副詞 “overall” の徹底解説

1. 基本情報と概要

英語: overall

日本語: 全体的に、概して、総合すると

品詞: 副詞 (adverb)

「overall」は、「ある事柄や状況を総合的に見たうえで」というニュアンスを表す副詞です。たとえば「全体的に見て良い結果だった」「概して成功と言える」といった意味合いで使われます。

• 活用形: 副詞のため、特段の活用形（変化形）はありません。
  


• 他の品詞形
  
  
  
  • 形容詞: “overall” (例: “the overall cost” = 「全体の費用」)
    
  
  
  • 名詞: “overalls” (サロペットのような作業着、衣類。複数形が一般的)
    
  
  

CEFRレベル目安: B2（中上級）

（B2: 日常的にも学習にもわりと高度な英語が使えるレベル）

2. 語構成と詳細な意味

語構成

• over-: 「上に」「越えて」「全体にわたって」などを表す接頭語。
  


• all: 「すべて」「全体」。
  

これらが組み合わさって、“overall” は「すべてを上から眺めて」という感覚になり、「全体的に」「総合して」という意味合いを持っています。

関連する派生語・類縁語

• overalls (名詞): 作業用のつなぎなどを指す衣類。
  


• overall (形容詞): 「全体の」「総合的な」。

よく使われるコロケーション（共起表現）10選

1. overall impression（全体的な印象）
   


2. overall performance（全体の成績・性能）
   


3. overall rating（総合評価）
   


4. overall effect（全体的な効果）
   


5. overall average（全体平均）
   


6. overall progress（全体的な進捗）
   


7. overall impact（全体的な影響）
   


8. overall view（全体像）
   


9. overall approach（全体的なアプローチ）
   


10. overall goal（全体目標）

3. 語源とニュアンス

• 語源: 「over + all」から成り立ち、古くは「above all（何よりもまず）」「covering all（すべてを網羅して）」という意味合いで使われてきました。
  


• ニュアンス:
  
  
  
  • 何かを総括して「大まかに言うと」「総合すると」とまとめるときによく使われます。
    
  
  
  • カジュアルからフォーマルまで、文章・会話の両方で幅広く使用可能です。
  
  

4. 文法的な特徴と構文

• 副詞としての位置: 文章の先頭あるいは文末で文全体を修飾し、まとめの意味を持たせることが多いです。
  
  
  
  • 例: “Overall, the presentation went well.”（全体的に見て、プレゼンはうまくいった。）
    
  
  


• 形容詞としての使い方: “the overall cost”（全体費用）、“the overall result”（総合結果）。
  


• 名詞としての使い方: “overalls”（主に複数形で、サロペットや作業着を指す）。
  


• 使用シーン: 結論を導く・まとめる際に使われることが多い。

5. 実例と例文

ここではより自然なニュアンスで、日常会話・ビジネス・学術的な文脈それぞれに3つずつ例文を示します。

日常会話

1. “Overall, I had a great time at the party.”
   
   （全体的に見て、パーティーはとても楽しかったよ。）




2. “The movie was slow, but overall I enjoyed it.”
   
   （映画はテンポが遅かったけど、総合すると楽しかった。）




3. “Overall, the weather was nice during our trip.”
   
   （旅行の間、全体的には天気が良かったよ。）

ビジネス

1. “Overall, our sales figures indicate steady growth this quarter.”
   
   （全体として、今期の売上は着実に伸びていることがわかります。）




2. “Overall, the project was successful, but we need to improve communication.”
   
   （総合すると、プロジェクトは成功だったが、コミュニケーションに課題がある。）




3. “We should consider the overall budget before making a final decision.”
   
   （最終決定を下す前に、全体予算を考慮するべきです。）

学術的な文脈

1. “Overall, the data suggests a positive correlation between exercise and mental health.”
   
   （概して、データは運動とメンタルヘルスの間に正の相関があることを示唆している。）




2. “The study shows some limitations, but overall it contributes valuable insights.”
   
   （研究にはいくつか制限があるが、総合的に見れば価値ある示唆をもたらしている。）




3. “Overall, researchers agree on the importance of addressing climate change swiftly.”
   
   （概して、研究者たちは気候変動に迅速に対処する必要性を認めている。）

6. 類義語・反意語と比較

類義語

1. generally（一般的に）
   
   
   
   • より「大まかに」という感じ。
     
   
   


2. on the whole（全体としては）
   
   
   
   • 「全体としてみれば」というニュアンスが強い。
     
   
   


3. in general（概して）
   
   
   
   • 幅広く「全体的に言えば」というときに使う。
     
   
   


4. by and large（だいたいは）
   
   
   
   • やや口語的で砕けた表現。
     
   
   

これらはいずれも「大まかにまとめる」ニュアンスだが、“overall”は結論をまとめるときや最終評価をするときに使われることが多い。

反意語

• specifically（具体的には）
  


• individually（個々に）
  

「general（総合）」と「specific（特定）」の対比として考えるとわかりやすいです。

7. 発音とアクセントの特徴

• IPA（イギリス英語）: /ˌəʊ.vərˈɔːl/
  


• IPA（アメリカ英語）: /ˌoʊ.vɚˈɔːl/
  

それぞれ語末の “-all” 部分にストレス（強勢）がきます。

• イギリス英語は “əʊ” （オウ）という発音で始まり、最後は “ɔːl”（オール）に近い。
  


• アメリカ英語は “oʊ” （オウ）で始まり、“ɔːl” はやや “オー(ル)” と発音。
  

よくある間違いとして「オーバーオール」など、まるで「over」「all」という2語に分けて強く読んでしまうことがありますが、一語の単語として発音やリズムを捉えるとスムーズです。

8. 学習上の注意点・よくある間違い

1. スペルミス
   
   
   
   • “overal” や “over all” と分割して書いてしまうことがあるので注意しましょう。
     
   
   


2. “overall” (副詞・形容詞) と “overalls” (名詞) の混同
   
   
   
   • “overalls” は衣服のサロペットなどを指すため、文脈とつづりに注意が必要です。
     
   
   


3. TOEICや英検などの試験対策
   
   
   
   • 意見や要約を求められる問題の結論部分で “Overall, I believe...” などと書くと、適切に要旨をまとめる表現として評価されることが多いです。
     
   
   

9. 記憶に残るヒントやイメージ

• 「上から（over）全体（all）を見下ろして要約する」イメージで覚えると理解しやすいです。
  


• 会話や文章の最後でまとめるときに「Over all the details, here’s the conclusion」という感覚で使う、とイメージしてみましょう。
  


• スペリングが “overall” であること、強勢が最後にあることをセットで覚えると、間違いにくくなります。

以上が副詞“overall”の詳細解説です。日常会話からビジネス、学術的な文章まで幅広いシーンで使えますので、ぜひ上手に活用してみてください。