ought
1. 基本情報と概要
単語: ought
品詞: 助動詞 (modal verb)
- 英語の意味: “should”や“have to”に近い意味を持つ助動詞。義務・当然・推奨を表す。
日本語の意味: 「〜すべき」「〜したほうがよい」「〜するのが当然だ」という意味。
- 例: “You ought to see a doctor.”(医者に行くべきだよ)
- 「こうした方が良い」「こうすべきだ」といった、ある行動の望ましさや義務感を示すときに使う単語です。日常会話では「should」のほうがやや一般的ですが、「ought」はより強めのニュアンスで「そうするのが本来の正しい姿・当然の義務」といった印象があります。
- 例: “You ought to see a doctor.”(医者に行くべきだよ)
活用形: 助動詞なので、人称や時制で形が変わらず、常に“ought”のままで使われます。
- 否定形: “ought not” (省略形は“oughtn’t”と書く場合もありますが非常に少ない)
- 疑問形: “Ought I…?” (口語ではあまり使われず、やや古風・形式的)
- 否定形: “ought not” (省略形は“oughtn’t”と書く場合もありますが非常に少ない)
他の品詞になった時の例: “ought”は現代英語では助動詞としてのみ用いられ、名詞や形容詞など他品詞として使われることはまずありません。
CEFRレベルの目安: B2(中上級)
- A1: 超初心者
- A2: 初級
- B1: 中級
- B2: 中上級 → 比較的複雑な英語表現を運用できる段階
- C1: 上級
- C2: 最上級
- A1: 超初心者
日常会話上は「should」の代わりとして使う機会は多くないですが、書き言葉やややフォーマルな文脈で登場する例があります。
2. 語構成と詳細な意味
“ought”は、現代では独立した形として残っており、接頭語・接尾語の区別はあまり意識されません。
以下のような派生表現も関連して存在しますが、非常に古風です。
- “aught” / “ought” (古い英語・方言的用法で「何か」「何も〜ない」という意味)
- “nought” (「ゼロ」「無」の意味)
よく使われるコロケーションや関連フレーズ(例文中の“to”は省略される場合もありますが、一般的には“ought to”で用いられます):
- ought to know better: 「もっと分別があるべきだ」
- ought not to be late: 「遅れるべきではない」
- you ought to see a doctor: 「医者に診てもらうべきだ」
- ought to have done (過去形): 「〜すべきだったのに(しなかった)」
- ought we to do this?: 「私たちはこれをすべきでしょうか?」(疑問形、やや形式的)
- ought to consider all options: 「すべての選択肢を検討すべきだ」
- ought not to overlook: 「見落とすべきではない」
- one ought to be responsible: 「責任感をもつべきだ」
- it ought to help: 「それは役に立つはずだ」
- we ought to respect others: 「私たちは他人を尊重すべきだ」
3. 語源とニュアンス
- 語源: 古英語の“āgan”(所有する、義務がある)や“owe”(負う、借りがある)に由来するといわれています。
- 歴史的用法: 元々は「借りがある」「義務を負っている」という意味で使われていた言葉が、徐々に「〜すべきだ」という意味の助動詞として定着しました。
- ニュアンス・使用上の注意:
- 主に文章やフォーマルな場面でやや堅い印象を与えることがあります。
- 口語では「should」が使われることが圧倒的に多いです。
- 「義務」「当然そうあるべき」という度合いをやや強めに表現するときに適しています。
- 主に文章やフォーマルな場面でやや堅い印象を与えることがあります。
4. 文法的な特徴と構文
- 助動詞としての特徴:
- “ought”のあとは通常“to + 動詞の原形”が続きます (ただし、口語では “Ought I do this?” のように “to” を省略する形もあるが稀)。
- 助動詞のため、“-s”や時制変化はありません。三人称単数形もそのまま “ought” です。
- “ought”のあとは通常“to + 動詞の原形”が続きます (ただし、口語では “Ought I do this?” のように “to” を省略する形もあるが稀)。
- 肯定文: “S + ought (to) + 動詞の原形”
- 例: “He ought to study more.”
- 例: “He ought to study more.”
- 否定文: “S + ought not (to) + 動詞の原形”
- 例: “You ought not to smoke here.”
- “You oughtn’t to smoke here.” と縮約形にすることも可能(ただし非常に形式的・レア)。
- 例: “You ought not to smoke here.”
- 疑問文: “Ought + S + (to) + 動詞の原形…?”
- 例: “Ought I to finish this report?”(「Should I finish this report?」のより堅い・古風な言い方)
- 例: “Ought I to finish this report?”(「Should I finish this report?」のより堅い・古風な言い方)
使用シーンの特徴:
- フォーマルな文章、あるいは書き言葉で「するべきだ」という強い推奨を示したいときに使用。
- 口語では “should” が一般的。
5. 実例と例文
(A) 日常会話
- “You ought to apologize to her.”
- 彼女に謝るべきだよ。
- 彼女に謝るべきだよ。
- “We really ought not to forget Mark’s birthday.”
- マークの誕生日を本当に忘れちゃだめだよ。
- マークの誕生日を本当に忘れちゃだめだよ。
- “Ought we to leave now, or can we stay longer?”
- もう行くべきかな、それともまだいていいのかな?
(B) ビジネス
- “The company ought to invest in new technology to stay competitive.”
- 競争力を維持するために、その会社は新しい技術に投資すべきだ。
- 競争力を維持するために、その会社は新しい技術に投資すべきだ。
- “You ought not to disclose confidential information without permission.”
- 許可なしで機密情報を漏らすべきではありません。
- 許可なしで機密情報を漏らすべきではありません。
- “Staff ought to follow the safety regulations at all times.”
- スタッフは常に安全規定に従うべきです。
(C) 学術的文脈
- “Researchers ought to consider ethical implications before conducting experiments.”
- 研究者は実験を行う前に倫理面での影響を考慮すべきです。
- 研究者は実験を行う前に倫理面での影響を考慮すべきです。
- “The theory ought to be re-examined with updated data.”
- その理論は新しいデータを使って再検討されるべきだ。
- その理論は新しいデータを使って再検討されるべきだ。
- “We ought to publish our findings in a reputable journal.”
- 私たちは研究結果を信頼できる学術誌に発表すべきだ。
6. 類義語・反意語と比較
類義語 (Synonyms)
- should(〜すべき)
- 日常的に最もよく使われる。“ought”よりもカジュアル。
- 日常的に最もよく使われる。“ought”よりもカジュアル。
- must(〜しなければならない)
- 必要性や義務の度合いがより強い。
- 必要性や義務の度合いがより強い。
- have to(〜しなければならない)
- “must”と似ているが、より口語的で実務的なニュアンス。
- “must”と似ているが、より口語的で実務的なニュアンス。
- need to(〜する必要がある)
- 必要性を表すが、強制感は“must”より弱め。
- 必要性を表すが、強制感は“must”より弱め。
反意語 (Antonyms)
“ought”が「~すべき」という義務・当然を示すのに対して、直接の反意語というのはあまりないですが、強いて反対の意味合いとしては「~すべきではない」を表す “ought not” が用いられます。また、“must not” や “should not” も「〜してはいけない」という禁止の意味合いですが、「義務・当然」の反対としてはややずれがあります。
7. 発音とアクセントの特徴
- 発音記号(IPA): /ɔːt/ (英国), /ɑːt/ (米国, 地域によっては/ɔt/に近い発音も)
- 強勢(アクセント): 短く /ɔːt/ (あるいは /ɑːt/) と発話され、特に強いアクセントは置かれません。
- アメリカ英語とイギリス英語: イギリス英語では「オート」に近い長めの母音 (/ɔː/)。アメリカ英語では地域差があり、/ɑːt/や /ɔt/ 等の発音が一般的。
- よくある発音の間違い: “ought”の “gh” の部分がサイレントなので、/g/と読まないよう注意。
8. 学習上の注意点・よくある間違い
- スペルミス: “ought”を“out”や“aught”などと書き間違えないようにする。
- 同音異義語との混同: “aught” (古語で「何か」「何も」) と発音が似ている場合があるため混乱しがち。
- TOEICや英検などでの出題傾向:
- あまり頻出ではありませんが、高度な助動詞の用法として「〜すべきだ」のバリエーションとして出ることがある。
- “should”との比較問題や、否定形“ought not”が選択肢に出てくることもある。
- あまり頻出ではありませんが、高度な助動詞の用法として「〜すべきだ」のバリエーションとして出ることがある。
9. 記憶に残るヒントやイメージ
- “owes”という古い意味を思い出す: 「あなたは何かを“借りている(owe)”から、それを返す義務がある」 → そこから「〜すべき」と覚える。
- 綴りのポイント: “gh” は読まない → “ou(g)ht” と心の中で区切ってみると覚えやすい。
- イメージストーリー: 「道徳や義務に“借り”があるから、それに従うべき」という感覚から来ていると考えると、意味をイメージしやすい。
以上が “ought” の詳細な解説です。
「should」より少しフォーマルまたは強調した使い方を表すときに便利なので、文脈に応じて使ってみてください。
《忠告・願望》…するのが望ましい,するのがよい
《見込み・当然の結果》…するはずである,きっと…するであろう
《義務・当然》…すべきである,するのが当然である