元となった辞書の項目
whereas
解説
1. 基本情報と概要
単語: whereas
品詞: 接続詞 (conjunction)
CEFR レベル: B2(中上級)
- 「whereas」は2つの事柄を対比して「一方で」「〜であるのに対して」という意味を表す時に使います。
- 特に文章やフォーマルな文脈で、2つの事実や性質を比べる際に用いられる表現です。
- 「Aは~だが、一方でBは~」といった対比を表現するときに便利な単語です。
活用形
接続詞なので、動詞や名詞のように活用はしません。派生語としてはあまり変化形はありませんが、法的文書などで頻繁に用いられるため、書き言葉での使用が目立ちます。
他の品詞形
- 「whereas」は接続詞以外の品詞形はありません。
2. 語構成と詳細な意味
- 「whereas」はもともと「where」と「as」が結びついた形とされますが、現代英語の中で接頭語・接尾語として明確に分けて考えることは少ないです。
- 「whereas」は「~であるのに対して」「ところが」「~とは対照的に」という意味を持ち、主に対照や比較のニュアンスを強めます。
よく使われるコロケーション・関連フレーズ(10個)
- whereas clause(ところが節)
- whereas statement(対比を示す文)
- Some people like X, whereas others prefer Y.(ある人はXが好きだが、一方で他の人はYを好む)
- This law applies in city A, whereas it does not in city B.(この法律は都市Aで適用されるが、都市Bでは適用されない)
- I enjoy summer, whereas my sister hates it.(私は夏が好きだが、姉/妹は嫌いだ)
- Whereas you might think it’s easy, it’s actually quite difficult.(簡単と思うかもしれないが、実際はかなり難しい)
- Whereas many support the new policy, some oppose it strongly.(多くの人が新しい政策を支持する一方で、一部は強く反対している)
- Whereas one approach focuses on cost, the other focuses on quality.(一方のアプローチはコストに焦点を当てるが、もう一方は品質に重点を置く)
- Whereas I prefer reading, my friend prefers watching movies.(私は読書が好きなのに対し、友人は映画鑑賞を好む)
- People usually work indoors, whereas farmers work mostly outdoors.(人々は通常屋内で働くが、農家は主に屋外で働く)
3. 語源とニュアンス
- 「whereas」は中英語からの流れをくむ表現で、当初は「where + as」が結びついた形で「その場所(where)、その状態(as)」を指す言い回しが変化し、対比文を導く接続詞となりました。
- 歴史的には法律文書や公式文書でも使われ、「~であるのに、~でありながら」という厳粛・フォーマルな印象があります。
- 現代では主に文章・フォーマルな文脈で使用されるため、口語では「while」などで代用されやすいですが、公式書類やレポートなどでは「whereas」の方がより対照的なニュアンスを強調します。
4. 文法的な特徴と構文
- 文頭で使用
– “Whereas A..., B…” のように文頭において、主節に対する対比をはっきり示します。 - 文中で使用
– “A..., whereas B...” として、同じ一文の中で対比を示します。
- 使用シーン: ややフォーマル、書き言葉寄り。会話では「while」「on the other hand」などが使われる傾向があります。
- 可算・不可算のような区別: 接続詞のため、名詞の可算・不可算の概念は当てはまりません。
- 他動詞・自動詞のような使い分け: 接続詞のため動詞の他動詞・自動詞の使い分けも当てはまりません。
5. 実例と例文
日常会話 (3例)
- “I love spicy food, whereas my brother can’t stand it.”
(私は辛い料理が大好きですが、兄[弟]はまったく無理なんです。) - “Some people like to wake up early, whereas others stay up late.”
(早起きが好きな人もいますが、一方で夜更かしする人もいます。) - “I prefer to walk to work, whereas my colleague always drives.”
(私は職場まで歩くのが好きなのですが、同僚はいつも車を使います。)
ビジネス (3例)
- “Whereas our European branch saw a 10% increase in sales, the American branch experienced a slight decline.”
(ヨーロッパ支社は売上が10%増加したのに対して、アメリカ支社は微減にとどまりました。) - “We focus on quality, whereas our competitors focus chiefly on cost reduction.”
(わが社は品質に注力しているのに対して、競合他社は主にコスト削減に注力しています。) - “Whereas the previous project took only two months, this one is expected to last at least half a year.”
(前回のプロジェクトは2か月しかかからなかったのに対し、今回のものは少なくとも半年かかる見込みです。)
学術的な文脈 (3例)
- “Whereas the traditional model emphasizes individual achievement, the new approach highlights collaborative learning.”
(従来のモデルが個人の成果を重視しているのに対して、新しいアプローチは協働学習を重視します。) - “Some researchers argue the theory is outdated, whereas others insist it remains valid under certain conditions.”
(ある研究者たちはその理論が時代遅れだと主張している一方で、他の研究者たちは特定の条件下では依然有効だと主張しています。) - “Whereas historical data indicate a steady growth, recent statistics show fluctuations.”
(過去のデータが安定した成長を示す一方で、最近の統計では変動が見られます。)
6. 類義語・反意語と比較
類義語
while(~する間、一方で)
– よりカジュアルな対比表現。口語でも文語でも幅広く使用される。
– 例: “I like cats, while my sister prefers dogs.”on the other hand(他方では)
– 対比を示すフレーズ。文頭・文中で使えるがややカジュアル。in contrast(対照的に)
– 接続詞ではないが文を始めて対比を強調。「対照的に」というニュアンスを強める。however(しかしながら)
– 接続副詞。文を切り替えるように使われ、「しかし」のニュアンスを強調。
反意語
- 対比を示す言葉なので「反意語」という形での直接的なものはありません。文脈上、「because」や「since」のような因果を示す接続詞は用法が全く異なるので、ある意味対極的な役割とは言えます。
7. 発音とアクセントの特徴
- 発音記号 (IPA): /ˌwɛərˈæz/(米音), /ˌweərˈæz/(英音)
- アクセントの位置
– 「wher*e*-AS」のように、アクセントは後ろの「-as」にかかりやすいです。 - アメリカ英語とイギリス英語での大きな違いはほとんどありませんが、「where」の部分の発音が wɛər か weər 程度の差があります。
8. 学習上の注意点・よくある間違い
- スペルは “where” + “as” ですが、続けて “whereas” と書きます。
- 会話で「while」「but」などに置き換えられるため、口語では余り聞かないかもしれません。
- TOEICや英検などでも、長文読解や文法問題で対比の接続詞として登場することがあります。文脈から正しく「一方で」と訳せるかがポイントです。
9. 記憶に残るヒントやイメージ
- 「whereas」は「どこで(=where)」「~として(=as)」がくっついて「(二つのことが)ここではこうだが、あちらではこう」というイメージを持つと覚えやすいです。
- フォーマルな文脈で使われることが多いので、「法律文書や正式な比較の場で使う接続詞」とイメージすると記憶に残りやすいでしょう。
- スペリングは「where」から「h」が抜け落ちたりしないよう注意しましょう。
上記のように、「whereas」は二つの事柄を対比して説明するときに使用されるフォーマルな接続詞として、ビジネスや法的文書、学術外論文などの場面でよく見られます。口語では「while」などに置き換えて表現されることも多いですが、厳格・公式な場面では「whereas」を使うと良いでしょう。
意味のイメージ
意味(1)
《文》《理由の副詞節を導く》…なるがゆえに
意味(2)
《対立・対照などの副詞節を導く》…であるのに反して,なのに対して