's
1. 基本情報と概要
's は、英語で主に以下の二つの動詞の短縮形(contraction)として使われます。
- be動詞の三人称単数形「is」
- 完了形などで使われる助動詞「has」
「He is」→「He's」や「He has」→「He's」のように形が同じですが、文脈によってどちらの意味かを判断します。
日本語での意味
- 「❶ ~です」「~がいる/ある」(is)
例:「He’s busy.」→「彼は忙しいです。」 - 「❷ ~を持っている」「~してしまった/したことがある」(has)
例:「He’s finished the report.」→「彼はレポートを完成しました。」
「's」はカジュアルな会話や文章の中で、「is」や「has」を短縮した形としてよく使われます。「's」だけ見るとどちらの動詞なのか判断しづらいのですが、後に続く単語によって見分けられます(例: 動詞の過去分詞が続くと「has」の可能性が高い、など)。
品詞
- 動詞 (be動詞の一形態 / 助動詞「has」の短縮形)
- 例: He is → He 's
- 例: He has → He 's
- 例: He is → He 's
また、所有格(名詞形)の「's (例: John’s book)」は、形が同じでも動詞ではありません。今回は動詞としての使われ方に焦点を当てます。
活用形
- is → be動詞の単数形 (am / are / is / was / were / been)
- has → have 動詞の三人称単数形 (have / has / had)
他の品詞になった時の例
- 所有格: “John’s book” (この場合は所有を示す「's」で、動詞ではありません。)
CEFRレベル
- A1 (超初心者) ~ A2 (初級): 「He’s a student.」「He’s got a book.」など、初学者でもよく目にする短縮形です。
- 文章を読む際には、短縮形の意味(「is」か「has」か)を文脈で判断する必要があるため、慣れが必要です。
2. 語構成と詳細な意味
接頭語・接尾語・語幹
- 's は独立した接頭語や接尾語を持つわけではなく、もともと is や has の短縮形です。
- is: 語幹(be動詞)
- has: 語幹(have動詞)
他の単語との関連性
- is → be動詞: am/are/is/was/were/been
- has → have動詞: have/has/had
よく使われるコロケーション(共起表現)や関連フレーズ(10個)
He’s running late.
- 彼は遅れそうです。(「is」の短縮)
She’s working on a project.
- 彼女はプロジェクトに取り組んでいます。(「is」の短縮)
The dog’s barking again.
- 犬がまた吠えています。(「is」の短縮)
He’s been to Paris.
- 彼はパリに行ったことがあります。(「has」の短縮 + 過去分詞)
She’s finished her homework.
- 彼女は宿題を終えました。(「has」の短縮 + 過去分詞)
It’s raining outside.
- 外は雨が降っています。(「is」の短縮)
It’s stopped raining.
- 雨が止みました。(「has」の短縮 + 過去分詞)
He’s got a new car.
- 彼は新しい車を手に入れました。(「has」の短縮 + got)
She’s going to the party tomorrow.
- 彼女は明日パーティーに行く予定です。(「is」の短縮 + going to)
He’s had enough for tonight.
- 彼は今夜はもう十分です。(「has」の短縮 + had)
3. 語源とニュアンス
- 's = is … be動詞の is が、古英語から中英語を経て短縮形として使われるようになったもの。
- 's = has … have動詞 の三人称単数形 has が短縮された形。
短縮形は英語の口語表現で自然に使われるもので、フレンドリーかつインフォーマルな感じを与えます。ただし、フォーマルな文章やビジネス文書などでは、短縮を避けて「is」「has」と書く方が好まれる場合があります。
4. 文法的な特徴と構文
's = is
- 主語が三人称単数 (He, She, It, あるいは単数名詞) のときに使われます。
- 自動詞(存在や状態を示す)として用いられることが多い。
- 例: “He’s happy.” (He is の短縮)
- 主語が三人称単数 (He, She, It, あるいは単数名詞) のときに使われます。
's = has
- 主語が三人称単数のときに、完了形や所有を示す「has」の短縮として使われる。
- 助動詞として、過去分詞と一緒に完了形を作るか、所有の意味 “has got” などで示します。
- 例: “He’s lived there for years.” (He has の短縮)
- 主語が三人称単数のときに、完了形や所有を示す「has」の短縮として使われる。
イディオム
- He’s got to do it. (He has to do it. / 彼はそれをやらなければならない。)
- She’s got what it takes. (彼女には必要な素質がある。)
インフォーマル / 会話では非常に頻繁に用いられますが、フォーマルな文書では「he is」「he has」と省略せずに書くことが多いです。
5. 実例と例文
(A) 日常会話での例文
- “He’s really tired today.”
- 今日は彼、すごく疲れてるんだよ。
- 今日は彼、すごく疲れてるんだよ。
- “She’s got a lovely voice.”
- 彼女は素敵な声をしているよ。
- 彼女は素敵な声をしているよ。
- “It’s already 10 p.m.!”
- もう夜の10時だよ!
(B) ビジネスでの例文
- “He’s left the office, but he’ll be back soon.”
- 彼はオフィスを出ましたが、すぐ戻ってくる予定です。
- 彼はオフィスを出ましたが、すぐ戻ってくる予定です。
- “She’s completed the report ahead of schedule.”
- 彼女は予定より早くレポートを完成しました。
- 彼女は予定より早くレポートを完成しました。
- “It’s crucial to finish the task by the deadline.”
- 締め切りまでにそのタスクを終わらせることが重要です。
(C) 学術的・フォーマルな文脈での例文
- “He’s contributed significantly to the study of linguistics.”
- 彼は言語学の研究に大いに貢献してきました。
- 彼は言語学の研究に大いに貢献してきました。
- “She’s authored several key papers on the subject.”
- 彼女はそのテーマに関する重要な論文をいくつか執筆しています。
- 彼女はそのテーマに関する重要な論文をいくつか執筆しています。
- “It’s been observed that the phenomenon occurs frequently.”
- その現象はよく起こることが観察されています。
(ただし、特にフォーマルな論文では “He is” / “She has” と省略しない場合が多いです。)
6. 類義語・反意語と比較
類義語
- is
- 短縮しない形。ト書きやフォーマル文書などで使います。
- 短縮しない形。ト書きやフォーマル文書などで使います。
- has
- 短縮しない形。「彼には ~がある」「完了形を作る」などで使います。
反意語
- is の反意語 → “is not” / “isn’t”
- has の反意語 → “doesn’t have” / “hasn’t” (完了形の場合は “hasn’t done” など)
「's」の反意語そのものはありませんが、“He isn’t” や “He doesn’t have” のように、短縮形を否定形にする場合は別の形に変換されます。
- “He’s not” / “He isn’t”
- “He hasn’t” / “He doesn’t have”
7. 発音とアクセントの特徴
発音記号(IPA)
- /z/ や /s/ といった非常に短い音で発音されます。
- “He’s” は /hiːz/、 “She’s” は /ʃiːz/、 “It’s” は /ɪts/ というように、主語によって微妙に異なります。
- /z/ や /s/ といった非常に短い音で発音されます。
強勢(アクセント)
- 通常、主語の後ろに弱く付く形です。
- 例: “He’s” は “He” の後半に軽く /-z/ がつく感じ。
- 通常、主語の後ろに弱く付く形です。
アメリカ英語とイギリス英語の違い
- 基本的に大きな違いはありませんが、イギリス英語では“r”が少ない発音になりやすく、アメリカ英語ではやや強めに発声される母音がある等、主語によって微妙な違いが感じられることがあります。
よくある発音ミス
- /z/ を /s/ で発音してしまう。
- 口の動きや母音の伸ばしが不十分で、主語とくっつき過ぎてしまう。
- 話し言葉では素早く発音されるので、聞き取れずに逃してしまうことがある。
- /z/ を /s/ で発音してしまう。
8. 学習上の注意点・よくある間違い
短縮形 vs. 所有格の混同
- “He’s bike” (彼の自転車) → これは “His bike.” の間違いとしてよく見られます。
- “He’s” を “He is” や “He has” として使う場合と、所有代名詞 “his” とは意味もスペルも違うので注意。
- “He’s bike” (彼の自転車) → これは “His bike.” の間違いとしてよく見られます。
“He’s” は “He is” か “He has” か 文脈判断
- “He’s gone home.” → “He has gone home.” (完了形)
- “He’s at home.” → “He is at home.” (存在・状態)
- “He’s gone home.” → “He has gone home.” (完了形)
TOEIC・英検など試験対策
- リスニングで “He’s” か “He has” か聞き取れないと、文章の時制や意味を取り違える可能性が高い。
- リーディングでは “He’s” の後に過去分詞が続くかどうかに注意し、完了形か状態かを見極める練習が有効。
- リスニングで “He’s” か “He has” か聞き取れないと、文章の時制や意味を取り違える可能性が高い。
9. 記憶に残るヒントやイメージ
「’s は is と has の“省略”」と覚える
- “He’s a doctor.” → “He is a doctor.”
- “He’s finished dinner.” → “He has finished dinner.”
- 文脈でどちらの動詞が省略されているかをイメージすると意図がつかみやすい。
- “He’s a doctor.” → “He is a doctor.”
「主語 + ’s + 過去分詞」→ “He has + 過去分詞”
- 完了形を示す場合に便利なマーク。過去分詞に注目すると“has”だとわかりやすい。
リスニング練習のコツ
- 短縮形は話し言葉で高速になるので、主語と “’s” の繋がりを意識して音読練習する。
- 例: “He’s (ヒーズ) / She’s (シーズ) / It’s (イッツ) / That’s (ザッツ) ...” を声に出して練習すると自然に身につく。
- 短縮形は話し言葉で高速になるので、主語と “’s” の繋がりを意識して音読練習する。
以上が、動詞としての 's (be動詞 “is”、助動詞 “has” の短縮形) の詳細な解説です。会話では非常によく登場しますので、文脈や続く語を見て「何の短縮か」を素早く判断できるようになると便利です。
has, is, us,(疑問詞のあとの) doesの短縮形