at once
以下では、「at once」という表現について、できるだけ詳しく解説します。
1. 基本情報と概要
品詞: 副詞句 (adverbial phrase)
意味(英語):
1) immediately / right away
2) simultaneously / at the same time
意味(日本語):
1) 「すぐに、ただちに」
2) 「同時に、一度に」
日本語の説明:
「at once」は「すぐに」や「ただちに」という意味で、なにかを急いでしてほしいときに使われます。また、「同時に」という意味もあり、複数のことを一度に行うような状況で使われる表現です。口調としては比較的一般的で、日常会話でもビジネスの場面でも使われます。
活用形について:
「at once」は決まった表現(イディオム)なので、品詞を変えるなどの活用はありませんが、同じ意味を伝える場合には「immediately」や「right away」などに置き換え可能です。
CEFRレベル: B1(中級)
「at once」は一般的かつ日常的によく使われる表現です。中級学習者が使えると便利なフレーズです。
2. 語構成と詳細な意味
語構成
- 「at」(前置詞)
- 「once」(副詞:一回/一度/すぐに)
この2文字の前置詞「at」と副詞「once」が組み合わさって、「ただちに・同時に」のニュアンスを持つフレーズになっています。
他の単語との関連性
- 「once」は「一度、かつて」などとして単独で使われることもあります。
- 「immediately」「right away」は「at once」と同じように「すぐに」を表す類義表現です。
- 「all at once」は文頭や文中で「突然、一度に」の意味として使われる表現です。
よく使われるコロケーション(共起表現)や関連フレーズ(10例)
- “Come here at once.”(すぐここに来て)
- “Please reply at once.”(すぐに返信してください)
- “We need to leave at once.”(私たちはすぐに出発しなければなりません)
- “Do it at once.”(すぐにやって)
- “He answered at once.”(彼は即座に答えました)
- “I recognized him at once.”(私は彼をすぐに見分けた)
- “Stop that at once!”(今すぐやめなさい!)
- “You should apologize at once.”(あなたはすぐに謝るべきだ)
- “We can’t do everything at once.”(一度に全部はできません)
- “He was rude and left at once.”(彼は失礼な態度をとって、すぐに立ち去りました)
3. 語源とニュアンス
語源
- 「at」は中英語以前からある前置詞で、「〜で」「〜に」「〜のところに」という位置を表す言葉です。
- 「once」は古英語「ān siþ」(one time)に由来し、「一度」「一回」を表していました。
- この2語が組み合わさって「ちょうどその瞬間に」というニュアンスから、「ただちに」「即座に」という意味に派生しました。
ニュアンスと使用時の注意点
- 「at once = ただちに」:発話者が相手に対して急いでほしいニュアンスが強いです。やや命令調にもなる場合があります。
- 「同時に」の意味では、同時進行の様子を描写する際に使われます。
- 口語でも文章でも使える、比較的フォーマルとカジュアルの中間レベルの表現です。
4. 文法的な特徴と構文
- 副詞句として、文中では主に文末または文頭に置かれることが多いです。
- 例) “Come here at once.” / “At once, we decided to run.”
- 強調したい場合は文頭に置くこともできますが、その場合はよりフォーマルになることがあります。
- 例) “At once, you must stop this behavior.”
「at once」を使ったイディオムとまではいかないまでも、確立した言い回しとしては “all at once” があります。こちらは「突然」「いきなり」という意味になるので、少し意味が異なる点に注意が必要です。
5. 実例と例文
日常会話 (3例)
- “Could you bring me a glass of water at once? I’m really thirsty.”
(お水をすぐに持ってきてくれる?のどが渇いてるんだ。) - “I realized at once that I’d left my phone at home.”
(家に携帯を忘れてきたことをすぐに気づいたよ。) - “Stop messing around at once!”
(今すぐふざけるのをやめなさい!)
ビジネス (3例)
- “Please send the updated report to the client at once.”
(更新されたレポートをすぐにクライアントに送ってください。) - “I need you to check these numbers at once; the meeting starts in five minutes.”
(5分後にミーティングが始まるので、すぐにこの数字を確認してください。) - “If there’s a security breach, notify your supervisor at once.”
(セキュリティ侵害があった場合は、すぐに上司に連絡してください。)
学術的・フォーマル (3例)
- “At once, the researchers identified a statistical anomaly in the data.”
(研究者たちはすぐにデータの統計的異常を突き止めた。) - “We must at once address the ethical implications of this study.”
(この研究の倫理的影響にただちに対処しなければなりません。) - “The committee decided at once to postpone the conference.”
(委員会はすぐに会議の延期を決定しました。)
6. 類義語・反意語と比較
類義語 (Synonyms)
- “immediately” (すぐに)
- よりフォーマルな響き。
- よりフォーマルな響き。
- “right away” (すぐに)
- くだけた感じ。
- くだけた感じ。
- “instantly” (即座に)
- 素早さを強調する。
- 素早さを強調する。
- “straight away” (すぐに)
- イギリス英語でよく使われる表現。
- イギリス英語でよく使われる表現。
これらの表現はいずれも「すぐに」という意味を持ちますが、「at once」はやや命令・指示のニュアンスを帯びることが多いです。
反意語 (Antonyms)
- “later” (後で)
- “eventually” (最終的に)
- “after a while” (しばらくして)
7. 発音とアクセントの特徴
- IPA表記: /ət wʌns/(弱形の at + once)
- アメリカ英語: [ət wʌns] または [æt wʌns](at の部分は文中で弱音化しやすい)
- イギリス英語: [ət wʌns] / [æt wʌns]
- アメリカ英語: [ət wʌns] または [æt wʌns](at の部分は文中で弱音化しやすい)
- アクセントは「once」に置かれやすいです。
- よくある間違いとしては、
once
の発音を誤って /wɔːns/ のようにしてしまうことがありますが、正しくは /wʌns/ です。
8. 学習上の注意点・よくある間違い
- スペルミス: “atonce” と1語にしてしまうミスがあるため、注意しましょう。必ず2語で書きます。
- 「once」単体の意味とは異なるので注意。文脈で「すぐに」なのか「一度」「かつて」なのかを見分けてください。
- 同音異義語: 「once」と「wants」の発音を混同する学習者がいるかもしれませんが、全くの別単語です。
- 資格試験では、リーディングよりはリスニングで「at once」のニュアンスが問われたり、語句置き換えの問題(immediately / right away など)として出題される可能性があります。
9. 記憶に残るヒントやイメージ
- 「“at” + “once” → “1回(one time)の場所(at)” から ‘すぐに・同時に’」と連想。
- 「あ!とワンス!」とカタカナで少しオーバーに発音して覚える(“あっ、ワンス”→すぐ思い出す)。
- 同時に二つのことをするイメージや、「すぐに動き出す」シーンを頭に思い浮かべると記憶に定着しやすいでしょう。
以上が「at once」の詳細解説です。文脈で「ただちに」と「同時に」の2種類の意味を使い分けられると、英語の表現の幅が大きく広がります。ぜひご活用ください。
《かたく》すぐに, ただちに
同時に, 1度に, 一緒に, 一気に