元となった辞書の項目
lay down
解説
以下では、句動詞「lay down」を、初学者から上級者まで幅広く理解できるよう、できるだけ詳しく解説します。
1. 基本情報と概要
英単語
- lay down (句動詞/phrasal verb)
意味(英語)
- To put something down in a flat position.
- To establish or formulate rules, laws, or guidelines.
- To surrender or give up (e.g., “lay down arms”).
- To store or set aside for future use (e.g., “lay down wine”).
意味(日本語)
- 何かを平らな位置(床やテーブルなど)に置く。
- 規則・法律・指針などを定める。
- 武器などを放棄する、降伏する。
- 将来使用するために取っておく(ワインを寝かせておく、など)。
「lay down」は、上記のように複数の意味を持ちます。文脈によっては「置く」「規定する」「放棄する」「寝かせる」といったニュアンスになります。特に「規則を定める」や「武器を捨てる」など、ある行動や規定をはっきりと打ち出すときに使われる表現です。
品詞
- 句動詞(動詞+副詞)
- ベースの動詞は “lay”。
- “down” は副詞や前置詞として機能しますが、ここでは句動詞の一部です。
- ベースの動詞は “lay”。
活用形
- 原形:lay down
- 三人称単数現在形:lays down
- 過去形:laid down
- 過去分詞:laid down
- 現在分詞:laying down
他の品詞例
- “lay” は単独で動詞として使われ、意味は「~を置く」「横たえる」などです。
- 名詞としては “lay” に「素人(専門知識のない人)※形容詞的に使われることが多い(lay opinion など)」の用法がありますが、頻度は比較的低いです。
CEFRレベル(目安)
- B2(中上級)
- 句動詞は概念をしっかり理解する必要があるため,B2レベル以上の学習者向けです。
2. 語構成と詳細な意味
語構成
- lay: 古英語の “lecgan” から派生し、「物を置く」「横たえる」という意味があります。
- down: 空間的に「下方へ」を表す副詞・前置詞。句動詞になると「完全に~する/物理的に下げる・置く/確定させる」というニュアンスになります。
詳細な意味
- (put in a flat position)
「何かを平らに置く」という物理的な行為。 - (establish or formulate)
「規定する、定める」というややフォーマルなニュアンスで、法律や方針などを「敷く・打ち立てる」という場面で使います。 - (surrender or give up)
「武器を放棄する」「戦いをやめる」という場面でよく使います。 - (store for future)
「取っておく」「将来に備えて蓄えておく」という場面で使います(ワインを貯蔵する、など)。
よく使われるコロケーション(共起表現)10選
- lay down the law → (法律や規則を)制定する
- lay down one’s arms → 武器を捨てる/降伏する
- lay down restrictions → 制限を設ける
- lay down the groundwork → 土台を築く
- lay down a plan → 計画を策定する
- lay down rules → 規則を設ける
- lay down a carpet → カーペットを敷く
- lay down your burden → 重荷を下ろす(比喩的表現)
- lay down guidelines → ガイドラインを定める
- lay down an ultimatum → 最後通告を突きつける
3. 語源とニュアンス
語源
- lay は古英語 “lecgan” に由来し、「寝かせる・置く」という原義があります。
- down は古英語 “dūn”(丘・小高い場所の下)から派生し、後に副詞・前置詞としての「下に」という意味を持つようになりました。
ニュアンス・使用時の注意
- 「lay down the law」などはややフォーマル、または少し上から目線のニュアンスとして使われることもあります。
- 「lay down arms」は戦争や紛争など公式(フォーマル)な状況や歴史的文脈で用いられることが多いです。
- 口語では「ものを置く」という意味面で「I’m going to lay down the book」などの形が出てきますが、日常会話では “put down” がより多く使われるかもしれません。
- 一方、規定やルールを「決める・定める」意味はビジネスや公式文章で使用されやすい表現です。
4. 文法的な特徴と構文
他動詞としての使い方
- “lay” はもともと他動詞なので、目的語を取ります。
- 例: “lay down the book,” “lay down rules.”
- “lay” はもともと他動詞なので、目的語を取ります。
イディオム的用法
- “lay down the law,” “lay down one’s arms” など定型表現があります。
- “lay down the law,” “lay down one’s arms” など定型表現があります。
フォーマル度合い
- 規定や指針を示す場合はフォーマル。
- 物を置く意味では、比較的カジュアルでも使えますが、 “put down” と似た意味で日常会話ではそちらが頻出。
- 規定や指針を示す場合はフォーマル。
可算・不可算に関して
- 動詞なので可算・不可算は関係しませんが、目的語が複数形か単数形かによって “lay down a law” か “lay down laws” かが変わります。
5. 実例と例文
日常会話での例文(3つ)
- “Could you lay down those groceries over here?”
(その食料品をここに置いてくれる?) - “I’m going to lay down this heavy box for a moment.”
(この重い箱をちょっと置くね。) - “Don’t lay down your phone on the wet table!”
(濡れたテーブルに携帯を置かないで!)
ビジネスシーンでの例文(3つ)
- “The CEO plans to lay down new guidelines for remote work.”
(CEO はリモートワークに関する新たなガイドラインを設定する予定です。) - “We need to lay down clear policies to address this issue.”
(この問題に対処するため、明確な方針を定める必要があります。) - “Before we proceed, let’s lay down a detailed plan for the next quarter.”
(進める前に、次の四半期に向けた詳細な計画を立てましょう。)
学術的・フォーマルな文脈での例文(3つ)
- “The committee will lay down the official terms of reference for the research.”
(委員会は、その研究に対する正式な諮問事項を定める予定です。) - “This treaty lays down the fundamental principles of cooperation between the two nations.”
(この条約は、両国間の協力に関する基本的な原則を定めています。) - “Historical records show that the king laid down a series of harsh laws during his reign.”
(歴史的な記録によると、その王は在位中に一連の厳しい法律を制定しました。)
6. 類義語・反意語と比較
類義語
- put down(〜を置く)
- 日常会話で単に「置く」と言いたいときに使われることが多い。
- 日常会話で単に「置く」と言いたいときに使われることが多い。
- establish(確立する/設立する)
- 法律や組織などを「確立する」ニュアンス。よりフォーマル。
- 法律や組織などを「確立する」ニュアンス。よりフォーマル。
- formulate(策定する)
- 政策や理論などを体系的に「練り上げる」「策定する」。学術的でフォーマル。
- 政策や理論などを体系的に「練り上げる」「策定する」。学術的でフォーマル。
- set down(書き留める/定める)
- 文章に記録したり、規定を文字化するときに用いる。
反意語
- pick up(拾い上げる/~を取り上げる)
- 物理的に何かを「持ち上げる」という意味で “lay down” の反対。
使い方の違いの例
- “put down” と “lay down”
- 両方とも「~を下に置く」意味があるが、 “lay down” のほうがややフォーマル・書き言葉寄りで、指針や武器放棄などに転用される意味が強い。
- 両方とも「~を下に置く」意味があるが、 “lay down” のほうがややフォーマル・書き言葉寄りで、指針や武器放棄などに転用される意味が強い。
- “establish” と “lay down”
- “establish” は組織の設立や制度の確立など、比較的大規模・正式なことに使う。 “lay down” は規則を設けたり、物事の基準を定める表現で、より指令的なニュアンスを含む。
7. 発音とアクセントの特徴
- 発音記号 (IPA): /leɪ daʊn/
- アクセントの位置:
- “LAY” の母音 [eɪ] をはっきり伸ばし、 “DOWN” は [daʊn] と下がり気味に発音。
- “LAY” の母音 [eɪ] をはっきり伸ばし、 “DOWN” は [daʊn] と下がり気味に発音。
- アメリカ英語とイギリス英語:
- 大きな差はありませんが、アメリカ英語のほうが “daʊn” の [aʊ] をやや鼻にかけて発音する傾向があります。
- 大きな差はありませんが、アメリカ英語のほうが “daʊn” の [aʊ] をやや鼻にかけて発音する傾向があります。
- よくある発音の間違い:
- [laɪ] と混同して「ライダウン」とならないように注意( “lay” と “lie” はしばしば混同されがち)。
8. 学習上の注意点・よくある間違い
- “lie down” との混同
- “lie down” は自分自身が横になる(自動詞)。
- “lay down” は何かを置く(他動詞)。
- 例: “I’m going to lie down on the sofa.”(私はソファに横になる)
- 例: “I’m going to lay down the book on the sofa.”(私は本をソファの上に置く)
- “lie down” は自分自身が横になる(自動詞)。
- スペルミス
- 過去形や過去分詞が “laid” であり “layed” ではない。
- 過去形や過去分詞が “laid” であり “layed” ではない。
- TOEIC・英検などでの出題傾向
- 句動詞の中でも複数の意味を持つため、文脈把握問題やイディオム問題で出題されやすい。
- “lay down the law” や “lay down arms” など定型表現として問われることもある。
- 句動詞の中でも複数の意味を持つため、文脈把握問題やイディオム問題で出題されやすい。
9. 記憶に残るヒントやイメージ
- 「lay down」は「下に置く」イメージをまずしっかり持つと、そこから「ルールを敷く」「武器を置く」「ワインを寝かせる」などの具体的な使い方に派生しやすいです。
- “lie” と “lay” の混同をしないように、「lay」は必ず目的語が必要で「何かを置く」イメージで覚えましょう。
- 規則や法を「敷く=敷布のように広げる」とイメージすると、 “lay down the rules” が覚えやすくなります。
以上が「lay down」の詳細な解説です。目的語を伴い「〜を置く」基礎的な意味から、指針・ルール・武器などの抽象的概念を「下に置く」「放棄する」という比喩的な意味まで幅広く使われる点に注目していただければ、理解が深まるでしょう。
意味のイメージ
意味(1)
【句動】(使い終わったもの)を置く
意味(2)
(休むために)横になる
意味(3)
...と規定する, ...ということを正式に決める