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by virtue of
解説
以下では「by virtue of」という表現について、できるだけ詳しく解説します。
1. 基本情報と概要
意味(英語・日本語)
- 英語: “by virtue of …”
- 日本語: 「…のおかげで」「…の理由で」「…によって」
「by virtue of」は、何かの理由や根拠を表す際によく使われる表現です。フォーマルな文脈で「…の資格で」「…の力で」といったニュアンスを持ち、書き言葉やビジネス、学術的な文章でよく見かけるイディオムです。
品詞・活用形
- 「by virtue of」は一つのまとまった「熟語表現(句)」として扱われ、文法的には前置詞相当の役割を果たします。
- 単語としては「by (前置詞)」「virtue (名詞)」「of (前置詞)」の組み合わせですが、慣用的に一塊で用いられます。
- 活用形(時制や複数形)はありませんが、「virtue」は単独で名詞(不可算)として使われる場合があります(例: “Virtue is its own reward.”)。
他品詞形
- 「virtue」単独としては名詞です。形容詞形や動詞形などはありません。
- 「virtuous」は「徳のある」「高潔な」という形容詞ですが、「by virtuous of…」のようにはなりませんので注意しましょう。
CEFRレベルの目安
- 「by virtue of」はややフォーマルで、アカデミックライティングなどで使われるため、B2(中上級)〜C1(上級)レベルに相当します。
2. 語構成と詳細な意味
接頭語・接尾語・語幹
- 「by」: 前置詞で「〜によって」「〜のそばに」といった意味。
- 「virtue」: ラテン語 “virtus” (「徳」「力」「価値」)に由来する名詞。
- 「of」: 前置詞で「〜の」や所属・原因・材料などを示す。
「by virtue of」は、直訳すると“徳(力, 価値)によって”ですが、実際には「…が理由で」「…という根拠で」と訳されます。
派生語や類縁語
- virtue (名詞): 徳、善行、長所
- virtuous (形容詞): 徳のある、品行方正な
- virtual (形容詞): 仮想の、事実上の(語源的に関連はあるが意味がやや異なる)
よく使われるコロケーションや関連フレーズ(10個)
- by virtue of your position
(あなたの地位/立場によって) - by virtue of hard work
(努力のおかげで) - by virtue of being first
(最初であることによって) - by virtue of a special license
(特別な免許によって) - by virtue of membership
(会員であることによって) - by virtue of authority
(権限によって) - by virtue of law
(法律上の理由で) - by virtue of evidence
(証拠によって) - by virtue of their achievements
(彼らの業績によって) - by virtue of circumstance
(状況によって)
3. 語源とニュアンス
語源
- 「virtue」はラテン語 “virtus”(「徳」「力」「勇気」など)から来ています。
- 中世英語を通じてフランス語から取り入れられ、“moral excellence”の意味が定着しました。
ニュアンス・使用時の注意点
- 「by virtue of」はフォーマルな場面や、正式な書き言葉で多用されます。
- カジュアルな会話では “because of” や “due to” が使われることが多いので、文体やトーンに応じて使い分けるとよいでしょう。
- 文章で用いると、少し堅い印象や専門的なニュアンスが強まります。
4. 文法的な特徴と構文
- 文中では「by virtue of + (名詞 / 動名詞 / 名詞句)」と繋げて使われることが多いです。
- 例: “He was promoted by virtue of his outstanding results.”
- 可算・不可算の区別は特に考える必要はありません(「virtue」はこの熟語表現において不可算扱いです)。
- フォーマルさを必要とする文書、ビジネス文、学術論文などでよく使われます。
5. 実例と例文
日常会話での例文(ややフォーマル寄り)
- “She got the scholarship by virtue of her excellent grades.”
(彼女は素晴らしい成績のおかげで奨学金を獲得しました。) - “By virtue of his experience abroad, he quickly adapted to the new environment.”
(海外経験のおかげで、彼は新しい環境にすぐに慣れました。) - “They entered the event by virtue of their special invitation.”
(特別招待状のおかげで、彼らはそのイベントに参加しました。)
ビジネスでの例文
- “The company expanded its market by virtue of strategic partnerships.”
(戦略的パートナーシップによって、その企業は市場を拡大しました。) - “By virtue of our long-standing relationship, we expect favorable terms.”
(長年の関係のおかげで、有利な条件を期待しています。) - “He secured the deal by virtue of his strong negotiation skills.”
(彼は優れた交渉力によって、その契約を獲得しました。)
学術的な文脈での例文
- “By virtue of rigorous testing, the hypothesis was eventually confirmed.”
(厳密なテストによって、その仮説は最終的に証明されました。) - “By virtue of advanced analytical methods, the researchers achieved more accurate results.”
(高度な分析手法のおかげで研究者たちはより正確な結果を得ました。) - “By virtue of interdisciplinary collaboration, the project achieved remarkable progress.”
(学際的な協力によって、そのプロジェクトは顕著な進展を遂げました。)
6. 類義語・反意語と比較
類義語
- because of …(…のために)
- due to …(…が原因で)
- owing to …(…が理由で)
- on account of …(…のおかげで)
- thanks to …(…のおかげで)
- これらはよりカジュアルな場面でも使えますが、「by virtue of」は特にフォーマル・文章的です。
反意語
- 明確な反意語はありませんが、意味的には “in spite of …” (…にもかかわらず)が対立的な使われ方をする場合があります。
7. 発音とアクセントの特徴
- 発音記号 (IPA):
- アメリカ英語: /baɪ ˈvɝː.tʃuː əv/
- イギリス英語: /baɪ ˈvɜː.tʃuː əv/
- アメリカ英語: /baɪ ˈvɝː.tʃuː əv/
- アクセントは「vír-tue」の「vír」にあります。
- 「of」は文中では [əv](アメリカ英語)や [ɒv](イギリス英語)など、速い会話では弱く発音されます。
- “virtue” は [ˈvɝːtʃuː] と [ˈvɜːtʃuː] の違いがアメリカ英語・イギリス英語で見られますが、どちらも長母音です。
8. 学習上の注意点・よくある間違い
- 「by virtue of」を「by virtues of」などと誤って複数形にしないようにしましょう。
- 「in virtue of」と書き間違えるケースもありますが、正しくは「by virtue of」です。
- TOEICや英検などの試験でも、原因・理由を表すフォーマルな熟語表現として選択肢に出てくる場合があります。
- 口語的には “because of” の方が自然です。試験で出る場合は文脈や文体から適切な表現を選ぶようにしましょう。
9. 記憶に残るヒントやイメージ
- 「virtue」は「徳」や「価値」「力」といった良いイメージの単語です。「by virtue of」は「(その)価値・力によって」という覚え方をするとわかりやすいです。
- 「by virtue of = because of」(フォーマルな言い方)とシンプルに対応づけて覚えておくと便利です。
- スペリングが「virtue(ヴィアーチュー)」と少し独特なので、間違えないように注意しましょう。
以上が「by virtue of」の解説です。フォーマルな場面で「…によって」「…のおかげで」という意味を伝えたいときに、ぜひ活用してみてください。
意味のイメージ
意味(1)
《かたく》(物・事)の理由で, ...のおかげで