元となった辞書の項目
advance
解説
以下では、動詞「advance」について、できるだけ詳細に解説します。
1. 基本情報と概要
意味(英語・日本語)
- 英語:to move forward, to make progress, to bring something forward
- 日本語:前進する、進歩する、物事を進める
「advance」は「前方へ進む」「物事を前進させる」ような場面で使われる単語です。議論を前に進めたり、技術を進歩させたり、日常でも「計画を早める」「日時を繰り上げる」といったニュアンスにも使えます。
品詞
- 主に動詞(他動詞・自動詞両方で使われる)
例:
・(自動詞) The troops advanced on the enemy.(軍隊が敵に向かって前進した)
・(他動詞) We need to advance the schedule.(私たちはスケジュールを前倒しにする必要がある)
活用形
- 原形:advance
- 三人称単数現在形:advances
- 現在分詞・動名詞:advancing
- 過去形:advanced
- 過去分詞:advanced
他の品詞
- 名詞形:an advance(前進、進歩、前渡し金など)
- 形容詞形:advanced(高度な、上級の)
例: advanced technology(先進技術)、advanced course(上級コース)
CEFRレベルの目安
- B2(中上級)
「advance」は抽象的な場面(計画・スケジュール・議論などを進める)でも用いられるため、中上級レベルでしっかり身につけたい単語です。
2. 語構成と詳細な意味
接頭語・接尾語・語幹
- 接頭語:ad- (「~へ」「~に向かって」の意味があるラテン語由来)
- 語幹:vance(古いフランス語の「avance」から由来し、「前へ進む」という意味)
- 接尾語:特に目立った接尾語は含まれませんが、-ance は名詞化の要素として機能すると考えられます。
関連・派生語
- advancement(名詞:発展、促進、昇進)
- advanced(形容詞:高度な、進んだ)
- in advance(副詞句:前もって、あらかじめ)
よく使われるコロケーション(共起表現)10選
- advance a theory(理論を進める/提示する)
- advance an idea(アイデアを推し進める)
- advance one’s career(キャリアを進展させる)
- advance the schedule(スケジュールを前倒しにする)
- advance knowledge(知識を発展させる)
- make advances in technology(技術で進歩を遂げる)
- advance toward a goal(目標に向かって前進する)
- advance an argument(主張を展開する)
- advance a cause(大義を推進する)
- in advance of the deadline(締切より前に)
3. 語源とニュアンス
語源
- 「advance」は、古フランス語の “avancier”に由来し、“avant(前へ)”が語源になっています。さらにラテン語の “ad”(~へ)+ “ante”(前)にさかのぼります。
ニュアンス・使用時の注意
- 「前へ進む」「前倒しにする」「促進する」「繰り上げる」といったイメージが強い単語です。
- 「金銭を前渡しする」、つまり「前払い・前渡し」を意味することもあります(名詞形で “an advance payment” など)。
- 日常会話からビジネス、フォーマルな文書でも広く使われ、口語でも文語でも違和感なく使用されます。
4. 文法的な特徴と構文
一般的な構文やイディオム
- advance + 目的語 (計画・スケジュール・アイデア など)
例: We need to advance our marketing plan. - advance on/toward + 場所/目標
例: The soldiers advanced on the fortress.
イディオム
- in advance:前もって、あらかじめ
例: Please call me in advance if you are going to be late.
他動詞・自動詞
- 他動詞:進める、促進する
- 自動詞:前進する、進歩する
文法上、「advance」は可算・不可算の区別には直接関わらない動詞です(名詞形の「an advance」は可算名詞として扱われることが多い)。
5. 実例と例文
以下では、日常会話・ビジネス・学術的文脈、それぞれで3つずつ挙げます。
日常会話
- “Could we advance our meeting to next Monday?”
(会議を来週の月曜日に繰り上げられますか?) - “Let’s advance the departure time to avoid traffic.”
(渋滞を避けるために出発時間を早めよう。) - “He advanced quickly through the crowd to greet his friend.”
(彼は友達に挨拶するため、人混みをかき分けて前に進んだ。)
ビジネス
- “The company hopes to advance their product launch by two months.”
(その企業は製品発売を2か月早めたいと考えている。) - “Advancing our technology is crucial for staying ahead in the market.”
(技術を進歩させることは、市場で先行するために極めて重要です。) - “We received an advance payment from the client.”
(顧客から前渡し金を受け取りました。)
学術的文脈
- “This research aims to advance our understanding of climate change.”
(この研究は気候変動に関する理解をさらに深めることを目的としています。) - “She advanced a new theory regarding language acquisition.”
(彼女は言語習得に関する新たな理論を提唱した。) - “Advancing knowledge in neuroscience requires interdisciplinary collaboration.”
(神経科学における知識の発展には学際的な協力が必要である。)
6. 類義語・反意語と比較
類義語(Synonyms)
- progress(進歩する)
- 「少しずつ進む、発展する」という意味合いが強い。「advance」よりも全体的・漸進的なニュアンス。
- 「少しずつ進む、発展する」という意味合いが強い。「advance」よりも全体的・漸進的なニュアンス。
- move forward(前進する)
- より直接的な「前へ動く」表現で、カジュアルに使われる。
- より直接的な「前へ動く」表現で、カジュアルに使われる。
- develop(発展させる)
- 「開発する」「発達させる」というニュアンス。スキルや技術に焦点を当てる場合に頻用。
- 「開発する」「発達させる」というニュアンス。スキルや技術に焦点を当てる場合に頻用。
- promote(促進する)
- 「売り出す」「奨励する」「昇進させる」などの文脈が強い。
- 「売り出す」「奨励する」「昇進させる」などの文脈が強い。
- further(進める、さらに進展させる)
- 「さらに」という要素があり、何かをさらに大きく/先へ進めるというニュアンス。
反意語(Antonyms)
- retreat(後退する)
- hold back(抑える、控える)
- delay(遅らせる)
- withdraw(撤退する)
7. 発音とアクセントの特徴
発音記号(IPA)
- イギリス英語 (BrE) : /ədˈvɑːns/
- アメリカ英語 (AmE) : /ədˈvæns/
アクセント
- 「ad-VANCE」のように、第2音節に強勢があります。
- イギリス英語では「ヴァーンス(vɑːns)」に近い音、アメリカ英語では「ヴァンス(væns)」に近い音になります。
よくある間違い
- 第1音節にストレスを置いてしまう発音(× “AD-vance”)に注意。
- “advance” を “advice” などと混同しないように気をつけましょう。
8. 学習上の注意点・よくある間違い
- スペルミス
- “advance” と “advise/advice” のように似たスペルの単語と混同しやすい。
- “advance” と “advise/advice” のように似たスペルの単語と混同しやすい。
- 「前進する」と「進める」両方の意味を持つ
- 自動詞/他動詞で意味が変わるので注意。
- 自動詞/他動詞で意味が変わるので注意。
- “in advance” の熟語
- 前置詞句としてしっかり覚えておくと、ビジネスメールなどでも頻繁に使える。
試験対策
- TOEICや英検などのリーディングで出てくる場合、文脈次第で「前進する」「促進する」「事前に」など多義的に問われることがあります。
- ビジネスシーンの文脈で “advance the schedule” や “advance payment” が出題されやすいです。
9. 記憶に残るヒントやイメージ
- 「ad-」は「~へ」、「avance」は「前へ進む」をイメージすると覚えやすいです。
- “in advance” が「前もって」という意味であるように、全体的に「何かを前へ進める」イメージを結びつけておくと理解しやすいでしょう。
- スペリングは “ad + vance” で「アドバンス」と読めるため、日本語でも「アドバンス」という外来語として定着しています。そこから関連する単語(advanced、advancement)もセットで覚えると効果的です。
以上が、動詞「advance」の詳細な解説です。「前へ進む」「繰り上げる」「促進する」といった使い方をイメージして、さまざまな場面で活用してみてください。
意味のイメージ
意味(1)
…'を'前進させる,前に出す
意味(2)
〈事〉'を'進める,促進する
意味(3)
《advance+名〈人〉+名〈金〉=advance+名〈金〉+to+名〈人〉》 〈人〉‘に'〈金〉'を'前払いする,融資する
意味(4)
〈時間・期日〉'を'早める;〈時計〉‘の'時間を早める
意味(5)
(…に向かって)前進する,進む《+on(upon, toward)+名》
意味(6)
(…に)昇進する《+to(in)+名》
意味(7)
〈事が〉進歩する,はかどる
意味(8)
〈時が〉進む
意味(9)
〈値段・価値が〉上がる
意味(10)
(ある階級・地位などに)〈人〉'を'昇進させる《+名〈人〉+to+名》