abandon

1. 基本情報と概要

英語表記: abandon

品詞: 動詞 (他動詞)

英語での意味

• to leave completely and finally; to desert (完全に、あるいは最終的に見捨てること)

日本語での意味

• 見捨てる、放棄する、置き去りにする

「abandon」は、“何かを捨て去る”“あるいは、放置して去る”というニュアンスを持った単語です。人や場所、責任や計画などを完全に放棄したり、途中でやめたりするイメージを表します。

活用形

• 原形: abandon
  


• 三人称単数現在: abandons
  


• 現在分詞: abandoning
  


• 過去形: abandoned
  


• 過去分詞: abandoned
  

他の品詞形

• 名詞形: abandonment (放棄すること、見捨てること)
  


• 形容詞形: abandoned (見捨てられた、放棄された／だらしない・自暴自棄の　等)

難易度 (CEFR レベルの目安)

• B2 (中上級): 一般的な会話をある程度スムーズにこなせるレベル。少し抽象的な表現や複雑な話題にも対応できるイメージ。

2. 語構成と詳細な意味

「abandon」は、元々は古フランス語の “abandoner” から来ており、これはフレーズ “a bandon” (中世フランス語で「自由裁量で」「意のままに」という意味) に由来します。したがって、もともと「自由の手に委ねる」「思うがままにゆだねる」といったニュアンスを持っていました。

よく使われるコロケーション（共起表現）や関連フレーズ（10個）

1. abandon a plan → 計画を放棄する
   


2. abandon a project → プロジェクトを中止する
   


3. abandon hope → 希望を捨てる
   


4. abandon ship → (船を) 放棄する／退船する
   


5. abandon a child → 子どもを見捨てる
   


6. abandon an attempt → 試みをやめる
   


7. abandon one’s responsibilities → 責任を放棄する
   


8. be forced to abandon → やむを得ず放棄する
   


9. abandon oneself to despair → 絶望に身を委ねる
   


10. abandon one’s post → 持ち場を捨てる、職場を放棄する

3. 語源とニュアンス

語源

• 古フランス語 “abandoner” → 中世フランス語 “a bandon” (意のままに) → 英語 “abandon”


• フランス語の “a” (…に) + “bandon” (権利、自由裁量)

ニュアンス

• 「どこかに置き去りにする」「完全に放り投げる」といったニュアンスが強く、感情的には「見捨てる」「諦める」というやや強い響きがあります。


• フォーマル/カジュアル問わず使われますが、「放置」や「断念」の度合いが強い分、使う際は「深刻な放棄」という印象を与える可能性があります（特にビジネスや責任問題において）。

4. 文法的な特徴と構文

1. 他動詞としての使い方

   
   
   • “abandon + 目的語” で「～を捨てる、放棄する」となる。目的語は人・場所・物事(計画、責任など) が多い。
     
     例: “He abandoned his dream.” (彼は夢を諦めた)
   
   



2. 「abandon oneself to + 名詞/感情」

   
   
   • 特定の感情や状況に「身を委ねる」「流される」ニュアンス。
     
     例: “She abandoned herself to grief.” (彼女は悲しみに打ちひしがれた)
   
   



3. 口語/文章での使い方

   
   
   • どちらでも使用されるが、少しフォーマルまたは強めの意味合いが出る。
   
   
   • 軽いカジュアル表現なら “leave alone” や “give up on” を使うことも多い。
   
   

5. 実例と例文

(1) 日常会話で使われる例文

1. “I can’t believe she abandoned the puppy on the street.”
   
   
   
   • 彼女が子犬を道に捨てたなんて信じられないよ。
     
   
   


2. “He decided to abandon his diet because it was too strict.”
   
   
   
   • 彼はダイエットがあまりに厳しすぎてやめることにしたんだ。
     
   
   


3. “We had to abandon our picnic because of the sudden rain.”
   
   
   
   • 急な雨のせいでピクニックを断念しなくちゃいけなかったよ。
     
   
   

(2) ビジネスで使われる例文

1. “Due to budget cuts, the company decided to abandon the new product launch.”
   
   
   
   • 予算削減のため、会社は新製品のローンチを断念した。
     
   
   


2. “The CEO warned that we cannot afford to abandon our core values.”
   
   
   
   • CEO は、私たちの基本理念を放棄するわけにはいかないと警告した。
     
   
   


3. “They abandoned the merger talks after failing to agree on key terms.”
   
   
   
   • 主要な条件で合意できず、彼らは合併交渉を断念した。
     
   
   

(3) 学術的な/フォーマルな文脈で使われる例文

1. “Researchers decided to abandon the experiment due to safety concerns.”
   
   
   
   • 安全上の懸念から、研究者たちは実験を中止することを決定した。
     
   
   


2. “The policy was abandoned when it failed to gain public support.”
   
   
   
   • 大衆の支持を得られず、その政策は放棄された。
     
   
   


3. “Historians argue that the king’s decision to abandon his alliance led to his downfall.”
   
   
   
   • 歴史学者たちは、王が同盟を放棄したことが彼の没落の原因になったと主張している。
     
   
   

6. 類義語・反意語と比較

類義語 (Synonyms)

1. leave (去る、離れる)
   
   
   
   • “abandon” よりも広く「去る」「残しておく」という意味を表範囲が広い。
     
   
   


2. desert (見捨てる)
   
   
   
   • “abandon” とほぼ同義だが、特に「義務を放棄して去る」イメージが強い。
     
   
   


3. forsake (見捨てる／見限る)
   
   
   
   • やや文語的で、宗教的・道徳的なニュアンスで「背く」という印象もある。
     
   
   


4. give up (諦める)
   
   
   
   • 一般的な「諦める」表現で、ほかにも「手放す」「降参する」感覚を含む。
     
   
   


5. relinquish (放棄する)
   
   
   
   • フォーマルで法的概念に近い「権利や所有を手放す」ニュアンス。
   
   

反意語 (Antonyms)

1. keep (維持する)
   
   
   
   • 「保持する」「続ける」の意味で、放棄の反対。
     
   
   


2. maintain (維持する、保つ)
   
   
   
   • 「主張し続ける」「続行する」を表すフォーマルな語。
     
   
   


3. continue (続ける)
   
   
   
   • 断念・やめるの反対にあたるもっとも一般的な語。
     
   
   

7. 発音とアクセントの特徴

• IPA(国際音声記号): /əˈbændən/
  


• アクセント: 「ban」の部分にアクセント（強勢）が来ます。
  


• アメリカ英語/イギリス英語:
  
  
  
  • アメリカ英語: əˈbændən
    
  
  
  • イギリス英語: əˈbændən
  
  

よくある発音の間違い

• 最初の「a」を強く発音しすぎたり、逆に「ban」にアクセントを置かないと通じにくいことがあります。

8. 学習上の注意点・よくある間違い

1. スペルミス
   
   
   
   • “abandone” と語尾に “e” を付けてしまう誤り。
     
   
   


2. 同音異義語との混同
   
   
   
   • 同音異義語はほとんどありませんが、発音が似た単語 “band on” などに引っ張られると誤解を招くかもしれません。
     
   
   


3. 使い所のニュアンス
   
   
   
   • 「完全に人・物事を見捨てる」という強い意味合いがあるため、使う場面に注意した方がいいです。軽い意味で使うのであれば “leave” や “give up” の方が自然な場合も。
     
   
   

試験対策での出題傾向

• TOEIC・英検などでは、ややレベルの高い語彙問題として出題される可能性があります。主に文脈上で「見捨てる」「放棄する」の意味を把握する問題で出ることが多いです。

9. 記憶に残るヒントやイメージ

• 視覚イメージ: 「誰かが自分の持ち物を置いて、その場から立ち去る」映像を頭に描くと覚えやすいです。
  


• 語源から: 「a bandon」＝「意のままに(する)」→「自由に放り出す」というイメージで覚えると理解が深まります。
  


• 勉強テク:
  
  
  
  • “abandon a plan” などの定型表現を何度も音読して、文章ごと覚える。
    
  
  
  • 自分のライフシーンに当てはめて、「もし自分が何かを諦めるときに思わず 'I’m going to abandon this project.' と言ってみる」など、感情と紐づけると定着しやすいです。
  
  

以上が動詞 “abandon” の詳細な解説です。人や物事、計画などを「見捨てる」「放棄する」というニュアンスで使用されるので、意図や文脈に合わせて使いこなしましょう。