overshadow
動詞 “overshadow” の詳細解説
1. 基本情報と概要
英語: overshadow
日本語: ~を影で覆う、(比喩的に)~を見劣りさせる
「overshadow」は「何かの影になって、別の物を目立たなくする」「比べると、相手を見劣りさせる」というニュアンスの動詞です。たとえば大きな建物が隣の建物に影を落とす場合にも使えますが、比喩的に「彼の活躍で他のメンバーの功績がかすんでしまった」といった状況でもよく用いられます。
- 品詞: 動詞 (Transitive Verb: 他動詞)
活用形:
- 原形: overshadow
- 三人称単数現在形: overshadows
- 過去形/過去分詞形: overshadowed
- 現在分詞/動名詞形: overshadowing
関連する形容詞/名詞形など
- 形容詞としての直接の派生語はあまり一般的ではありませんが、現在分詞形 (“overshadowing”) が形容詞的に「目立たなくさせるような」という意味で使われることがあります。
CEFRレベル: B2(中上級)
→ ニュアンスを理解し、適切に使うには中上級レベルの語彙力が必要。
2. 語構成と詳細な意味
語構成
- over-: 「~を超えて、上に」という意味の接頭語
- shadow: 「影」という名詞
この2つが合わさって「影を上から落とす、相手を暗くする」というイメージが生まれています。そこから比喩的に「目立たなくさせる」「価値を薄れさせる」の意味へと発展しました。
よく使われるコロケーションと関連フレーズ(10個)
- overshadow one’s achievements
(~の業績を見劣りさせる) - overshadow the ceremony
(式典を影にする・台無しにする) - overshadow an event
(出来事をかき消す・霞ませる) - overshadow the competition
(競争相手をかすませる) - overshadow the entire discussion
(議論全体を見えなくする) - overshadow other issues
(他の問題をかき消す) - be overshadowed by tragedy
(悲劇によって色あせる) - overshadow one’s reputation
(評判をかき消す) - overshadow a relationship
(人間関係を衰退させる・かすませる) - overshadow one’s growth
(成長を阻む・見劣りさせる)
3. 語源とニュアンス
語源
中英語(Middle English)の “overshadowen” にさかのぼり、「影(shadow)を上から(over)落とす」という文字通りのイメージが元になっています。やがて転じて、比喩的に「ほかのものを目立たなくする、かすませる」という意味でも使われるようになりました。
ニュアンスと使用上の注意
- 微妙なニュアンス: 多くの場合、否定的な文脈で「せっかくの良いものをかき消す/台無しにする」ようなトーンで使われることが多いです。
- 使われるシーン: 書き言葉でも話し言葉でも、フォーマル/インフォーマルを問わず比較的幅広く使われます。ただし、ビジネス文書などでは「 overshadowed 」と受け身の形で「影響を受けている」という表現が非常によく見られます。
4. 文法的な特徴と構文
基本的に他動詞 (Transitive Verb): 後ろに目的語をとります。
例)He overshadowed his teammates.(彼はチームメイトを見劣りさせた)イディオム/構文例
- “be overshadowed by…”: ~によって影が薄まる/かすむ
- 例)Her victory was overshadowed by her rival’s scandal.
(彼女の勝利はライバルのスキャンダルによってかすんでしまった)
フォーマル/カジュアルの違い: カジュアルに会話で使うこともできますが、ややフォーマル寄りの文章中で使われると「深刻な影響を与える・重大な問題を引き起こす」の意味が強まる傾向があります。
5. 実例と例文
5-1. 日常会話での例文
- “The tall trees overshadow our backyard in the afternoon.”
(午後になると背の高い木がうちの裏庭に影を落とすんだ。) - “I didn’t mean to overshadow your birthday plans with my news.”
(わたしのニュースで、あなたの誕生日プランを台無しにするつもりはなかったんだ。) - “His excitement about the party overshadowed his worries about the test.”
(パーティーへのワクワク感が、彼のテストに対する不安をかすませた。)
5-2. ビジネスシーンでの例文
- “The success of our new campaign overshadowed the previous product launch.”
(新キャンペーンの成功が、前の製品発売の影を薄くしてしまった。) - “Her outstanding performance often overshadows her colleagues’ contributions.”
(彼女の素晴らしい業績は、しばしば同僚たちの貢献を見劣りさせてしまう。) - “The budget cuts overshadowed the positive outcomes the project had achieved.”
(予算削減が、そのプロジェクトが達成したポジティブな成果をかすませた。)
5-3. 学術的/専門的な文脈での例文
- “The technological improvements overshadow earlier studies on the subject.”
(その技術的進歩は、この分野の以前の研究を見劣りさせてしまう。) - “Debates over methodology often overshadow the core findings of the research.”
(研究手法をめぐる議論がしばしば研究の核心的発見をかき消してしまう。) - “These results could overshadow traditional theories, suggesting a paradigm shift.”
(これらの結果は従来の理論をかすませ、パラダイムシフトを示唆している可能性がある。)
6. 類義語・反意語と比較
類義語
- eclipse(~を食う、かすませる)
- (例)Her immense popularity eclipsed other contestants.
- 「overshadow」よりも“完全に覆う”イメージが強い。
- (例)Her immense popularity eclipsed other contestants.
- outshine(~より光り輝く、~をしのぐ)
- (例)He always tries to outshine everyone in the room.
- 「特に才能や能力が優れていて、周りをかすませる」というニュアンス。
- (例)He always tries to outshine everyone in the room.
- dominate(~を支配する/圧倒する)
- (例)Their star player dominated the game.
- 「力の優位性」を強調する言い方。
- (例)Their star player dominated the game.
- dwarf(小さく見せる、ちっぽけに見せる)
- (例)The skyscraper dwarfed all the other buildings.
- 「物理的にも比喩的にもサイズや規模で相手を小さく見せる」意味が強い。
- (例)The skyscraper dwarfed all the other buildings.
反意語
- highlight(~を強調する)
- illuminate(~を照らす/明らかにする)
- emphasize(~を強調する)
これらは「目立たなくする」とは反対に「目立たせる」という意味合いになります。
7. 発音とアクセントの特徴
発音記号 (IPA):
- アメリカ英語: /ˌoʊvərˈʃædoʊ/ (主なアクセントは “-shád-” の部分)
- イギリス英語: /ˌəʊvəˈʃædəʊ/
- アメリカ英語: /ˌoʊvərˈʃædoʊ/ (主なアクセントは “-shád-” の部分)
強勢 (アクセント): “-shád-” の部分に強勢がきます。
よくある発音の間違い: “shadow” の部分を「シャドウ」のように短く言わず、「シャドー」と伸ばす音にする人が多いですが、実際は “shad-oh” と切る感じです。
8. 学習上の注意点・よくある間違い
- スペルは
over
+shadow
で簡単そうですが、慣れていないと “overshado” と“w”を抜かしてしまったり、 “-shaddow” のように “d” を重ねてしまうミスが起こりやすいです。 - 同音異義語はありませんが、語感が似ている単語 (例えば “overflow” など) と混同しないようにしましょう。
- TOEIC や英検などでも、長めの文中で「本来の意味が目立たなくなる」や「台無しになる」などの文脈で出題される場合があります。派生的な意味を理解していないと文章全体の趣旨を誤解してしまう可能性があるので注意が必要です。
9. 記憶に残るヒントやイメージ
- 「over(上) + shadow(影)」という直感的なイメージを覚えると、すぐに「影をかぶせる → 目立たなくする」と理解できます。
- 「overshadow = 上から影を落として、自分が上に来る感じ」ととらえておくと記憶に定着しやすいでしょう。
- 勉強テクニックとして、似た形の単語(e.g., “overtake,” “overcome,” “overtax”)など、「over-」が先頭についた動詞と一緒にまとめて覚えると効率的です。
以上が動詞 “overshadow” の詳細な解説です。
「overshadow」は公式文書でも日常会話でも使われる便利な語ですので、「比べて見劣りさせる」ニュアンスをしっかりつかんで、ぜひ活用してください。
…‘を'見劣させる
…‘に'影を投げかける,‘を'暗くする