engulf
動詞「engulf」の詳細解説
1. 基本情報と概要
単語: engulf
品詞: 動詞 (verb)
活用形:
- 現在形: engulf / engulfs
- 過去形: engulfed
- 過去分詞形: engulfed
- 現在分詞形: engulfing
英語での意味:
- “to completely surround or cover something or someone” (何か・誰かを完全に包み込むこと)
- “to overwhelm someone or something, especially emotionally or physically” (特に感情的・物理的に、圧倒すること)
日本語での意味:
- 「(波や炎などが)~をすっぽりと包み込む、飲み込む」
- 「圧倒する、巻き込む」
「engulf」は、大きな波や火、感情などが一気に周囲を取り囲んで圧倒する、包み込むようなイメージの動詞です。物理的な状況(火が家をのみ込む、津波が町をのみ込むなど)にも、感情的な状況(悲しみに飲み込まれるなど)にも使われます。
CEFRレベル: B2(中上級)
- まだ日常会話では頻繁に登場しないかもしれませんが、新聞やニュースなどで災害や大きな出来事について述べる時によく使われる語です。
2. 語構成と詳細な意味
語構成
- en- (接頭辞): 「~にする」「~の中に」という意味をもつことが多い
- gulf (名詞): 「大きな湾」や「深い穴」「隔たり」を意味する言葉
「gulf」は海の入り江の意味から転じて「深い隔たり」や「深淵」を表すことがあり、「en-」が付いて「深い穴・隔たりの中に入れる」「深みの中に押し込む」というニュアンスが生まれ、そこから「包み込む」「飲み込む」という意味になりました。
関連語・派生語
- gulch (名詞): 狭い峡谷(主に米英語)
- gulf (名詞): 湾、大きなへこみ、隔たり
コロケーションと関連フレーズ(10個)
- be engulfed in flames(炎に包まれる)
- be engulfed by water(洪水などで水に飲み込まれる)
- be engulfed in darkness(闇に包まれる)
- be engulfed by sorrow(悲しみに飲み込まれる)
- the flames engulfed the building(炎が建物を包み込んだ)
- the tsunami engulfed the coastline(津波が海岸線を襲った)
- feelings of guilt engulf him(罪悪感が彼を包み込む)
- the crowd engulfed the performer(群衆がパフォーマーを取り囲む)
- engulf oneself in work(仕事に没頭する)
- the scandal engulfed the whole administration(スキャンダルが政府全体を巻き込んだ)
3. 語源とニュアンス
「engulf」はもともと中英語での engolfen 相当の表現や古フランス語由来と考えられ、フランス語の golfe(湾・深い湾)に英語の接頭辞 “en-” が付いた形です。歴史的にも、海や深い湾に落ち込む、沈むというイメージが強かったのが「包む・飲み込む」の意味に発展しています。
ニュアンスと使用上の注意
- 物理的・比喩的のどちらにも使える。
- 「dramatic(劇的な)」「強いイメージ」の単語なので、ニュースや小説などでインパクトを与えたい時に多用される。
- 日常会話で使うと、やや大げさな印象を与える場合がある。
4. 文法的な特徴と構文
- 他動詞 (transitive verb): 目的語を取り、「何を包み込む / 飲み込む」のかを明示します。
例) The tsunami engulfed the entire village. - 「~に巻き込まれる」のように受動態 (be engulfed by ~ / be engulfed in ~) でよく使われます。
例) The entire region was engulfed by the flood.
イディオムや構文
- be engulfed in/with something: ~に包まれる / 巻き込まれる / 飲み込まれる
- engulf A in B(あまり一般的ではないが): AをBに包み込む
使用シーンとしては、比較的フォーマルまたは文芸作品などで見ることが多いです。カジュアルな口語では “swallow up” や “overwhelm” が使われることもあります。
5. 実例と例文
日常会話での例文(3つ)
- “I was so engulfed in my thoughts that I missed my stop.”
(考え事に没頭していたせいで降りる駅を見逃したよ。) - “She was engulfed by guilt after lying to her friend.”
(彼女は友達に嘘をついた後、罪悪感にとらわれた。) - “The kids were completely engulfed in playing their new video game.”
(子どもたちは新しいテレビゲームに完全に夢中になっていた。)
ビジネスでの例文(3つ)
- “The company was engulfed in controversy following the scandal.”
(その会社はスキャンダルによって論争に巻き込まれた。) - “We were momentarily engulfed by the sudden surge of orders.”
(突然の注文の殺到に一時的に圧倒された。) - “His presentation was so detailed that it engulfed the audience’s attention.”
(彼のプレゼンテーションはとても詳細で、聴衆を引き込んだ。)
学術的な文脈での例文(3つ)
- “The region was entirely engulfed by the lava flow after the volcanic eruption.”
(火山の噴火の後、その地域は溶岩流に完全に飲み込まれた。) - “The theory suggests that data can be engulfed by noise in complex systems.”
(その理論によれば、複雑系ではデータがノイズに飲み込まれる可能性がある。) - “The model predicts that the black hole will eventually engulf nearby stars.”
(そのモデルは、ブラックホールが最終的に近くの恒星を飲み込むと予測している。)
6. 類義語・反意語と比較
類義語 (synonyms)
- swallow up(~を飲み込む)
- 日常会話でよりカジュアルに使われる表現。
- 日常会話でよりカジュアルに使われる表現。
- inundate(~に殺到する、水浸しにする)
- 主に「洪水」や「大量に押し寄せる」イメージ。
- 主に「洪水」や「大量に押し寄せる」イメージ。
- overwhelm(圧倒する)
- 感情面ではより頻繁に使われる。
- 感情面ではより頻繁に使われる。
- consume(消費する・焼き尽くす)
- 火に関連して「焼き尽くす」ニュアンスもある。
- 火に関連して「焼き尽くす」ニュアンスもある。
- envelop(包み込む)
- 「覆う」「包む」のやわらかいイメージ。
- 「覆う」「包む」のやわらかいイメージ。
反意語 (antonyms)
- release(解放する)
- uncover(覆いを取る)
- expose(さらす)
反意語としては、「包み込む」状態から抜け出す、外部にさらすような意味を持つ単語が対応します。
7. 発音とアクセントの特徴
- 発音記号 (IPA): /ɪnˈɡʌlf/
- アクセント: 後ろの “-gulf” に強勢が置かれます(en-GULF)。
- アメリカ英語とイギリス英語: 発音に大きな違いはありませんが、アメリカ英語のほうが [ɪnˈɡʌlf] と短めに聞こえることがあります。
- よくある間違い: “engolf” と綴ってしまったり、“んگلフ”のように /n/ の後ろが曖昧になりがちです。
8. 学習上の注意点・よくある間違い
- スペルミス: “engulf” を “engulp” や “ingulf” と綴ってしまうミスがある。
- 発音: /ɪnˈɡʌlf/ の母音 /ʌ/ を /u/ や /o/ と混同しない。
- 同音異義語: 特にありませんが、ゴルフ (golf) と似ている綴りなので注意。
- 試験対策: TOEICや英検などでの直接的な出題頻度は高くありませんが、ニュース記事やリーディング問題で登場する可能性があります。特に自然災害の説明などで使われます。
9. 記憶に残るヒントやイメージ
- イメージ: “en-” + “gulf” で「深い穴・湾の中にグワッと入れる」 → 「すっぽり包み込む」
- 自然災害(津波や噴火など)のニュース映像を思い浮かべると覚えやすい。
- 「~に没頭する」というニュアンスで使いたい時、他にも “be absorbed in ~” などの言い換え表現を知っておくと便利です。
以上が動詞「engulf」の詳細解説です。ニュース記事や文学作品でよく見かける表現なので、インパクトのある場面描写に使われる点を押さえておきましょう。
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