set down
以下では、英熟語「set down」をさまざまな観点から丁寧に解説します。
1. 基本情報と概要
意味(英語・日本語)
英語: “set down”
1) To put or place something down.(何かを置く・下ろす)
2) To write something, especially an idea or thought, in a careful or authoritative manner.(何かを記録する、特に考えなどを文章として書き留める)
3) To cause someone to get out of a vehicle, to drop someone off.(乗り物から人を降ろす)日本語: 「置く」「下ろす」「書き留める」「降ろす」のような意味があります。誰かを車やバスから降ろす時に “set someone down” と言ったり、ノートや文書へアイデアを書き留めるときに使われます。「しっかりとその場に下ろす・記録する」というニュアンスを持ちます。
品詞
- これは主に「動詞(句動詞)」として扱われます。
活用形
- 動詞 “set” は不規則変化動詞ですが、すべての形が “set” となります(原形: set, 過去形: set, 過去分詞: set)。
- “set down” も、時制によって以下のようになります:
- 現在形: set(s) down
- 過去形: set down
- 現在進行形: setting down
- 過去分詞: set down
- 現在形: set(s) down
他の品詞への派生
- “set” は名詞として使われること(例: a set of something 「一式」)や形容詞として使われること(例: set plan 「確定した計画」)がありますが、“set down” は句動詞のため、名詞や形容詞的用法はほとんどありません。
CEFRレベルの目安
- B1(中級)
比較的一般的な句動詞で、日常会話にも登場しますが、慣用的に使う表現もあるため、中級レベルとして学ぶことが多いです。
2. 語構成と詳細な意味
語構成
- “set” + “down” という句動詞(動詞 + 副詞)の組み合わせ。
関連・派生語
- set out(出発する、計画を立てる)
- set up(設置・設立する)
- set aside(取っておく、脇に置く)
- set off(出発する、引き起こす)
よく使われるコロケーションや関連フレーズ(10個)
- set down the rules(ルールを書き記す)
- set down one’s thoughts(考えを記録する)
- set down the luggage(荷物を下ろす)
- set down to eat(テーブルに着いて食事を始める)
- set down the cost(費用を書き留める)
- set down the minutes(会議の議事録を取る)
- set down a passenger(乗客を降ろす)
- set down at the curb(縁石のところで降ろす)
- set down in writing(書面にする)
- set down the phone(電話を置く)
3. 語源とニュアンス
語源
- “set” は古英語の “settan” に由来し「置く・据える」という意味から派生しています。
- “down” は「下へ」という方向を示す副詞です。
“set down” は、もともと「下に置く」という極めて物理的な動作から始まりましたが、記録したり書き留めたりという抽象的な用法へと広がりました。
ニュアンス
- 「しっかりと下へ置く」という感覚を持つため、単に「降ろす」よりもやや丁寧または意図的な雰囲気があります。
- 「メモする・書き留める」という場合も「きちんと書きつける」といった少し formal なニュアンスが混じることがあります。
使用シーン
- 日常会話では、人や物を「下ろす/置く」という文脈で使用。
- ビジネスや公式の文脈では、「会議の内容を書き留める」「ルールを明文化する」といったフォーマルな印象があります。
4. 文法的な特徴と構文
- “set down” は他動詞+副詞の句動詞で、目的語を挟むこともあります。
(例) “Set the box down.” / “Set down the box.” - ただし代名詞が目的語の場合は、必ず “set it down” のように代名詞を2語の間に置きます。
(例) “Set it down.” はOKですが “Set down it.” は文法的に誤りです。
イディオム的使い方
- “set down one’s foot” → あまり一般的ではありませんが、「しっかり足を踏み出す」というような表現。
- “set down your pen” → 試験終わりなどで「ペンを置く」と指示するときに使われます。
フォーマル/カジュアル要素
- フォーマル: “Please set down your official complaint in writing.”(正式に苦情を文書で提出ください)
- カジュアル: “Just set down your bag there.”(そこにかばんを置いておいて)
5. 実例と例文
日常会話での例文(3例)
- “Can you set the groceries down on the counter?”
(買い物袋をカウンターの上に下ろしてくれない?) - “I’ll set you down at the next bus stop.”
(次のバス停で降ろしてあげるよ。) - “Set the baby down gently in the crib.”
(赤ちゃんをベビーベッドに優しく寝かせてあげて。)
ビジネスでの例文(3例)
- “Could you please set down the minutes of the meeting in a concise report?”
(会議の議事録を簡潔な報告書にまとめてもらえますか?) - “We need to set down the new regulations for remote work.”
(リモートワークの新しい規定を文書化する必要があります。) - “Once we set down the terms of the contract, we can proceed with the signing.”
(契約条件を明文化したら、署名手続きを進めましょう。)
学術的・フォーマルな文脈での例文(3例)
- “The researcher set down the experimental results in a detailed journal article.”
(研究者は実験結果を詳細な学術論文にまとめた。) - “In his treatise, he set down a comprehensive theory of language acquisition.”
(彼の論文では言語習得の包括的な理論が打ち立てられた。) - “The committee has set down strict procedures to ensure data integrity.”
(委員会はデータの完全性を確保するための厳格な手順を定めた。)
6. 類義語・反意語と比較
類義語 (Synonyms)
- put down(置く、降ろす、書き留める)
- “put down” は意味がより幅広く、口語的です。
- 例: “Put down your phone.”(電話を置いて)
- “put down” は意味がより幅広く、口語的です。
- lay down(横にする、規定を定める)
- 物を横にするイメージが強く、ややフォーマル。
- 例: “They laid down the law.”(彼らは法律を定めた)
- 物を横にするイメージが強く、ややフォーマル。
- drop off(降ろす)
- 「車で送る」や「発送する」といったニュアンスが強い。
- 例: “I’ll drop you off at the train station.”(駅まで送るよ)
- 「車で送る」や「発送する」といったニュアンスが強い。
反意語 (Antonyms)
- pick up(拾う、迎えに行く)
- “pick up” は「拾い上げる」「迎えにいく」などの反対動作。
- take up(持ち上げる、開始する)
- 「下ろす」→「持ち上げる」の対比となる語。
7. 発音とアクセントの特徴
- 発音記号(IPA)
- set /sɛt/
- down /daʊn/
- “set down” の場合でも基本的に [sɛt daʊn] と続けて発音します。
- set /sɛt/
- アメリカ英語とイギリス英語の違いはほぼありませんが、
- イギリス英語では [sɛt daʊn]
- アメリカ英語では [sɛt daʊn]
と “down” の口の開き具合や /aʊ/ の発音が少し異なる印象です。
- イギリス英語では [sɛt daʊn]
- アクセントの位置については “set” と “down” とでそれぞれ平坦に発音されることが多いです。
8. 学習上の注意点・よくある間違い
- “set” は原形・過去形・過去分詞すべて同形なので、混乱しないように注意が必要です。
- 代名詞(it, themなど)が目的語に入る場合は “set it down” が正しく、“set down it” は誤りとなります。
- 同音異義語に “sit down”(座る)があるため、スペリングミス “sitt down” などと混同しないようにしましょう。
- TOEIC や英検などでは、句動詞の理解を問う問題が出題されることがあります。“set down” と “put down”、“drop off” などの違いを理解しておくと役立ちます。
9. 記憶に残るヒントやイメージ
- 「set」は「位置を決める(据える)」というイメージから派生して覚えるとよいでしょう。
- “set down” は「しっかり決まったところに下ろす/書き留める」というイメージでまとめると記憶しやすくなります。
- 「シンプルな単語の組み合わせでも、方向や状態を表す副詞が後ろにつくことで意味が大きく変化する」という句動詞の特徴を意識して学習するのがコツです。
以上が「set down」の詳細な解説です。このフレーズは、物理的に何かを置いたり降ろしたりするだけでなく、意見や情報を「書き留める」という場面でも使われます。使用例や類義語との比較をしっかり押さえることで、日常会話からビジネスシーン、学術的な文章でも柔軟に使いこなせるようになるでしょう。ぜひ参考にしてください。
【句動】(地面・テーブルの上などに)を置く