元となった辞書の項目
folly
IPA(発音記号)
解説
1. 基本情報と概要
単語: folly
品詞: 名詞 (可算/不可算両用)
- 可算名詞: “a folly”、「奇妙な建築物」や「愚かな行為」の一つひとつを数えるとき
- 不可算名詞: 「愚かさ」「愚行」といった抽象概念として扱うとき
意味(英語): Lack of good sense; foolishness / A whimsical or extravagant structure built as a decoration.
意味(日本語): 「愚かさ」「愚行」/ あるいは装飾目的で建てられた(実用性のない)建築物を指すこともある。
「行動が軽率すぎて、常識的に見て愚かだと感じられる時に使う言葉です。また、イギリスなどでは庭園に遊び心で建てられた装飾的建造物を指す場合もあります。」
活用形:
- 単数形: folly
- 複数形: follies
ほかの品詞には直接派生しませんが、“folly”と同語源をもつ単語として “fool” (名詞: 「愚か者」、動詞: 「からかう、だます」) などがあります。
CEFRレベル: B2 (中上級)
「日常的に頻出ではありませんが、新聞や文学作品・ややかしこまった会話などで見かける語です。」
2. 語構成と詳細な意味
接頭語・接尾語・語幹
- folly は、特定の英語の接頭語・接尾語を伴わない単語です。
- 語源としては、フランス語 “folie” (愚かさ) に由来し、さらにラテン語の “follis” (空の袋、転じて「空っぽの」) がルーツと言われています。
他の単語との関連性
- fool: 「愚か者」
- foolish: 形容詞で「愚かな」
- foolhardy: 「無鉄砲な」 (folly とは意味が近い)
よく使われるコロケーション・関連フレーズ(10個)
- It is folly to (~することは愚行だ)
- the height of folly (極めて愚かなこと)
- commit a folly (愚行を犯す)
- an act of folly (愚かな行為)
- the folly of youth (若気の至り)
- sheer folly (全くの愚かさ)
- indulge in folly (愚かな行為にふける)
- expose someone’s folly (~の愚かさを暴く)
- punish folly (愚行を罰する)
- a garden folly (庭に装飾的に建てられた建造物)
3. 語源とニュアンス
- 語源: 古フランス語の “folie” (愚かさ)、さらにラテン語の “follis”(空の袋)にさかのぼり、「中身がない様子=軽率な・愚かな」という意味が派生しました。
- 歴史的使用: 中世やルネサンス期の文学作品で「愚行」「軽率さ」を強調する言葉として頻出。また、18~19世紀イギリスでは庭園などに視覚的なアクセントとして「folly(フォリー)」と呼ばれる装飾的な建造物が作られるようになり、その意味でも使われるようになりました。
- ニュアンス:
- 「愚かさ」を指すときは、通常強いマイナスの意味合いを帯びます。ただし、文語的・比喩的に使われるため、日常会話で使うとやや格式ばった印象になることもあります。
- 建造物を指す場合はやや専門性のある言葉で、歴史や建築に興味がある場面でよく出てきます。
- 「愚かさ」を指すときは、通常強いマイナスの意味合いを帯びます。ただし、文語的・比喩的に使われるため、日常会話で使うとやや格式ばった印象になることもあります。
4. 文法的な特徴と構文
- 可算名詞/不可算名詞: 「行為や考えとしての愚かさ」を指す場合は不可算で用いられるのが一般的ですが、「ある特定の愚かな行為・例」を指す場合は可算として “a folly” / “follies” として使います。
- 例: “It would be folly to drive in this storm.” (不可算)
- 例: “Many follies were committed that night.” (可算)
- 例: “It would be folly to drive in this storm.” (不可算)
- フォーマル/カジュアル: 一般的に文語的またはフォーマルよりです。カジュアルな場面では “foolishness” などがよりよく使われます。
5. 実例と例文
(1) 日常会話で使われる例文
- “Don’t you think it’s folly to argue about such a small matter?”
- 「こんな些細なことを巡って言い合いするなんて愚かだと思わない?」
- 「こんな些細なことを巡って言い合いするなんて愚かだと思わない?」
- “Running outside in this heat without water is pure folly.”
- 「こんな暑さの中、水なしで外を走るなんて本当に愚かな行為だよ。」
- 「こんな暑さの中、水なしで外を走るなんて本当に愚かな行為だよ。」
- “Wearing new shoes for the hike was my folly; now I have blisters.”
- 「ハイキングに新品の靴を履いていったのは私の愚行だったよ。おかげでマメができちゃった。」
(2) ビジネスシーンで使われる例文
- “Expanding into that market without proper research would be folly.”
- 「きちんとした調査をせずにあの市場に進出するのは軽率すぎます。」
- 「きちんとした調査をせずにあの市場に進出するのは軽率すぎます。」
- “It’s financial folly to invest in a company you know nothing about.”
- 「何も知らない会社に投資するのは財政的に愚策です。」
- 「何も知らない会社に投資するのは財政的に愚策です。」
- “His folly cost the firm millions in lost revenue.”
- 「彼の愚行のせいで、会社は何百万もの収益を失いました。」
- 「彼の愚行のせいで、会社は何百万もの収益を失いました。」
(3) 学術的な文脈で使われる例文
- “Throughout history, many wars have been regarded as the folly of powerful rulers.”
- 「歴史を通じて、多くの戦争は強大な支配者の愚行として見なされてきました。」
- 「歴史を通じて、多くの戦争は強大な支配者の愚行として見なされてきました。」
- “The architectural folly in the Renaissance garden is cited as an example of extravagant display.”
- 「ルネサンス期の庭園にある装飾的建築物(フォリー)は、過度な見せびらかしの一例として引用されます。」
- 「ルネサンス期の庭園にある装飾的建築物(フォリー)は、過度な見せびらかしの一例として引用されます。」
- “His argument suggests that human folly is a recurring theme in social evolution.”
- 「彼の主張によると、人間の愚かさは社会的進化において繰り返されるテーマであるとのことです。」
- 「彼の主張によると、人間の愚かさは社会的進化において繰り返されるテーマであるとのことです。」
6. 類義語・反意語と比較
類義語 (Synonyms)
- foolishness(愚かさ)
- 「一貫して愚かな状態」をより平易に言う場合に使う。
- 「一貫して愚かな状態」をより平易に言う場合に使う。
- rashness(軽率)
- 行動が性急で慎重さに欠けるニュアンス。
- 行動が性急で慎重さに欠けるニュアンス。
- stupidity(ばかげた状態)
- 口語的で強い意味合いがあり、やや乱暴なニュアンス。
- 口語的で強い意味合いがあり、やや乱暴なニュアンス。
- imprudence(不注意・思慮のなさ)
- フォーマルな書き言葉・議論などでしばしば用いられる。
- フォーマルな書き言葉・議論などでしばしば用いられる。
- absurdity(不条理)
- 「馬鹿げたこと」「常識から外れたおかしなこと」というニュアンスが強い。
- 「馬鹿げたこと」「常識から外れたおかしなこと」というニュアンスが強い。
反意語 (Antonyms)
- wisdom(賢明さ)
- prudence(慎重さ)
これらの反意語は “folly” が欠如している性質、つまり「深い思慮、慎重さ」などを表します。
7. 発音とアクセントの特徴
- 発音記号(IPA): /ˈfɒli/ (イギリス英語), /ˈfɑːli/ または /ˈfɔːli/ (アメリカ英語)
- アクセント位置: “fol-”の部分に強勢がきます: FOL-ly
- 発音の違い: イギリス英語では “o” の音が「オ」に近く、アメリカ英語では /ɑː/ や /ɔː/ に聞こえる場合があります。
- よくある間違い: “fooly” と誤解されることがあるので注意。「フォーリ」とははっきり異なる発音です。
8. 学習上の注意点・よくある間違い
- スペルミス: “folly” は “l” が2つ続く。ときどき “foly” や “fully” と間違える人がいる。
- 同音異義語との混同:
- “fully” (/ˈfʊli/) は「十分に」という意味で綴りも発音も違う。
- “fully” (/ˈfʊli/) は「十分に」という意味で綴りも発音も違う。
- 使い方のかたさ: 「愚かさ」を表すにはカジュアルに “That’s stupid.” とする場合が多いが、“folly” はやや文語的・正式な響きがある。
- 試験対策: TOEICや英検では語彙問題で出る場合がある。文脈のニュアンス理解(Lack of sense/foolishness)を問う問題に注意。
9. 記憶に残るヒントやイメージ
- “folly” と “fool” は見た目が似ていて、どちらも「愚かさ」に関係すると覚えるとよいでしょう。
- 建築物としての “folly” は、見た目がファンタジーや遊び心いっぱいの小さな城や塔を想像するとイメージしやすいです。
- スペリングのポイント: “l” を2回書く。音読時に “フォ(‐)リ” と区切って強調すると記憶しやすいでしょう。
以上が名詞 “folly” の詳細解説です。普段の会話ではあまり頻出しないかもしれませんが、新聞や小説、少し格調の高い文章などではよく見かける単語ですので、ぜひ覚えて活用してみてください。
意味のイメージ
意味(1)
〈U〉愚かさ,愚劣
意味(2)
〈C〉愚行,愚かな行為(考え,計画など)