元となった辞書の項目
give back
解説
1. 基本情報と概要
単語: give back
品詞: 句動詞 (phrasal verb)
意味(英語): to return something to its owner or to restore something to its original place/state
意味(日本語): 「返す」「元に戻す」という意味の表現です。何かを他人や元の状態に“戻す”ときに使われるフレーズです。カジュアルな場面でもビジネスの場面でもよく使われます。
- CEFRレベル: B1(中級)
学習経験者であれば、比較的スムーズに理解でき、会話や文章に取り入れやすい表現です。
活用形
「give back」は句動詞で、通常「give」の動詞の活用形が変化します。
- 原形: give back
- 三人称単数現在形: gives back
- 過去形: gave back
- 過去分詞: given back
- 現在分詞: giving back
他の品詞形
- 「give」自体は動詞ですが、形容詞や名詞の形に変わるわけではありません。
ただし、「give」が名詞として「ギブ(ゴルフなどで短いパットを相手に与える行為)」のように使われることもあるなど、一部特殊用法はありますが、一般学習者にはあまり馴染みがないため、ここでは割愛します。
2. 語構成と詳細な意味
- give: 動詞。「与える」「渡す」という意味。
- back: 副詞の用法として「元の場所へ」「後ろへ」という意味で使われる。
「give back」は、単に「与える (give)」ではなく、「もとの場所や所有者に返す」ニュアンスを強調する句動詞です。
他の単語との関連性・派生語
- give away (譲る、タダで与える)
- give out (配る、発表する)
- give up (諦める)
よく使われるコロケーション(共起表現)や関連フレーズ(10個)
- give back support → 支援を返す / 支える
- give back a refund → 返金をする
- give back to society → 社会に還元する
- give back an item → 品物を返す
- give back the change → お釣りを返す
- give back one’s time → 時間を返す(時間の無駄を取り戻すという比喩的表現)
- give back a book → 本を返す
- give back a right → 権利を返す/復元する
- give back a privilege → 特権を返上する
- give back power → 権力を返還する
3. 語源とニュアンス
- 語源: 「give」は古英語の “giefan” や他のゲルマン語に由来します。
- 「back」も古英語 “bæc” に由来し、「後ろ」「背中」などの意味を持ちます。
- これらが組み合わさった「give back」は、「与えられたものを元に戻す」ことが基礎的なニュアンスです。
使用時のニュアンス・注意点
- カジュアル/フォーマルどちらでも使えますが、フォーマルな文書では「return」のほうが硬く聞こえます。
- 感情的な響きはあまり強くなく、「元に戻す、返す」という行為を事実として述べるフレーズです。
- 個人間の貸し借りのほか、社会貢献(“give back to society”)のような抽象的な文脈にもよく登場します。
4. 文法的な特徴と構文
- 句動詞なので、「give」+「back」の順序を分離しないのが基本形です。ただし、代名詞を置く場合には「give it back」のように「代名詞 + back」とします。
例: “I must give it back to him.” - 他動詞的に目的語を取ります。目的語は「返す対象のもの」や「返す相手」によって配置が変わります。
一般的な構文例
- give + (物) + back (to + 人): (物)を(人)に返す
例: “I should give the book back to you.”
イディオム
- give back to the community: 「コミュニティに恩返しをする」
- give back one’s mind: あまり一般的でない表現ですが、「集中力を取り戻す」ようなニュアンスで詩的に使われることがあります。
5. 実例と例文
日常会話(カジュアルな文脈)
- “Could you give back my phone charger when you’re done?”
(使い終わったら私の充電器を返してくれる?) - “I need to give back this book to the library.”
(この本、図書館に返さなきゃ。) - “Don’t forget to give back the keys before you leave.”
(出る前に鍵を返すのを忘れないでね。)
ビジネス(フォーマル/セミフォーマルな文脈)
- “Please give back the signed contract by Friday.”
(署名済みの契約書を金曜日までにご返送ください。) - “We aim to give back to society by investing in local charities.”
(私たちは地域の慈善活動に投資をすることで社会に貢献することを目指しています。) - “Kindly give back the files once you have finished reviewing them.”
(ファイルの閲覧が終わりましたら、ご返却ください。)
学術的な文脈
- “The institution decided to give back the ancient artifacts to their country of origin.”
(その機関は古代の工芸品を元の国に返還することを決定しました。) - “Researchers must always give back borrowed samples after analysis.”
(研究者は分析後、借りたサンプルを必ず返却しなければなりません。) - “The museum will give back the collection to its rightful owner.”
(博物館はコレクションを本来の所有者へ返還する予定です。)
6. 類義語・反意語と比較
類義語
- return (返す)
- “return” は「きちんと返却する」という響きがあり、フォーマルな文脈でも使いやすいです。
- 例: “Please return the documents by Monday.”
- “return” は「きちんと返却する」という響きがあり、フォーマルな文脈でも使いやすいです。
- restore (元の状態に戻す)
- 「状態」に重点があり、原状回復のニュアンスが強いです。物でもシステムでも使えます。
- 例: “You have to restore the old settings if you make any changes.”
- 「状態」に重点があり、原状回復のニュアンスが強いです。物でもシステムでも使えます。
- hand back (手渡しで返す)
- “hand” が強調されるため、直接手で返すイメージが強いです。
- 例: “Could you hand back my pen? I need it right now.”
- “hand” が強調されるため、直接手で返すイメージが強いです。
反意語
- take away (持ち去る)
- 物を持ち去って返さないニュアンスが強い。
- 例: “They took away the documents and never gave them back.”
- 物を持ち去って返さないニュアンスが強い。
7. 発音とアクセントの特徴
- 発音記号 (IPA): [ɡɪv bæk]
- アメリカ英語 (US): “ギヴ バック”(子音 /v/ をやや強めに発音)
- イギリス英語 (UK): “ギヴ バック”(日本語に近い /ɡɪv/ ですが、/ɪ/ を短めに)
アクセントは “give” にあります。ふつう、二音節以上の単語ではありませんが、自然に “give” のほうを強めに発音します。
よくある発音ミス
- /v/ を /b/ や /f/ と混同する。
- “back” において /æ/(短いアの音)を上手く出せず、[bʌk] のようにしてしまう。
8. 学習上の注意点・よくある間違い
- スペルミス: “give” を “giev” と間違うケース。
- 句動詞の分離: 代名詞を使う場合は “give it back” など、「it」を間に入れる必要がある。 “give back it” は文法的に誤り。
- 混同: “give up” (諦める)、 “give in” (屈服する)、 “give out” (配る・尽きる) など、類似の句動詞に注意。
- 試験対策: TOEIC や英検でも「句動詞」の理解を問う問題として出題されることがあるので、前置詞・副詞と組み合わせた表現は注意深く覚えること。
9. 記憶に残るヒントやイメージ
- イメージ: 「手に持っているものを相手の方へ再び(“back”) 与える(“give”)」とイメージするとわかりやすいです。
- スペリングのポイント: “give” の i と v の位置に注意。
- 勉強テクニック: “give back” と“return”を使い分ける文を作り、比べて覚えると混同しにくくなります。
- 関連ストーリー: 「図書館の本を借りて返す(日常シーン)」や「借りたものを返さず怒られるシーン」など身近なドラマを思い浮かべてみると、定着を促進できます。
以上が「give back」の詳細解説です。何かを「返す」「元の状態に戻す」というシンプルな表現ですが、日常からビジネス・社会貢献など幅広い文脈で役立ちます。ぜひ例文を参考に、実際のコミュニケーションでも使ってみてください。
意味のイメージ
意味(1)
【句動】《...に》を返す,を還元する,を取り戻させる,のお返しをする《to ...》