えた先の」というニュアンスがより強い。
- 例: “I plan to study overseas.” / “I plan to study abroad.” いずれも「海外留学する」という意味。
- “overseas” も「海外で、海外へ」という意味の副詞・形容詞ですが、「海を越えた先の」というニュアンスがより強い。
internationally(国際的に)
- “abroad” よりも「国際的視点で」「世界的に」というニュアンスが強い。海外での活動だけでなく、国を跨ぐ取引や状況にも使われる。
反意語
- domestically / at home (国内で、自国で)
- “abroad” が「海外」の意味であるのに対し、「domestically」「at home」は「国内で」や「自国で」を表します。
7. 発音とアクセントの特徴
IPA表記
- イギリス英語 (British English): /əˈbrɔːd/
- アメリカ英語 (American English): /əˈbrɔːd/ または /əˈbrɑːd/
アクセントは語末近くの “-broad” の部分に置かれます。
よくある発音ミス
- “a-broad” の “a-” を強く発音しすぎる場合がありますが、実際には弱いシュワー(ə)で始まります。
- 「abroad」と「aboard」(乗船して、搭乗して)のスペルや発音の混同に注意しましょう。
8. 学習上の注意点・よくある間違い
前置詞の重複
- 誤: “I went to abroad.”
- 正: “I went abroad.”
“abroad” 自体が場所表現なので “to” は不要。
- 誤: “I went to abroad.”
「aboard」との混同
- “aboard” は「船や飛行機に搭乗して」などを表すため意味が全く異なります。スペルも似ているため注意。
TOEICや英検などでの出題例
- 「海外出張(business trip abroad)」や「海外留学(study abroad)」などの表現問題が出ることが多いです。
9. 記憶に残るヒントやイメージ
- 「a + broad」で「広い世界に飛び出す」と覚えるとイメージがわきやすいです。
- 「abroad」は「飛行機の搭乗 (aboard)」ではなく「海外 (abroad)」としっかり意識してスペルを区別しましょう。
- 「study abroad(海外留学)」「go abroad(海外へ行く)」などのフレーズから覚えると記憶に定着しやすいです。
以上が副詞 “abroad” の詳細な解説です。海外での体験や外国での活動を幅広く表す便利な単語なので、ぜひ活用してみてください。
意味のイメージ
意味(1)
海外へ(で),外国に(で)
意味(2)
《古》戸外へ
意味(3)
広く;(うわさなどが)広まって