元となった辞書の項目
tort
解説
1. 基本情報と概要
単語: tort
品詞: 名詞 (countable noun)
英語での意味: A tort is a civil wrong or wrongful act, whether intentional or accidental, that causes harm or loss, resulting in legal liability.
日本語での意味: 不法行為、または民事上の不正行為を指し、法律的に損害賠償責任をもたらす行為のことをいいます。
「民事上で誰かに損害を与えたり侵害したりする行為」を指す、法律関連で使われる正式な単語です。
活用形
- 「tort」は名詞として使われ、複数形は torts となります。
- 形容詞形としては「tortious (不法行為の)」などがあります。
- 人が不法行為を行った場合には「tortfeasor」と呼ばれることもあります(“-feasor” は行為者を意味)。
CEFRレベルの目安
- C1(上級): 法律的で専門的な用語のため、上級レベルに位置づけられます。
2. 語構成と詳細な意味
語構成
- 「tort」自体は短い単語で、接頭語・接尾語が明確にくっついているわけではありません。
- 語幹: “tort” ← 元々はラテン語の torquere(「ねじる、歪める」の意)に由来。
関連語・派生語
- tortious: 不法行為に関する、または不法行為性のある
- tortfeasor: 不法行為を行った人
- tort law: 不法行為法(民事上の損害賠償などを扱う法律分野)
よく使われるコロケーション(共起表現)10選
- tort liability(不法行為責任)
- intentional tort(故意による不法行為)
- negligent tort(過失による不法行為)
- tort claim(不法行為請求)
- tort law(不法行為法)
- tort damages(不法行為による損害賠償)
- strict liability tort(厳格責任の不法行為)
- unintentional tort(故意でない不法行為)
- tort reform(不法行為法改革)
- tortfeasor’s liability(不法行為者の責任)
3. 語源とニュアンス
語源
- 「tort」はフランス語の tort(「不正」や「誤り」)と、ラテン語の torquere(「ねじる、歪める」)に由来します。
- 歴史的に、「ひねる」「曲げる」→「正しい状態を曲げる」→「違法行為・不正」という意味へ発展しました。
ニュアンス
- 主に法律文書や法廷、法学の分野で使われる専門用語です。
- カジュアルな会話というより、フォーマルかつ専門的な状況で用いられます。
- 感情的な響きというよりは、厳密な法律用語としての重みがあります。
4. 文法的な特徴と構文
- 可算名詞:
a tort
/several torts
- 使用場面: 法律の議論や、裁判に関する文書および会話で使われるフォーマルな用語です。
一般的な構文例
- [主語 + 動詞 + “tort” + 目的語/補足説明]
- 例: He was accused of committing a tort against his neighbor.
- 例: He was accused of committing a tort against his neighbor.
- [“tort” + 修飾語 + be 動詞 + 〜]
- 例: A tort involving negligence can lead to serious damages.
イディオムや定型フレーズ
- 「commit a tort」(不法行為を犯す)
- 「sue (someone) in tort」(不法行為を根拠として訴える)
5. 実例と例文
日常会話(やや専門的な雑談の場合)
- “I heard he’s studying tort law at university.”
- 「彼、大学で不法行為法を勉強しているらしいよ。」
- “Did you know that trespassing on someone’s property can be considered a tort?”
- 「他人の土地に不法侵入することは不法行為になるって知ってた?」
- “He wants to become a lawyer specializing in tort cases.”
- 「彼は不法行為に関するケースを専門とする弁護士になりたいんだって。」
ビジネスシーン
- “Our company has been sued for tort damages by a former client.”
- 「我が社は元顧客から不法行為に基づく損害賠償で訴えられました。」
- “We need to review any potential tort risks in our contract.”
- 「契約で起こりうる不法行為上のリスクを確認する必要があります。」
- “Tort liability insurance is crucial for preventing costly lawsuits.”
- 「高額な訴訟を避けるためには、不法行為責任に関する保険が不可欠です。」
学術的な文脈
- “The concept of tort in common law jurisdiction differs slightly from civil law.”
- 「コモンロー法域における不法行為の概念は、シビルロー法域とは若干異なります。」
- “In her paper, she analyzes the evolution of tort liability over the past century.”
- 「彼女の論文では、過去100年における不法行為責任の発展が分析されています。」
- “A comprehensive study of tort law involves multiple branches, including negligence and strict liability.”
- 「不法行為法の包括的な研究には、過失責任や厳格責任など複数の分野が含まれます。」
6. 類義語・反意語と比較
類義語
- wrongdoing (不正行為): 法的要素に限らず、道義的な「悪い行為」を広く指す。
- civil wrong (民事上の不正): “tort” とほぼ同義だが、一般的な表現。
- liability (責任): 行為そのものではなく、その行為に基づく責任を指す。または責任全体を指す。
反意語
- 単語としての明確な「反意語」はありませんが、あえて挙げるとすれば “lawful act(合法的な行為)” や “compliance(法令順守)” などが対極にある概念となります。
7. 発音とアクセントの特徴
- IPA: /tɔːrt/ (イギリス英語), /tɔrt/ (アメリカ英語)
- アクセント位置: 単音節語なので明確なアクセントの移動はありません。
- よくある間違い:
- “tort” を “taught” (/tɔːt/) と混同してしまう人がいますが、末尾に /r/ が含まれる米英発音に着目すると区別しやすいです。また、スペルが似ている “torte” (ケーキの一種) と間違えないように注意が必要です。
8. 学習上の注意点・よくある間違い
- スペルミスで “torte” と混同しやすい。 “torte” は菓子(ケーキ)の一種を指します。
- 一般英語の学習者の範囲を超えた法律専門用語なので、TOEICや英検といった英語試験にはほとんど出題されませんが、法律英語を学ぶ際には重要なキーワードです。
- “tort” を形容詞で使えない点に注意。形容詞形は “tortious” となり、綴りが大きく変わります。
9. 記憶に残るヒントやイメージ
- 「ねじれた行為 (“twist”) は法律上でも問題になる」というイメージで覚えると良いかもしれません。
- スペリングは “t-o-r-t” の4文字。語源が “twist” に近いというストーリーを関連づけておくと、混同を防ぎやすいです。
- 学習の際に法的実例に触れ、「過失による不法行為」「故意による不法行為」と具体的にイメージすると覚えやすくなります。
以上が “tort” の詳細解説です。日常会話よりも法律の文脈で使われる専門的な単語ですが、法学を学ぶ方や法律に関連するお仕事をする方には必須の用語です。
意味のイメージ
意味(1)
《法》(契約不履行を除く)不法行為(民事裁判にかけ補償請求ができる)