元となった辞書の項目
stricken
IPA(発音記号)
解説
以下では、形容詞 stricken
をできるだけ詳しく解説します。
1. 基本情報と概要
英語: stricken
日本語: 打ちのめされた、(悲しみ・恐怖・病などに) 苛まれた、襲われた
品詞: 形容詞 (adjective)
「stricken」は、「(感情・病気などに) 打ちのめされた」「深く苦しめられた」というニュアンスの形容詞です。たとえば「He was stricken with fear.(彼は恐怖に襲われた)」のように使い、深刻な状態や大きなショックを受けている状況を表現します。日常会話ではやや文語的・劇的に聞こえることが多いですが、小説やニュース記事などでも見かける単語です。
活用形
- 形容詞としては
stricken
のみを用います。比較級や最上級の形は通常ありません。
ほかの品詞・関連形
- 動詞: to strike(打つ、叩く)
- 過去形: struck
- 過去分詞形: struck / stricken (ただし、過去分詞としては
struck
が一般的で、stricken
は慣用的に形容詞として使われることが多い)
- 過去形: struck
CEFR レベルの目安
- B2 (中上級): 難易度としては、ニュースや文学作品などやや高度な文脈で目にする単語ですが、十分に学習範囲に入るレベルです。
2. 語構成と詳細な意味
語構成
- strike (語幹) + -en (過去分詞形・形容詞化の要素)
元々は動詞「strike(打つ)」の過去分詞形として使われていたものが、形容詞として定着した形です。
意味の詳細
- 「(感情・病気・災難などに) 強く襲われている」「まさに打ちのめされた状態である」という含意をもつ。
関連語・派生語
- strike (v.) : 打つ、ストライキを行う
- struck (v., p.p.) : strike の過去形/過去分詞形
- striking (adj.) : 印象的な、目立つ
よく使われるコロケーション(共起表現)10選
- stricken with fear
(恐怖に襲われた) - stricken by guilt
(罪悪感に苛まれた) - stricken by grief
(深い悲しみに打ちのめされた) - stricken with illness
(病に倒れた、病気に襲われた) - poverty-stricken
(極貧状態の) - stricken expression
(苦悩に満ちた表情) - stricken area
(被災地・被害地域) - famine-stricken region
(飢饉に襲われた地域) - stricken with paralysis
(麻痺に襲われた) - war-stricken country
(戦争被害に苦しむ国)
3. 語源とニュアンス
語源
- 「strike」(古英語で “strican” などが起源)から派生した過去分詞形
stricken
。 - 本来は「打たれた」「叩かれた」という字義ですが、そこから転じて「強い衝撃・影響を受けた」というニュアンスが加わりました。
ニュアンス・使用上の注意
- 「深刻な影響を受けている」「強く苦しめられている」状態を表す、ややフォーマルまたは文語的な印象。
- 一般的にネガティブな状況に限定されることが多いです(幸せに「打ちのめされる」という表現は通常しません)。
- 口語ではあまり頻繁には登場しないものの、ニュースや文学などでよく使われます。
4. 文法的な特徴と構文
形容詞としての特徴
- 主に補語 (SVC) や形容詞句の一部として使われ、特定の感情・状況に「襲われている」意味を強調します。
- 例: “He was stricken with sorrow.” (SVC)
イディオムや使用上のポイント
be stricken with/by ~
が最も一般的な構文。
- 例: “She was stricken with panic.”
フォーマル/カジュアル
- ややフォーマルもしくは文語的表現。カジュアルな会話で使うと、少し大げさに聞こえる場合もあります。
5. 実例と例文
それぞれの場面で3つずつ紹介します。
(A) 日常会話での例文
- “I felt stricken with guilt after forgetting my friend's birthday.”
(友達の誕生日を忘れて、罪悪感に苛まれた。) - “He looked stricken with fear when he saw the big dog.”
(彼は大きな犬を見たとき、恐怖に襲われた様子だった。) - “She was stricken by the news of her favorite actor’s sudden passing.”
(彼女は大好きな俳優の突然の訃報に打ちのめされた。)
(B) ビジネスシーンでの例文
- “Our department was stricken by budget cuts, limiting new projects.”
(私たちの部署は予算削減に打撃を受け、新規プロジェクトが制限された。) - “The CEO looked stricken when he realized the merger talks had collapsed.”
(合併交渉が破談になったと気づいたとき、CEOは打ちのめされた様子だった。) - “Investors were stricken with doubt after the sudden market crash.”
(投資家たちは急な市場暴落で疑念に苛まれた。)
(C) 学術・フォーマルな文脈での例文
- “The region was stricken by a severe drought, leading to a humanitarian crisis.”
(その地域は深刻な干ばつに見舞われ、人道危機につながった。) - “Many inhabitants were stricken with waterborne diseases due to poor sanitation.”
(不衛生な環境のため、多くの住民が水系感染症に襲われた。) - “Researchers found that the population was stricken by post-traumatic stress after the avalanche.”
(研究者は、その雪崩の後で住民たちが外傷後ストレス障害を患ったことを突き止めた。)
6. 類義語・反意語と比較
類義語
- afflicted (苦しめられた)
- “He was afflicted with a rare disease.” (彼は珍しい病気に苦しめられた)
- 「stricken」よりも広く「苦しめられている」ニュアンス。
- “He was afflicted with a rare disease.” (彼は珍しい病気に苦しめられた)
- overwhelmed (圧倒された)
- “She felt overwhelmed by stress at work.” (彼女は仕事のストレスに圧倒された)
- 「圧倒される」感じが強いため、ニュアンスがやや異なる場合がある。
- “She felt overwhelmed by stress at work.” (彼女は仕事のストレスに圧倒された)
- plagued (悩まされる)
- “The country was plagued by corruption.” (その国は腐敗に悩まされていた)
- 「継続的・長期的に苦しめられている」傾向を表す。
- “The country was plagued by corruption.” (その国は腐敗に悩まされていた)
反意語
- unaffected (影響を受けていない)
- 例: “He seemed unaffected by the chaos around him.”
- 例: “He seemed unaffected by the chaos around him.”
- unharmed (被害を受けていない)
- 例: “She escaped the accident unharmed.”
- 例: “She escaped the accident unharmed.”
いずれも「ダメージや影響を受けなかった」という意味で、stricken
と対照的です。
7. 発音とアクセントの特徴
発音記号 (IPA)
- アメリカ英語 (AmE): /ˈstrɪkən/
- イギリス英語 (BrE): /ˈstrɪkən/
どちらも第一音節 “strick” に強勢があり、次の音は弱い発音 (曖昧母音 /ə/ など) になります。
strick-en
のように2音節で、「ストリッ(ク)ン」と発音するイメージです。
よくある発音ミス
- 「ストライケン」と /aɪ/ 音を入れてしまう誤り。正しくは /ɪ/ 音で、より短く「ストリッケン」のように発音します。
8. 学習上の注意点・よくある間違い
- スペリング: “stricken” の「c」と「k」の順番を間違えて “strikcen” などと書かないように注意。
- 動詞の過去分詞 “stricken” と形容詞 “stricken” は綴りが同じですが、動詞としては現代ではほとんど “struck” を使います。形容詞としては “stricken” がよく使われます。
- 同音異義語は特にありませんが、「strike / struck / stricken」の混同に気を付けるとよいです。
- 資格試験(TOEIC・英検など)では、読解問題中の文のニュアンスを理解する際に問われる可能性があります。文脈から否定的な状況を示していることを捉えましょう。
9. 記憶に残るヒントやイメージ
- 「strike (打つ) + -en (過去分詞)」の形から、「打ちのめされた・襲われた」イメージにつなげると覚えやすいでしょう。
- 「何かに激しく‘当たって’苦しんでいる」というストーリーを頭に描くとイメージがしやすいです。
- 「貧困 (poverty-stricken)」「恐怖 (stricken with fear)」「悲しみ (stricken by sorrow)」など、ネガティブな意味と結びつけて覚えると使い方がはっきり理解できます。
以上が形容詞 stricken
の詳細解説です。深刻さを強調する際に、文学的・報道的な文章などで目にすることが多いため、文脈のニュアンスやフォーマルさを意識しながら使ってみてください。
意味のイメージ
意味(1)
strikeの過去分詞
意味(2)
(悲しみ・病気・不幸などに)襲われた,打ちひしがれた
意味(3)
傷ついた,(弾に)撃たれた