元となった辞書の項目
volition
解説
1. 基本情報と概要
単語: volition
品詞: 名詞 (noun)
意味(英語): the act or power of making one’s own choices or decisions; will.
意味(日本語): 自分自身で決断・選択をする「意志」や「意思の力」のことを表します。
「volition」は、「自分の意思で物事を決め行動する」という文脈で使われる、ややフォーマルなニュアンスのある単語です。日常会話で頻繁に登場するものではありませんが、学術論文やフォーマルな文脈ではしばしば用いられます。
CEFR レベル: C1 (上級)
→ 一般的な日常英会話よりも専門性が高い文章などで目にするレベルです。大学レベルの論文や文献などで見られます。
他の品詞形
- volitional (形容詞): 意志に関わる、意思的な
例: volitional control (意思的なコントロール)
2. 語構成と詳細な意味
- 語幹: “volit” → ラテン語の “velle” (意思する、~したいと思う) に由来しています。
- 接尾語: “-ion” → 「状態・行為・結果」を表す名詞化の接尾語。
関連語・派生語
- volitional (形容詞): 意志の
- volitionally (副詞): 意志的に
よく使われるコロケーション・関連フレーズ(10個)
- of one’s own volition
(自発的に、自分の意思で) - acts of volition
(意思による行動) - free volition
(自由意思) - conscious volition
(意識的な意思) - independent volition
(独立した意思) - personal volition
(個人的な意思) - lacking volition
(意欲・意思を欠いている) - exercise one’s volition
(意思を発揮する、意思を働かせる) - volition and action
(意思と行動) - capacity for volition
(意思決定の能力)
3. 語源とニュアンス
語源:
- ラテン語「velle(欲する、~したいと思う)」が起源で、そこから派生した “volition” は、近代英語以降「意志の力」を指す学術的・哲学的な用語として確立しています。
ニュアンス:
- 「volition」は「自分で決める意志」が強調されるため、無理やりやらされるわけではなく、あくまでも自分の内なる意欲や意思によって行動を起こす場合に使われることが多いです。
- カジュアルな口語表現ではやや硬い印象を与えるため、学術的・フォーマルな文書や、哲学・心理学などの文脈で見られます。
4. 文法的な特徴と構文
- 可算/不可算: 通常は不可算名詞 (an act of volition / one’s own volition など、冠詞の使い方に注意)。
- 一般的には「of one’s own volition(自発的に)」という慣用表現として使われることが多いです。
使用シーン
- フォーマル: 論文や契約書、学術文書などで、意志決定に関連する場面でよく使われます。
- カジュアル: あまり日常会話では出てこないため、カジュアルに使うとやや堅苦しい印象を与える可能性があります。
5. 実例と例文
(A) 日常会話での例文
- “She left the party of her own volition, not because someone told her to.”
(彼女は誰かに言われたからではなく、自分の意思でパーティを後にしたんだよ。) - “I went to the store of my own volition and bought the groceries.”
(自分の意思でお店に行って、食料品を買ったよ。) - “No one forced him; he did it by his own volition.”
(誰も彼を強制しなかった。彼は自分の意思でそれをやった。)
(B) ビジネスシーンでの例文
- “The manager emphasized that any overtime work should be done by employees’ own volition.”
(マネージャーは、残業は従業員の自主的な意思に基づいて行われるべきだと強調しました。) - “She signed the contract of her own volition, fully aware of the terms.”
(彼女は契約条件を十分に理解した上で、自発的に契約書にサインしました。) - “Employees should be free to make decisions in their areas of responsibility by their own volition.”
(従業員は、自分たちの責任範囲においては自発的な意思決定を行う自由があるべきです。)
(C) 学術的・専門的な文脈での例文
- “In psychology, volition is studied as an essential component of human motivation.”
(心理学において、volition は人間のモチベーションの重要な要素として研究されています。) - “The philosopher argued that free volition is central to moral responsibility.”
(その哲学者は、自由意思が道徳的責任の中心的な概念だと主張しました。) - “Neuroscientists are exploring the neural mechanisms behind voluntary action and volition.”
(神経科学者たちは、自発的行動や意思の神経機構について探求しています。)
6. 類義語・反意語と比較
類義語
- will(意志)
- より一般的で、日常会話で使いやすい表現。
- より一般的で、日常会話で使いやすい表現。
- desire(欲求)
- やや感情的・欲求的な意味合いが強い。
- やや感情的・欲求的な意味合いが強い。
- intent(意図)
- 何かをやろうとする「意図」を中心に表現。
- 何かをやろうとする「意図」を中心に表現。
- agency(主体性)
- 行動や選択における主体的な力を表す。
反意語
- compulsion(強制)
- 外部から圧力をかけられて行動する意味。
- 外部から圧力をかけられて行動する意味。
- coercion(強要)
- 無理やりやらされる、強要されるニュアンスを含む。
7. 発音とアクセントの特徴
- 発音記号(IPA): /vəˈlɪʃ(ə)n/
- アクセント: 「vǝ-lísh-uhn」のように、第2音節「-li-」に強勢がきます。
- アメリカ英語とイギリス英語: 大きな違いはありませんが、アメリカ英語では [vəˈlɪʃən]、イギリス英語では [vəˈlɪʃ(ə)n] と発音されることが多いです。
- よくある間違い: “volition” の “o” を強く読んだり “vo-li-tion” ではなく “və-lish-ən” に近い音で発音するのがポイントです。
8. 学習上の注意点・よくある間違い
- スペルミス: “volition” は “voilition” や “voliton” と綴り間違いされることがあります。
- 発音ミス: “voɪ-” ではなく “və-” と始めることに注意。
- 同音異義語との混同: とくに同音異義語はないですが “volition” と “violation (違反)” はスペリングが似ているので注意。意味はまったく異なります。
- 試験対策: TOEIC や英検ではあまり頻出ではありませんが、大学受験英語やIELTS、TOEFL、または文献読解の際に見かける可能性があります。
9. 記憶に残るヒントやイメージ
- 「volition → 意志を持って “go” (行動する) とイメージして覚える」と考えてみると、スペリングも発音もイメージしやすいかもしれません。
- 語源が「velle(意志する)」にあることを思い出すと、フランス語の「vouloir(~したい)」ともつながりがあると覚えやすいでしょう。
- 自由意思(free will)との関連で、「人が自分の力で決める力」を表す単語というストーリーで記憶すると忘れにくくなります。
「volition」は日常会話ですぐに使われる言葉ではないですが、哲学・心理学・社会学などのアカデミック分野では頻繁に登場します。文脈とあわせてしっかり使い分けると、より豊かな表現力が身につくでしょう。
意味のイメージ
意味(1)
意志,決意