名詞 “crisis” の詳細解説

1. 基本情報と概要

単語: crisis

品詞: 名詞 (countable noun)

CEFRレベル: B2（中上級）

• 英語の意味: A time of intense difficulty, danger, or turmoil.
  


• 日本語の意味: 危機、重大な局面、大変な困難や問題が起きている状態。
  

「何か大きな問題が起こって、すぐに対処しなければならない緊迫した状況」を表す言葉です。たとえば経済危機、政治危機、個人的な人生の危機など、幅広い分野で使われます。

活用形

• 単数形: crisis


• 複数形: crises (クライシーズ)

他の品詞形

• 形容詞形: critical (「緊急の」「重大な」などの意味になります)

2. 語構成と詳細な意味

“crisis” はギリシャ語の “krisis”（判断・分離の意）に由来します。

• 特に接頭語や接尾語がついていない形で、語幹 “cris-” に -is 語尾がついて名詞化された形です。

関連語や派生語

• critical (形容詞): 「重大な」「批評の」「批判的な」


• critic (名詞): 「批評家」


• criterion (名詞): 基準（語源的に同じく “krinein”「分ける、判断する」から派生）

よく使われるコロケーション（共起表現）10選

1. economic crisis
   
   （経済危機）
   


2. financial crisis
   
   （金融危機）
   


3. political crisis
   
   （政治危機）
   


4. health crisis
   
   （健康上の危機）
   


5. identity crisis
   
   （自分探しの危機/アイデンティティの危機）
   


6. crisis management
   
   （危機管理）
   


7. crisis situation
   
   （危機的状況）
   


8. crisis intervention
   
   （危機介入）
   


9. crisis communication
   
   （危機コミュニケーション）
   


10. energy crisis
    
    （エネルギー危機）

3. 語源とニュアンス

• 語源: ギリシャ語 “krisis” = 「判断」「分離」
  
  
  
  • 元々は「事柄を決断することが必要な局面」を表しました。
    
  
  


• 歴史的な使用: 医学・宗教・政治などで、「深刻な状態から善悪を分ける境目」に注目して使われてきました。
  


• 使用時の注意点:
  
  
  
  • 重大度を伴うニュアンスが強く、「問題が解決されない限り、非常に悪い結果を招く恐れがある」というニュアンスがあります。
    
  
  
  • 文章でも口語でも使われますが、特にニュースやフォーマルな文脈でよく見聞きします。
  
  

4. 文法的な特徴と構文

• 名詞・可算名詞 (countable): crisis → (複数) crises
  
  
  
  • “We are facing a serious crisis.”
    
  
  
  • “They have experienced multiple crises in the past year.”
    
  
  

イディオムや一般的な構文

• be in crisis: 「危機にある」
  
  例: “The company is in crisis due to poor management.”
  


• crisis point: 「危機点」、状況が深刻化する段階
  
  例: “Tension reached a crisis point.”

フォーマルな文章だけでなく、日常会話でも深刻な状態を伝えるときに用いられます。

5. 実例と例文

日常会話での例文（3つ）

1. “I’m going through a personal crisis right now, so I need some time alone.”
   
   （今、自分自身の危機を抱えていて、しばらく一人の時間が必要なんだ。）




2. “Our dog ran away yesterday, and it was a crisis for the whole family.”
   
   （昨日うちの犬が逃げちゃって、家族全員にとって大事件だったよ。）




3. “Having to move unexpectedly was a bit of a crisis, but we managed somehow.”
   
   （突然引っ越すことになってちょっとした危機だったけど、なんとか対処できたよ。）

ビジネスシーンでの例文（3つ）

1. “The leadership team must come up with a crisis management plan immediately.”
   
   （経営陣は、ただちに危機管理計画を策定しなければなりません。）




2. “If we don’t address the supply chain issues, we could face a major crisis.”
   
   （サプライチェーンの問題を解決しなければ、大きな危機に直面する可能性があります。）




3. “During the financial crisis, many companies were forced to downsize.”
   
   （金融危機の間、多くの企業が人員削減を余儀なくされました。）

学術的・専門的な文脈での例文（3つ）

1. “Researchers are studying the environmental crisis to propose sustainable solutions.”
   
   （研究者たちは持続可能な解決策を提案するため、環境危機を研究しています。）




2. “The study emphasizes the importance of crisis communication in public health emergencies.”
   
   （この研究は、公衆衛生上の緊急事態における危機コミュニケーションの重要性を強調しています。）




3. “Historical records show how political crises can lead to significant social changes.”
   
   （歴史的な記録によると、政治危機が大きな社会変化をもたらすことが分かっています。）

6. 類義語・反意語と比較

類義語

1. emergency（緊急事態）：

   
   
   • 「急を要する事態」を表す点で似ていますが、「crisis」はより長期的・重大な局面というニュアンスがあります。
   
   



2. predicament（苦境、窮地）：

   
   
   • 「困難な状況」で抜け出しにくいイメージがありますが、必ずしも「深刻」や「緊急」の要素を強調しません。
   
   



3. disaster（災害・大惨事）：

   
   
   • 惨事や被害に焦点がある語。自然災害など大きな悲劇が起きた際に使われ、「crisis」は必ずしも惨事を伴わない点でニュアンスが違います。
   
   

反意語

• 解決 (resolution)、安定 (stability) などが「危機の終結」や「安定した状態」を表す、広義の反対語です。

7. 発音とアクセントの特徴

• 発音記号 (IPA): /ˈkraɪ.sɪs/
  


• アクセント:
  
  
  
  • 第一音節 “cri-” に強勢。
    
  
  


• アメリカ英語とイギリス英語:
  
  
  
  • 基本的に同じ発音です。(ˈkraɪ-sɪs)
    
  
  


• よくある間違い:
  
  
  
  • “crisises” と複数形を誤ってつけてしまうことがあるので注意（正しくは “crises”）。
  
  

8. 学習上の注意点・よくある間違い

• スペルミス: “crisis” の最後が “-is” ではなく “-es” などと間違われがちです。
  


• 複数形の混乱: 単数 “crisis”・複数 “crises” を間違えやすい。
  


• TOEICや英検での出題: ニュース記事やビジネス文書などの文脈で、語彙問題や長文読解として登場する可能性が高いです。

9. 記憶に残るヒントやイメージ

• 語源を意識して覚える: 「判断しなければいけない緊急の時期」というイメージを持つ。
  


• スペリングのポイント: -sis で終わる名詞の複数形は -ses になることが多い（analysis → analyses, hypothesis → hypotheses など）。
  


• 興味があるニュースや記事で確認する: 政治や経済のニュースなどで頻繁に使われるので、そこで発見すると印象に残りやすいでしょう。

以上が、名詞 “crisis” の詳細解説です。深刻な局面や重大危機を表す重要な単語ですので、ぜひはっきりと使い方を押さえてください。