spare
以下では、動詞「spare」について、できるだけ詳しく解説します。
1. 基本情報と概要
単語: spare
品詞: 動詞 (他に形容詞・名詞の用法もあり)
活用形: spare - spared - spared - sparing
英語での意味(動詞)
・to give or lend something (someone can spare something)
・to refrain from harming or destroying someone/thing (to spare someone’s life)
・to make something available (time, money, etc.) because you do not need it all
・to refrain from using or wasting something
日本語訳と簡単な説明
・「(お金や時間などを)割く」「(人や物を)助ける、危害を加えないでおく」「(労力や感情などを)惜しむ」などを意味します。
・人に何かをあげたり貸したりする、または相手を殺したり傷つけたりせずに助命する、というような場面で使われる単語です。
・「気持ちや労力を抑える」ニュアンスで「(苦労や困難などを)避けさせる」「許す」というような使われ方もあります。「Can you spare me some time?(少し時間を割いてもらえますか?)」のように、とても日常的に使われます。
CEFRレベル: B2 (中上級)
(理由: 「spare」は多義的で、時に抽象的にも使われるため、やや中級以上の理解が必要です)
他の品詞:
- 形容詞: 「余分の」「予備の」
例: a spare key (予備の鍵), a spare tire (スペアタイヤ) - 名詞: 「予備」「スペア」
例: Do you have any spares? (何か予備がありますか?)
2. 語構成と詳細な意味
語構成
- 「spare」は接頭語・接尾語などがついた形ではなく、Old English由来の単独の語です。
詳細な意味
- (時間・お金などを) 割く
・Can you spare a few minutes? (少し時間を割けますか?) - (人・物を) 害から救う、免れさせる
・They begged the attacker to spare their lives. (彼らは命だけは助けてくれと懇願した) - (感情を) 控える、(苦労・不快なこと)を免れさせる
・I want to spare you the details. (詳しいことは話さないでおくよ) - (労力・費用などを) 惜しむ / 控える
・He didn’t spare any expense on his wedding. (彼は結婚式で費用を惜しまなかった)
よく使われるコロケーションや関連フレーズ(10個)
- spare time – 余暇
- spare money – 余らせているお金 / 余剰資金
- spare no effort – 努力を惜しまない
- spare no expense – 費用を惜しまない
- spare someone’s feelings – (人の)感情を傷つけないようにする
- spare a thought for – (困っている人に)思いを寄せる
- spare oneself (something) – (不快・苦労など)を回避する
- spare the details – 詳細を省く
- spare someone the trouble – (人)に手間をかけさせない
- have … to spare – 〜を余分に持っている
3. 語源とニュアンス
語源
「spare」は古英語の“sparian”(節約する、惜しむ)に由来します。歴史的には「何かを使わずにとっておく」、「相手を傷つけずに(死から)助ける」という意味で使われてきました。
ニュアンス・使用時の注意
- 「spare me」は、丁寧に頼む「(少し時間やお金を)分けてもらえる?」という意味ですが、皮肉っぽく「そんな話はやめてくれ」(Spare me the lecture!) のように使うこともあります。
- 「助ける」「割く」というポジティブな意味から、ややフォーマルにもカジュアルにも幅広く使われます。
- 相手を配慮した言い方で、ビジネスメールでも頻繁に使われます。
4. 文法的な特徴と構文
他動詞としての用法:
- 主語 + spare + 目的語 + (目的語2/対象)
例: Could you spare me a minute?
(目的語として「me」、さらに「a minute」と二重目的語をとる使い方が多いです)
- 主語 + spare + 目的語 + (目的語2/対象)
自動詞としての用法は非常に限定的
- 一般的には他動詞として用いられることが多いです。
イディオム・構文:
- spare (someone) the details: 相手を気遣って詳細を避ける
- spare no effort/expense: 努力/費用を惜しまない
- spare (someone) the details: 相手を気遣って詳細を避ける
フォーマル / カジュアル:
- 「Could you spare a moment?」(少し時間ありますか?) は丁寧だがカジュアルに近い。
- 「Please spare me~」は依頼 / 皮肉いずれにも応用可能。
- 「Could you spare a moment?」(少し時間ありますか?) は丁寧だがカジュアルに近い。
5. 実例と例文
(1) 日常会話の例文
- “Could you spare me a minute? I need some advice.”
(ちょっと時間を割いてくれる? 相談があるの。) - “I only have one pen, so I’m sorry I can’t spare you one.”
(ペンが1本しかないから、残念だけど貸してあげられないんだ。) - “Please spare me the details of your argument. I don’t want to get involved.”
(そのケンカの詳細は話さなくていいよ。巻き込まれたくないからね。)
(2) ビジネスシーンの例文
- “Could you spare some time to review the report before our meeting?”
(会議前に、そのレポートをチェックする時間をとれますか?) - “We should spare no expense in ensuring our customers’ satisfaction.”
(顧客満足のためには費用を惜しむべきではないですね。) - “If you could spare a moment, I’d like to discuss the new project proposal.”
(少しお時間いただければ、新しいプロジェクト提案についてお話ししたいのですが。)
(3) 学術的な文脈の例文
- “Researchers must spare no effort in collecting accurate data.”
(研究者は正確なデータ収集にあたり、努力を惜しんではならない。) - “The committee decided to spare the department from budget cuts this year.”
(委員会は、今年はその部門を予算削減から免れさせることを決めた。) - “Please spare us the technical jargon and summarize the results in plain language.”
(専門用語は使わずに、結果をわかりやすく要約してください。)
6. 類義語・反意語と比較
類義語
- save (救う、節約する)
- “save”は「貯める」「救う」といった意味が強い。一方、「spare」は「費用や労力を惜しまない」「割く」というニュアンスがある。
- “save”は「貯める」「救う」といった意味が強い。一方、「spare」は「費用や労力を惜しまない」「割く」というニュアンスがある。
- reserve (取っておく、予約する)
- “reserve”は確保する・予約するニュアンスが中心。「spare」は「(時間・お金を)使ってでも与える/救う」という側面が強い。
- “reserve”は確保する・予約するニュアンスが中心。「spare」は「(時間・お金を)使ってでも与える/救う」という側面が強い。
- pardon (許す)
- “pardon”は「罪や非礼を許す」という法的・公式的ニュアンス。「spare」は、物理的・金銭的・感情的に「相手を助ける/譲る」ニュアンス。
反意語
- use up (使い切る)
- waste (浪費する)
- harm (傷つける、害を与える)
→ 「spare」は「害を与えない」「余裕を持って使う」なので、これらが反対の概念になります。
7. 発音とアクセントの特徴
発音記号(IPA)
- イギリス英語(BrE): /speə(r)/
- アメリカ英語(AmE): /spɛr/ または /sper/
強勢(アクセント)の位置
- “spare”は1音節の単語なので、特にアクセントの移動はありません。単語全体にストレスがかかります。
よくある発音ミス
spear
(/spɪər/)「槍」と混同しないよう注意。(母音の長さとrの扱いが異なる)- アメリカ英語では「スペア」より「スペァ」寄りの発音になりがち。
8. 学習上の注意点・よくある間違い
- スペルミス: “spare” を “spear” と書いてしまう混同
- 多義語ゆえの混乱: 「余裕がある」「予備」「惜しむ」「助ける」の意味の違いに気をつける
- TOEICや英検などでは、ビジネス文脈・日常文脈の両方で出題される可能性がある
- 例: “Could you spare me a few minutes to go over the schedule?” (TOEICパート3,4などの定番表現)
9. 記憶に残るヒントやイメージ
- 「spare tire (スペアタイヤ)」や「spare key (スペアキー)」から「余分に確保しておく」「とっておく」というイメージを連想しやすい。
- 「Can you spare me~?」のフレーズは「時間やものを惜しまずに割いてくれる?」という感覚で覚えておくとよい。
- “spare no effort” という慣用句は「努力を惜しまない」なので、セットで覚えておくと実践で役立ちます。
上記をまとめると、「spare」は一言で言えば「(余裕があるものを)割く/助ける/惜しむ」という幅広い意味を持つ動詞です。依頼時や感情を和らげる表現、ビジネスシーンでもよく出てくるため、多義性に慣れておくのがポイントです。ぜひ多様な用例で覚え、柔軟に使えるように練習してみてください。
…‘を'容赦する,‘の'命を助ける
《spare+名〈人〉+名〈労苦〉》〈苦痛・苦労まど〉‘を'〈人〉‘に'させない
《通例否定文で》〈時間・労力など〉‘を'惜しむ,控える
〈労力・時間など〉‘を'さく,割愛する;…‘を'なしですませる
(ある日的のために)…‘を'取っておく,残しておく《+名+for+名》