元となった辞書の項目
prior to
解説
1. 基本情報と概要
単語・表現: prior to
品詞: 一般には前置詞句(prepositional phrase)として扱われますが、一部文法書や文脈によっては「before」のように副詞的に用いられることもあります。
※学習者の便宜上、ここでは「前置詞(句)としての用法が中心」と考えてください。
英語の意味: “before” (in time), すなわち「~の前に」を意味します。
日本語の意味: 「~の前に」、「~より前に」。
「prior to」はフォーマルな表現で、「before」よりも少し格式ばった印象があります。「ある物事が起こる前に」というニュアンスです。会議を始める前や行動を起こす前など、やや正式な場面でよく使用されます。
- CEFRレベル: B2(中上級)
- 文学やビジネスなどフォーマルな文脈でも用いられるため、初級レベルを超えた表現です。
活用と他品詞への派生
- prior(形容詞): “prior appointment”「先約」などのように「前の/先の」という意味で使われます。
- priorities(名詞形 priority の複数形): 「優先事項」という意味ですが、語源としては「prior(前にくる重要なもの)」と関連があります。
「prior to」は句として固定表現のため、特に動詞のように活用形はありません。
2. 語構成と詳細な意味
- prior: もともと「前にある」「先行する」という意味。
- to: 前置詞としてのto。
「prior to」は「時間や出来事が起こる前」を表し、フォーマルな文やビジネス文書、法律文書などで頻繁に見られます。
よく使われるコロケーション・関連フレーズ(10個)
- prior to the meeting
- 日本語訳: 「会議の前に」
- 日本語訳: 「会議の前に」
- prior to departure
- 日本語訳: 「出発の前に」
- 日本語訳: 「出発の前に」
- prior to approval
- 日本語訳: 「承認の前に」
- 日本語訳: 「承認の前に」
- prior to release
- 日本語訳: 「公開(リリース)の前に」
- 日本語訳: 「公開(リリース)の前に」
- prior to signing
- 日本語訳: 「署名する前に」
- 日本語訳: 「署名する前に」
- prior to graduation
- 日本語訳: 「卒業する前に」
- 日本語訳: 「卒業する前に」
- prior to the event
- 日本語訳: 「そのイベントの前に」
- 日本語訳: 「そのイベントの前に」
- prior to the deadline
- 日本語訳: 「締め切り前に」
- 日本語訳: 「締め切り前に」
- prior to purchase
- 日本語訳: 「購入する前に」
- 日本語訳: 「購入する前に」
- prior to employment
- 日本語訳: 「雇用の前に」
3. 語源とニュアンス
語源:
- 「prior」はラテン語の”prior” (より前の/前任の)に由来しています。この語は本来「先を行く」「優先する」という意味合いを持ちます。
- 「to」は単独で「~へ」「~に向かって」「~に対して」を表す前置詞ですが、「prior」と組み合わせることで、「~より前に」という特有の意味が確立しています。
ニュアンス・使用時の注意点:
- 「before」よりもフォーマル、あるいはビジネス文書的な響きが強いです。
- 契約書や報告書など、改まった文章での使用が好まれます。会話では「before」で代用することがほとんどですが、正式な印象を出したいときは「prior to」を使う場合もあります。
4. 文法的な特徴と構文
- 文法上は前置詞句(prepositional phrase)
- 後に名詞や動名詞(V-ing)が続きます。
- 例: Prior to signing the contract, you should read it thoroughly.
- 後に名詞や動名詞(V-ing)が続きます。
- フォーマルな文での使用
- 公文書・ビジネスレターなどで好まれます。
- 公文書・ビジネスレターなどで好まれます。
- カジュアル/フォーマル
- カジュアル→「before」
- フォーマル→「prior to」
- カジュアル→「before」
5. 実例と例文
日常会話(カジュアルな例)
- “I want to check my email prior to leaving the house.”
- (家を出る前にメールを確認したい。)
- (家を出る前にメールを確認したい。)
- “Please call me prior to your arrival so I can meet you outside.”
- (到着する前に電話してくれる?外で迎えに行くから。)
- (到着する前に電話してくれる?外で迎えに行くから。)
- “I usually do some warm-up exercises prior to running.”
- (走る前に、普段ウォーミングアップをするんだ。)
ビジネスシーン(フォーマルな例)
- “It is recommended that all documents be reviewed prior to the meeting.”
- (会議の前に全ての書類を見直すことを推奨します。)
- (会議の前に全ての書類を見直すことを推奨します。)
- “We must obtain managerial approval prior to implementing this plan.”
- (このプランを実施する前に、管理職の承認を得なくてはなりません。)
- (このプランを実施する前に、管理職の承認を得なくてはなりません。)
- “Please submit your financial statements prior to the deadline.”
- (締め切り前に財務諸表を提出してください。)
学術的な文脈(アカデミックな例)
- “Prior to conducting the experiment, the participants were asked to sign a consent form.”
- (実験を行う前に、被験者には同意書に署名を求めました。)
- (実験を行う前に、被験者には同意書に署名を求めました。)
- “The findings suggest a significant increase in data accuracy prior to the software update.”
- (この調査結果は、ソフトウェアのアップデート前にデータの正確性が大幅に向上したことを示唆しています。)
- (この調査結果は、ソフトウェアのアップデート前にデータの正確性が大幅に向上したことを示唆しています。)
- “Prior to analyzing the results, researchers compiled all the raw data.”
- (結果を分析する前に、研究者たちはすべての生データをまとめました。)
6. 類義語・反意語と比較
類義語
- before(~の前に)
- 最も一般的。カジュアルからフォーマルまで幅広く使える。
- 最も一般的。カジュアルからフォーマルまで幅広く使える。
- ahead of(~より前に)
- 時間・順位・位置のいずれの意味でも使えるが、やや口語的。
- 時間・順位・位置のいずれの意味でも使えるが、やや口語的。
- in advance of(~に先立って)
- 「あらかじめ」というニュアンスが強く、ビジネスシーンでも使用可。
反意語
- after(~の後に)
- 「prior to」と正反対の意味。
ニュアンスの違い:
- 「prior to」は「before」よりもフォーマル。
- 「ahead of」は位置や順番にも使えて口語的。
- 「in advance of」は「準備をしておく」イメージを伴うことが多い。
7. 発音とアクセントの特徴
発音記号(IPA)
- “prior”: /ˈpraɪ.ər/ (米: /ˈpraɪ.ɚ/)
- “to”: /tuː/ (口語では /tə/ と弱まる場合も多い)
- “prior”: /ˈpraɪ.ər/ (米: /ˈpraɪ.ɚ/)
アクセントの位置
- 「prior」の第一音節 “pri” に強勢があります。
アメリカ英語とイギリス英語
- アメリカ英語: /ˈpraɪ.ɚ/
- イギリス英語: /ˈpraɪ.ər/
- /ə/ の部分がアメリカ英語では /ɚ/ (r音が強く発音される)になることが多いです。
- アメリカ英語: /ˈpraɪ.ɚ/
よくある発音の間違い
- /praɪ.ˈɔːr/ のように “o” を強く発音してしまうこと。正しくは「プライア」あるいは「プライアー」のように発音します。
8. 学習上の注意点・よくある間違い
- スペルミス: “perior to”、“prier to”などと誤記してしまう。
- カジュアルな文脈との使い分け: 日常会話では「before」が自然なので、誤って「prior to」を多用すると不自然に聞こえがちです。
- 試験での出題傾向: TOEICやビジネス英語関連の試験では「formal expression for ‘before’」として認識することで、読解で有利になります。
9. 記憶に残るヒントやイメージ
- 「prior」は「priority(優先事項)」と同じ語源。「あるものより先に」というイメージで覚えておくとわかりやすいです。
- フォーマルに「前に」を言いたいときは「before」ではなく「prior to」。
- 「priority=最優先」「prior to=その前」など、単語が関連しているイメージを持つと覚えやすくなります。
「prior to」はフォーマルな場面で使われる「before」の言い換え表現です。法的文書やビジネス文書で出会う機会が多いので、意味とニュアンスの違いをしっかり押さえておきましょう。
意味のイメージ
意味(1)
【副】《かたく》 〈事〉に先だって, ...の前に