元となった辞書の項目
near
IPA(発音記号)
解説
以下では、副詞“near”をできるだけ詳しく解説します。マークダウン形式でまとめていますので、学習の参考にしてください。
1. 基本情報と概要
- 単語: near
- 品詞: 副詞 (ただし、形容詞・前置詞・動詞としても使われることがあります)
- 意味 (英語): Close in distance or time
- 意味 (日本語): 「近くに」「もう少しで」「ほとんど」などの意味を持ち、物理的・時間的に距離が小さいことを表します。
「誰かや何かに物理的に近い場所にいるとき」や「ある出来事の時期が近いとき」に使われる副詞です。形容詞や前置詞としても使われますが、副詞の場合は「近い位置・近い時期に」というニュアンスを示します。
CEFRレベルの目安
- A2(初級)~B1(中級)程度
基本的な会話や文章でよく目にする単語なので、初級後半から中級の範囲で取り扱われることが多いです。
【活用形】
- 副詞なので時制の変化はありませんが、関連する形として、形容詞・前置詞としての“near”や副詞“nearly”(ほとんど)などがあります。
【他の品詞例】
- 形容詞 “near”: The near side of the building (「建物の近い側」)
- 前置詞 “near”: He lives near the station (「彼は駅の近くに住んでいる」)
- 動詞 (まれ) “to near”: We are nearing the end of the project (「プロジェクトの終わりが近づいている」)
2. 語構成と詳細な意味
“near”はもともと古英語で「近く」を意味する語から派生しています。
- 語幹: near(特別な接頭語・接尾語はなし)
よく使われるコロケーション・関連フレーズ(10個)
- come near(近づく)
- go near(近くへ行く)
- draw near(近づいてくる)
- stay near(そばにいる)
- hover near(近くをうろうろする)
- move near(近づく)
- lie near(すぐそばにある)
- never come near(全然近づかない)
- near enough(ほとんど十分に近く)
- near completion(ほぼ完了に近い)
これらは文脈によっては副詞・前置詞のように機能しますが、「近くに」「ほぼ近いところで」という意味合いが軸になります。
3. 語源とニュアンス
- 語源: 古英語の nēar(「近い」の比較級)に由来。語源的には“nere”(近い)が変化した形とされています。
- 歴史的使用: 中世から現代にかけて、「近い場所・時期」を示す語として幅広く使われています。
- ニュアンス: “near”が副詞として使われる時は、距離的にも時間的にも「かなり近い」という感覚を伝えます。カジュアルな会話でも書き言葉でも比較的よく使用されますが、口語であれば“close”や“nearly”などが使われる場合も多いです。
使用時の注意点
- 「物理的に近い」と「時間的に近い」ニュアンスが両方ありますが、会話では文脈ですぐわかります。
- フォーマル・カジュアル問わず利用されますが、文語調では“nearby”や“nearly”が使われることが多い場合もあります。
4. 文法的な特徴と構文
- 副詞 “near”: 「場所や時間が近いこと」を副詞的に示す。
例: The end of the semester draws near. - 形容詞 “near”: 修飾する名詞を指して「近い」という性質を持つ。
例: The near side of the moon. - 前置詞 “near”: 場所を示す時に用い、「〜の近くに」という関係を示す。
例: He lives near the lake. - 動詞 “to near”: やや文語的・技術的な文脈で「近づく」を表す。
例: We are nearing the deadline.
イディオム
- come near: 「〜になりかける/ほぼ〜になる」
例: He came near to quitting his job.
フォーマル/カジュアル
- 一般的に“near”自体はフォーマル・カジュアルどちらでも使えます。文脈次第で丁寧さが変わります。
5. 実例と例文
(1) 日常会話
- “I heard summer is near. Are you planning any vacation?”
(夏がすぐそこまで来ているって聞いたよ。何か休暇の計画はある?) - “Don’t come near the stove; it’s hot.”
(ストーブに近づかないで。熱いから。) - “She won’t go near that dog because she’s afraid of it.”
(彼女はその犬が怖いから近くに寄ろうとしないよ。)
(2) ビジネス
- “The project is near completion, so let’s prepare for the final presentation.”
(プロジェクトはほぼ完了に近いので、最終プレゼンの準備をしましょう。) - “We should stay near our budget limits to avoid extra costs.”
(追加費用を避けるために、予算の上限に近いところで抑えましょう。) - “The meeting drew near faster than expected.”
(ミーティングの日が思ったより早く近づいてきました。)
(3) 学術的・フォーマル
- “As the experiment draws near its conclusion, the results become clearer.”
(実験が終わりに近づくにつれて、結果がより明確になってきます。) - “The phenomenon occurs when the temperature is near absolute zero.”
(その現象は温度が絶対零度に近いときに起こります。) - “Her research focuses on identifying factors near the threshold of economic decline.”
(彼女の研究は、経済衰退の閾値に近い要因の特定に注目している。)
6. 類義語・反意語と比較
類義語 (Synonyms)
- close(近くに)
- 例: “Stay close to me.” は「私のそばにいて」の意味。ほぼ「near」と同義。
- 例: “Stay close to me.” は「私のそばにいて」の意味。ほぼ「near」と同義。
- nearby(近くで)
- 例: “He lives nearby.” は「近くに住んでいる」の意味。場所的な近さを強調。
- 例: “He lives nearby.” は「近くに住んでいる」の意味。場所的な近さを強調。
- nearly(ほとんど)
- 意味は「副詞としての “もう少しで/ほとんど」だが、距離というより、状態・程度が「ほぼ」を表す。
- 例: “I nearly forgot my keys.”(鍵をほとんど忘れかけた)
- 意味は「副詞としての “もう少しで/ほとんど」だが、距離というより、状態・程度が「ほぼ」を表す。
反意語 (Antonyms)
- far(遠くに)
- 例: “He lives far from here.”(彼はここから遠くに住んでいる)
- 例: “He lives far from here.”(彼はここから遠くに住んでいる)
- distant(離れたところに)
- 例: “They stayed in a distant location.”(彼らは遠く離れた場所に滞在した)
- remote(人里離れた/遠隔の)
- 例: “She moved to a remote area.”(彼女は山奥のような辺鄙な地域に引っ越した)
7. 発音とアクセントの特徴
- IPA: /nɪər/ (イギリス英語), /nɪr/ (アメリカ英語)
- 強勢: 単音節のため、特別に強勢の移動はありません。
- アメリカ英語とイギリス英語: イギリス英語のほうが /nɪə/ と「ニア」に近い発音になりやすく、アメリカ英語は /nɪr/ と母音部分が少し短い傾向があります。
- よくある間違い: 語末の “r” を発音しないと /niːə/ のようになったり、逆に強く巻き舌にしすぎる場合があります。
8. 学習上の注意点・よくある間違い
- スペルミス: “near”のつづりを“neer”や“ner”と書いてしまうミス。
- “nearly”との混同: “near”は場所や時間や状態が「近い」ことを示す副詞(あるいは形容詞、前置詞)。一方、“nearly”は「ほとんど・もう少しで」という意味で使われます。
- TOEIC・英検などでの出題: 前置詞として “near the station” や “near my house” の使い方は初級~中級レベルで頻繁に出題されます。副詞としても「時間的に近い」ことを問う空所補充問題などがあるので、文脈での判断が必要です。
9. 記憶に残るヒントやイメージ
- “near”という単語を見ると、“narrow”(狭い)とつながりやすいイメージをもつと、「距離が狭い ⇒ 近い」という連想が起こりやすいでしょう。
- “nearly”は「ほとんど」、そこから“near”が「近い」を含意するイメージとして関連付けると覚えやすいかもしれません。
- 頭の中で「ニア(near)=近い」とカタカナ的に覚えてしまうのも一つの手です。
以上が副詞 “near” に関する詳細解説です。場所的・時間的に「近い」ことを表現する大変便利な単語ですので、ぜひさまざまな文脈で使いこなしてみてください。
意味のイメージ