元となった辞書の項目
neither
解説
1. 基本情報と概要
単語: neither
品詞: 主に限定詞 (determiner)・代名詞 (pronoun)・接続詞 (conjunction)・副詞 (adverb) で用いられます。
CEFRレベルの目安: B1(中級)
- B1:日常的な文法事項をある程度理解しているレベルで、もう一歩踏み込んだ表現として学ぶ単語です。
意味(英語・日本語)
- 英語: “neither” means “not either of two things or people” or “not one and not the other.”
- 日本語: 「2つのうちのどちらも~ない」という意味です。「2つあるもののどちらも該当しない」というニュアンスで使われます。
たとえば、「私はどちらも好きではない」と言いたいときに「I like neither.」などと使えます。この単語は否定の意味を強調し、選択肢に挙げられている2つの要素からどちらも排除する感じです。
活用形
- neither(単独の形のみで、動詞のように時制変化などはありません)
他の品詞形
- 副詞的に「Me neither」(「私もそうではない」というカジュアルな形)で使われることがあります。
- 接続詞として「Neither A nor B」(AもBも~ない)と用いられることがあります。
2. 語構成と詳細な意味
- 語源的には「not either」を短縮した形から来ており、「どちらも~ない」という意味を表します。
- 「neither」には接頭語・接尾語といったわかりやすい区切りはありませんが、語が持つ否定のニュアンスは “ne-”(否定) と “-either” の組み合わせから来たと考えられています。
派生語や類縁語
- either: 「どちらか一方」
- nor: 「~も…ない」
- none: 「どれも~ない(複数や集合に対して)」
よく使われるコロケーション・フレーズ(10個)
- neither side → (どちらの側も~ない)
- neither option → (どちらの選択肢も~ない)
- neither candidate → (どちらの候補者も~ない)
- neither plan → (どちらの計画も~ない)
- neither party → (どちらの政党・パーティも~ない)
- neither friend nor foe → (友人でも敵でもない)
- neither fish nor fowl → (どちらとも言えないもの/はっきりしないもの)
- neither good nor bad → (良くも悪くもない)
- neither here nor there → (問題にならない/重要でない)
- neither of them → (彼らのうちどちらも~ない)
3. 語源とニュアンス
- 「neither」は古英語「næwþer(nahwæther)」に由来し、「not(~ない)」+「either(どちらか)」という意味の組み合わせです。
- 歴史的には「2つのうちどちらも該当しない」という強い否定のニュアンスで用いられてきました。
- 注意したいニュアンス: 日常会話でも書き言葉でも使えますが、「Neither A nor B」などはややフォーマルな響きになることがあります。カジュアルな口語では「Me neither!」のように短く返事として使われることが多いです(“Me too”の否定版)。
4. 文法的な特徴と構文
限定詞としての用法
- 「neither + 単数名詞」
- 例: Neither answer is correct.
- (どちらの答えも正しくない)
- 「neither + 単数名詞」
代名詞としての用法
- 「neither of + 複数名詞」
- 例: Neither of the answers is correct.
- (その答えのどちらも正解ではない)
- (その答えのどちらも正解ではない)
- ただし「neither」は元々単数扱いですが、カジュアルな会話では複数扱いされるケースもあります。
- 「neither of + 複数名詞」
接続詞としての用法
- 「Neither A nor B」
- 例: Neither Tom nor John came to the party.
- (トムもジョンもパーティに来なかった)
- 「Neither A nor B」
副詞的用法(口語)
- 「Me neither.」
- 例: A: “I don’t like spinach.” B: “Me neither.”
- (A「ほうれん草、好きじゃないんだ」B「私も好きじゃない」)
- 「Me neither.」
フォーマル/カジュアル
- フォーマルな文章では「Neither A nor B」などを正しく使うときちんとした印象になります。
- カジュアルな会話では短縮された「Me neither」や「Neither do I.」が自然です。
5. 実例と例文
日常会話での例文(3つ)
- I have neither time nor energy to cook tonight.
(今夜は料理をする時間も気力もないよ。) - Neither of my brothers can make it to the family reunion.
(兄弟のうちどちらも都合が合わなくて家族の集まりには来られない。) - “I don’t really like horror movies.” “Me neither.”
(「ホラー映画あまり好きじゃないんだよね。」「私も好きじゃない。」)
ビジネス場面での例文(3つ)
- Neither proposal met the company’s budget requirements.
(どちらの提案も会社の予算要件を満たしませんでした。) - Neither department wants to take responsibility for the mistake.
(どちらの部署も、そのミスの責任を負いたがっていません。) - Neither of us is authorized to sign the contract.
(私たちのうちどちらにも契約書に署名する権限がありません。)
学術的・フォーマルな文脈での例文(3つ)
- Neither of these hypotheses adequately explains the observed data.
(これらの仮説はいずれも、観察されたデータを十分に説明していない。) - The researchers found that neither method was significantly more effective.
(研究者たちは、いずれの方法も有意に優れているわけではないことを発見した。) - Neither solution provides a comprehensive approach to the problem.
(どちらの解決策も、その問題に対する包括的なアプローチを提供するものではない。)
6. 類義語・反意語と比較
類義語
- “not either”: ほぼ同じ意味で、口語で簡単に言う言い方。
- “none”: 複数(3つ以上の要素)を否定するときに使われる。
- 例:None of the books are interesting. (それらの本はどれも面白くない)
反意語
- “either”: 2つのうちどちらか一方(肯定的な意味)
- 例:Either day works for me. (どちらの日でも私には都合がいい)
- 例:Either day works for me. (どちらの日でも私には都合がいい)
- “both”: 2つのうち両方
- 例:Both answers are correct. (どちらの答えも正しい)
7. 発音とアクセントの特徴
- IPA: /ˈniːðər/ または /ˈnaɪðər/ (地域・話者によって異なります)
- アメリカ英語: /ˈniːðər/(「ニーザー」)または /ˈnaɪðər/(「ナイザー」)どちらも使われる
- イギリス英語: 同様に /ˈniːðə/ と /ˈnaɪðə/ が混在しています。
- 強勢は単語の最初の音節 “nei” 部分に置かれることが多いです。
- よくある間違い: /nə/ のようにあいまい母音で始めたり、 “ei” を省略してしまったりすること。
8. 学習上の注意点・よくある間違い
- スペルミス: × neithor, × niether など。
- “either” と “neither” の混同:
- either → 肯定的(「どちらか一方」)
- neither → 否定的(「どちらも~ない」)
- either → 肯定的(「どちらか一方」)
- “nor” の使い方: “Neither A nor B” でセットのように使う。
- “Me neither” と “Me either” の混同: “Me either” という言い方は地域・口語的には耳にしますが、文法上は “Me neither” がよく推奨されます。
- 試験対策(TOEIC・英検など):
- “Neither of them” の動詞が単数扱いか複数扱いかが問われる問題が出ることがあります。基本は単数扱いが文法的に標準的ですが、会話では複数扱いもあり得ます。
9. 記憶に残るヒントやイメージ
- “neither” は “no + either” と覚えると、「どちらも~ない」という意味が直感的に身につきます。
- スペリング:最初の “n” と “ei” の組み合わせがややこしいので、黒板などに “NEI-” と大きく書いて「ない (nigh) + ザー (ther)」とイメージするのも一つの手です。
- “Neither A nor B” の構文を一緒に覚えると使えるシーンが多く、さらに「それが2つしかない場合」に特に使うことを意識するとよいでしょう。
以上が「neither」の詳細解説です。2つの候補や要素があるときに「どちらも~ない」と言いたいときに、ぜひ使ってみてください。
意味のイメージ