trick
1. 基本情報と概要
英単語: trick
品詞: 動詞(他動詞)
- 英語での意味: to deceive someone, to make someone believe something that is not true
- 日本語での意味: (人を)だます、あざむく
「trick」は、人をだまして何かを信じさせたり行動させたりするというニュアンスを持つ動詞です。日常会話でも軽い冗談から、本格的な詐欺行為まで幅広いシーンで使われる単語ですが、だまされる側にとってはネガティブな響きがあります。
活用形(規則動詞):
- 原形: trick
- 三人称単数現在形: tricks
- 現在進行形: tricking
- 過去形: tricked
- 過去分詞形: tricked
他の品詞形:
- 名詞「trick」: 手品、計略、だましの手口など
- 形容詞「tricky」: やっかいな、難しい、だますような → “This puzzle is tricky.” など
CEFRレベル目安: B1(中級)
「trick」は基本的な単語ですが、日常会話や文章を読む際など、ある程度理解が求められる場面が出てくるため、B1(中級)レベルと考えられます。
2. 語構成と詳細な意味
語構成
- 語幹: trick
この単語は接頭語や接尾語が付いていないシンプルな形ですが、他の語から派生した形もあります(例:tricky など)。
関連や派生表現
- trickery (名詞): だましのテクニック、詐欺行為
- tricky (形容詞): だますような、扱いにくい
よく使われるコロケーションや関連フレーズ(10個)
- trick someone into doing something – (人)をだまして何かをさせる
- play a trick on someone – (人)にいたずらをする
- pull a trick – (だまして)ある行動を取らせる、策略を使う
- up to one’s old tricks – 昔の悪巧みを繰り返す
- trick question – ひっかけ質問
- trick or treat – ハロウィンの合言葉(「お菓子をくれなきゃいたずらするぞ」)
- do the trick – 目的を果たす、うまくいく
- try every trick in the book – あらゆる手段を使う
- a bag of tricks – いろいろな手段・作戦の集まり
- no trick at all – 全く難しくないこと、簡単にできること
3. 語源とニュアンス
語源:
「trick」は、中英語の「trik」や古フランス語の「tric」に由来するとされ、元々は「策略」や「計略」という意味を持っていました。歴史的にも、「人をだます行為」や「計略を使う行為」としてのイメージが強く残っています。
ニュアンス・使用時の注意点:
- 「trick」は比較的カジュアルにも使えますが、だます行為ということには変わりないので、冗談の範囲を超えるようなシーンで使うときは注意が必要です。
- 口語だと「fool」「con」といった同意語と並んで、「相手をだました」という強い意味合いを持つことが多いです。
一般的には口語でも文章でも使用されますが、「trick someone out of money」(人をだましてお金を奪う)など文脈によっては大変否定的な表現になります。
4. 文法的な特徴と構文
他動詞(transitive verb): 通常「trick + 人/対象」あるいは「trick + 人 + into + 動作」で用いられます。
- 例: “He tricked me.” / “He tricked me into believing his story.”
- 例: “He tricked me.” / “He tricked me into believing his story.”
イディオム・構文例:
- “trick someone into doing something” → (人)をだまして~させる
- “feel tricked” → だまされたと感じる
- “trick someone into doing something” → (人)をだまして~させる
フォーマル/カジュアル:
- カジュアル: “You tricked me!”(冗談や軽い文句)
- ビジネス文書などフォーマル: “He was tricked into signing the contract.”(契約をだまされて結ばされた)
- カジュアル: “You tricked me!”(冗談や軽い文句)
5. 実例と例文
(1) 日常会話での例文
- “She tricked me into going to the party by saying it was a small get-together.”
- 彼女は、「小さな集まりだよ」と言って、私をだましてパーティーに行かせました。
- 彼女は、「小さな集まりだよ」と言って、私をだましてパーティーに行かせました。
- “Don’t trick your little brother; he’s too young to understand jokes like that.”
- 弟をだますのはやめなよ。そういう冗談はまだ理解できないんだから。
- 弟をだますのはやめなよ。そういう冗談はまだ理解できないんだから。
- “I was tricked by his magic show for a moment; it looked so real!”
- 彼のマジックショーに一瞬だまされたよ。本物みたいだった!
(2) ビジネスシーンでの例文
- “The email was designed to trick employees into revealing their passwords.”
- そのメールは、従業員がパスワードを漏らすように仕組まれていました。
- そのメールは、従業員がパスワードを漏らすように仕組まれていました。
- “We must ensure nobody can trick us into signing unfavorable deals.”
- 不利な契約を結ばされないように注意しなければなりません。
- 不利な契約を結ばされないように注意しなければなりません。
- “He tricked the competitor into disclosing confidential data during negotiations.”
- 彼は交渉中に、競合相手をだまして機密情報を言わせることに成功しました。
(3) 学術的・専門的文脈での例文
- “The study examined how con artists trick others into financial scams.”
- その研究は、詐欺師がどのように他者をだまして金銭的詐欺にかけるかを調査しました。
- その研究は、詐欺師がどのように他者をだまして金銭的詐欺にかけるかを調査しました。
- “Researchers analyzed the linguistic patterns people use to trick others in online forums.”
- 研究者たちは、オンラインフォーラムで人をだますときに使用される言語パターンを分析しました。
- 研究者たちは、オンラインフォーラムで人をだますときに使用される言語パターンを分析しました。
- “Psychological experiments often reveal how easily we can be tricked by illusions.”
- 心理学の実験は、私たちがどれほど簡単に錯覚にだまされるかをしばしば示します。
6. 類義語・反意語と比較
類義語 (Synonyms)
- deceive(だます)
- “He deceived me into trusting him.” → “He tricked me into trusting him.” と同様な表現。
- “He deceived me into trusting him.” → “He tricked me into trusting him.” と同様な表現。
- fool(あざむく)
- “He fooled me with his story.” → 日常会話でよく使う。
- “He fooled me with his story.” → 日常会話でよく使う。
- con(詐欺でだます)
- ビジネス文脈や詐欺行為に近いニュアンスで用いられる。
- ビジネス文脈や詐欺行為に近いニュアンスで用いられる。
- mislead(誤解させる)
- 結果としてだます、誤った方向に導く。
- 結果としてだます、誤った方向に導く。
反意語 (Antonyms)
- be honest with(正直に接する)
- reveal(明らかにする、暴露する)
- clarify(明確にする)
「trick」は意図的にだますニュアンスが強いのに対し、反意語は真実を伝えたり正直に示すという意味があります。
7. 発音とアクセントの特徴
- 発音記号 (IPA): /trɪk/
- 基本的に、アメリカ英語でもイギリス英語でも同様の発音です。
- 「tr」の部分をはっきりと発音しないと「チック」と誤解されがちなので注意しましょう。
- アクセントは短い単語であり、特別に強調する部分は “trick” 全体にあります。音節が一つだけなので、音が短く切れやすい点に留意してください。
8. 学習上の注意点・よくある間違い
- スペルミス: “tric”や“track”などと間違えないように注意。
- 同音異義語との混同: “trick”と似た発音を持つ単語は少ないですが、“treat”との混同がハロウィンのフレーズ “trick or treat” で起こりやすいです。
- 試験対策: TOEICなどでは「trick someone into doing…」のように使役的な使い方の表現問題や読解問題で出題されることがあります。意味をしっかり把握しておきましょう。
9. 記憶に残るヒントやイメージ
- ハロウィンの合言葉「trick or treat」を思い出すと、だます(trick)かお菓子をもらう(treat)か、という文脈でイメージしやすいでしょう。
- 日本語の「トリックアート」も“trick”から来ていると考えると、見る人をだますようなアートというイメージが湧きやすいです。
- スペリングは短いので、一度覚えてしまえば間違えにくいですが、「トリック(trick)」を「トラック(truck/track)」や「チック(chick)」と書き間違えないように、最初の “tr” の後に必ず “i” が入ることを意識しましょう。
以上が、動詞「trick」の詳細な解説です。だますという本来の強い意味合いをよく理解しながら、日常会話や文章で使うときはそのニュアンスに気をつけてみてください。
〈人〉‘を'だます,欺く;〈人〉‘に'手品のトリックを仕掛ける