1. 基本情報と概要

単語: its

品詞: 代名詞（所有代名詞 / 所有格）

意味（英語）: belonging to it

意味（日本語）: 「それの」「そのものに属する」という意味を表す代名詞です。「it」の所有格で、そのものが持っているもの、そのものに関係するものを示します。

こういう場面で使われる：動物・物（無生物）について、「そのものの～」という所有関係を示したいときに使えます。人間の所有格は「his」「her」「their」などですが、モノや動物で性別がない・性別が不明な場合には「its」を使います。

活用形:

• 「it」(主格・目的格) → 「its」（所有格）
  


• 代名詞「it」には、主格・目的格と所有格がそれぞれあり、所有代名詞としての独立形「its（もの）」は日常会話ではほとんど使われません。たとえば「This book is its.」というような表現は一般的には使われません。

他の品詞形:

• 形容詞や動詞になる形はありません。「it」は代名詞のみです。

CEFRレベル: A2（初級）

A2は「初級」レベルです。英語学習を始めて日常生活に関する内容を学ぶ段階で、所有代名詞の概念や使い分けの中で出てくる語です。

2. 語構成と詳細な意味

「its」の構成:

• 「it」（それ）+ 所有格の「's」(元々は “-s” のような形ですが、人称代名詞ではアポストロフィがありません)
  


• ただし「it’s」は「it is / it has」の省略形なので、スペルに注意が必要です（詳しくは8. 学習上の注意点で解説）。

派生語や関連表現:

• 「it」(それ) → 「its」(そのものの)
  


• 「itself」(それ自身)

よく使われるコロケーションや関連フレーズ（10個）

1. its name（その名前）
   


2. its color（その色）
   


3. its size（その大きさ）
   


4. its shape（その形）
   


5. its function（その機能）
   


6. its tail（そのしっぽ）※動物に対して
   


7. its value（その価値）
   


8. its origin（その起源）
   


9. its purpose（その目的）
   


10. in its entirety（その全体において）

3. 語源とニュアンス

語源:

• 「it」は古英語の hit に由来するとされており、英語で三人称単数中性を示す代名詞として使われてきました。
  


• 所有格の形「its」は17世紀頃になるまでは一般的に使用されておらず、古い英語表現では「his」が物や無生物にも使われることがありましたが、徐々に「its」が確立しました。

ニュアンス・使用時の注意:

• 人間でないものの所有を示すときに使うのが原則です。
  


• ペットなど、飼い主が愛情をこめて「he」「she」と呼ぶ場合は「his」「her」が使われることもあります。
  


• 「It’s (it is / it has)」と混同しやすいので注意が必要です。

使用シーン:

• 日常的な会話や文章で、動物や物の所有を言及するときに幅広く使われます。フォーマル・カジュアルどちらでも問題ありません。

4. 文法的な特徴と構文

文法ポイント:

• it（主格・目的格）: それ／それを
  


• its（所有格）: それの
  


• itself（再帰代名詞）: それ自身
  

「its」は可算・不可算の区別がない代名詞ですが、指し示す名詞が可算・不可算かに関わらず所有を示すことができます。

一般的な構文:

• “Its + 名詞 + 動詞…”
  
  
  
  • 例: “Its cover is made of leather.”（そのカバーは革製だ。）
  
  

イディオムは特に少ないですが、よくあるフレーズとして “in its prime” (全盛期に) などがあります。

5. 実例と例文

以下では「日常会話」「ビジネス」「学術的文脈」のそれぞれで3例ずつ示します。

5.1 日常会話での例文

1. “That cat is so cute. Its fur is really soft!”
   
   （あの猫、すごく可愛いね。その毛は本当にふわふわだよ！）
   


2. “The car won’t start. Maybe its battery is dead.”
   
   （車が動かないよ。バッテリーが上がったのかも。）
   


3. “I love this phone for its camera quality.”
   
   （この携帯電話はカメラの画質がいいところが気に入っている。）

5.2 ビジネスでの例文

1. “Could you check the machine to ensure its components are functioning correctly?”
   
   （機械の部品がきちんと動作しているかどうか確認してもらえますか？）
   


2. “The company updated its policy regarding remote work.”
   
   （その会社はリモートワークに関する方針を更新しました。）
   


3. “Our product has received great feedback from its early adopters.”
   
   （私たちの製品は早い段階で導入したユーザーからとても良い評価を受けています。）

5.3 学術的な文脈での例文

1. “The study revealed that the plant adapts its growth pattern in response to sunlight.”
   
   （その研究は、その植物が日光に応じて成長パターンを変えることを明らかにした。）
   


2. “Each theory has its strengths and limitations.”
   
   （どの理論にも、それぞれの強みと限界がある。）
   


3. “The experiment suggests that the software may refine its algorithm over time.”
   
   （その実験は、ソフトウェアが経時的にアルゴリズムを改善していく可能性を示唆している。）

6. 類義語・反意語と比較

類義語:

• “her/his”（その人の）、“their”（彼らの）
  
  
  
  • ただし、「its」は人間以外（無生物や動物）への所有表現です。
    
  
  
  • 例: “The dog wagged his tail.” → 飼い主がオスだと認識している犬なら「his」、性別が不明または特に意識しないなら「its」。
    
  
  

反意語:

• 直接の反意語というものはありませんが、所有を示さない形としては「it」(それ) があります。

7. 発音とアクセントの特徴

IPA: /ɪts/

• 発音するときは「イッツ」と短く発音し、母音(a,i,u,e,o)ではなく子音の連続に近い感覚です。

アメリカ英語とイギリス英語:

• どちらでも /ɪts/ の発音はほぼ同じです。
  


• 強勢（アクセント）は特に大きな違いはなく、シラブルも一拍です。

よくある発音の間違い:

• 「it’s（イッツ）」との混同。「it’s」は /ɪts/ か /ɪts/（省略が強調される場合は/t/を強く出したりする）など発音は同じですが、つづりが違う点に注意しましょう。

8. 学習上の注意点・よくある間違い

1. it’s と its の混同

   
   
   • “it’s” = “it is” または “it has” の省略
     
   
   
   • “its” = 所有代名詞
     
   
   
   • 例: “It’s important to check the car for its maintenance schedule.”
     
     （チェックすることは大事→それのメンテナンススケジュール → 前半のit’sは「it is」、後半のitsは「そのものの」）
     
   
   



2. スペルミス

   
   
   • 気を付けないと “it’s” と書いてしまいがち。
   
   



3. 人を指してしまう

   
   
   • 人間を指すときは、基本的には “he,” “she,” “they,” など別の代名詞を使います。
   
   



4. 試験での出題傾向

   
   
   • TOIECや英検などでは、文章中に「it’s」と「its」で意味が変わる箇所をきちんと見分けられるかが問われることがあります。
   
   

9. 記憶に残るヒントやイメージ

• “it’s” と “its” を区別するコツとしては “his” にはアポストロフィがない！ → 同じく“its”もアポストロフィがない！
  


• スペルをすばやく確認するなら「‘s があったら動詞が隠れているかも」と疑う癖をつけるとよいです。
  


• イメージで覚えるなら「dog = its tail（犬＝そのしっぽ）」のようにペアでよく使う例を思い浮かべましょう。「犬(モノ扱い)はそのしっぽを持っている → its tail！」とセットにするイメージで覚えると簡単です。

以上で、代名詞「its」についての解説になります。学習する際には “it’s” との区別に注意して、「物や動物の所有」を表すときに自然に使えるよう練習してみてください！