元となった辞書の項目
flat
解説
1. 基本情報と概要
単語: flat
品詞: 副詞 (adverb)
CEFRレベルの目安: B2(中上級)
英語での意味: “flat” as an adverb means “completely,” “absolutely,” or “in a direct, unmistakable manner.”
日本語での意味: 副詞としては「完全に」「きっぱりと」「一切容赦なく」などのニュアンスを持ちます。「余地を残さず断る」「完全に〜する」といった場面で使われる表現です。
例えば、He turned me down flat.
のように「彼は私をきっぱり断った」というニュアンスを表します。くどくど説明する余地もなく、はっきりした態度を示すイメージです。
単語の活用形
- 副詞なので、形そのものは変化しません(比較級・最上級の形 “more flatly / most flatly” にすることは極めて稀ですが、文献的には“flatly”という形容詞由来の副詞形も存在します)。
- 同じ語形 “flat” が形容詞(「平らな」「フラットな」「空気が抜けた」など)や名詞(特にイギリス英語で「アパート」の意味)としても用いられます。
他の品詞になったときの例
- 形容詞: “flat tire” (パンクしたタイヤ)、“flat surface” (平らな表面)
- 名詞: “I rented a flat in London.” (ロンドンでアパートを借りた。)
- 形容詞由来の副詞 “flatly”: “He flatly refused to apologize.” (彼はきっぱりと謝罪を拒んだ。)
2. 語構成と詳細な意味
語構成
- flat は語源で直接的な接頭語や接尾語がついた形ではありません。
- 元々は古英語 “flett” (床・平らな場所)等に由来するとされ、後に「平らな」「平たく」という意味から様々に派生してきました。
詳細な意味と関連語
- 完全に / きっぱりと / 容赦なく といった意味合いで、「折れずに、強い態度で」というニュアンスを帯びます。
よく使われるコロケーション(共起表現)10選
- turn (someone) down flat → (人を)きっぱりと断る
- refuse flat → きっぱり拒否する
- flat deny → 完全に否定する
- fail flat → 完全に失敗する
- land flat → 平らに着地する
- go flat out → 全力を尽くす(※“flat out”は慣用句的表現)
- drop flat → (話が)まったく受けずに失敗に終わる
- say flat → きっぱりと言う
- come flat → (ジョーク・話などが)全くウケない
- fall flat on (one’s face) → 顔から真っ逆さまに倒れ込む、または試みが完全に失敗する
3. 語源とニュアンス
- 語源: 古英語 “flett”(床、住居)から派生し、「平らな部分」「床」という意味が広がり、“flat” という形容詞・副詞の形で定着しました。
- 歴史的用法: 形容詞としての用法が主でしたが、強調の副詞表現として「きっぱりと、はっきりと」という使われ方が古くから見られます。
- ニュアンス:
- 簡潔かつ強い決意を示す言い方です。
- “He told me flat that he wouldn’t help.” のように、遠回しな表現ではなく、単刀直入にはっきり伝えるイメージがあります。
- 簡潔かつ強い決意を示す言い方です。
- 使用時の注意:
- カジュアルな場面でも使われますが、ネガティブに聞こえる可能性があるため、状況に応じて丁寧な言い方に切り替えることを考える必要があります。
- 書き言葉よりも口語・会話で見かけることが多いかもしれません。
- カジュアルな場面でも使われますが、ネガティブに聞こえる可能性があるため、状況に応じて丁寧な言い方に切り替えることを考える必要があります。
4. 文法的な特徴と構文
- 副詞としての使い方:
- 動詞を修飾し、「きっぱりと」「完全に〜する」というニュアンスを加えます。
- 例: “She turned me down flat.” / “He refused flat.”
- 動詞を修飾し、「きっぱりと」「完全に〜する」というニュアンスを加えます。
- イディオム:
- “fall flat” → (ジョークが)ウケない、(計画が)失敗する(副詞というよりも形容詞的な慣用表現にも近い)
- “flat out” → 全力で、思いきり
- “fall flat” → (ジョークが)ウケない、(計画が)失敗する(副詞というよりも形容詞的な慣用表現にも近い)
- フォーマル/カジュアル:
- “flat” はやや直接的な印象を与えるので、ビジネス書面のようなフォーマルな場面よりは会話やインフォーマルな文書で見られることが多いです。
- “flat” はやや直接的な印象を与えるので、ビジネス書面のようなフォーマルな場面よりは会話やインフォーマルな文書で見られることが多いです。
5. 実例と例文
それぞれの文脈別に、より自然な表現を取り上げます。
日常会話(カジュアル)
- “I asked him for help, but he turned me down flat.”
(手伝ってほしいと頼んだけど、彼はきっぱり断ったよ。) - “I told her flat that I wouldn’t be attending the party.”
(パーティーには行かないと彼女にきっぱり言った。) - “He flat refused to apologize for his rudeness.”
(彼は失礼を詫びることをきっぱり拒んだ。)
ビジネス
- “He admitted flat in the meeting that the project had failed.”
(彼は会議で、そのプロジェクトが失敗したことをはっきり認めました。) - “The client said flat that they wouldn’t extend the deadline.”
(クライアントは、締め切りを延ばさないとはっきり言い切りました。) - “We must inform the board flat about the risks involved.”
(取締役会にリスクを率直に伝える必要があります。)
学術的 / フォーマル寄り
- “He stated flat in his paper that the previous theory was flawed.”
(彼は自身の論文で、従来の理論に欠陥があるときっぱり述べました。) - “The data show flat that the hypothesis cannot hold true.”
(データは、その仮説が成り立たないことをはっきり示しています。) - “The study’s findings suggest flat that a new approach is required.”
(その研究結果は、新たなアプローチが必要だということを明確に示唆しています。)
6. 類義語・反意語と比較
類義語
- “absolutely” (絶対に)
- 「完全に」「間違いなく」という強い肯定のニュアンス。
- 例: “He absolutely refused to listen.”
- 「完全に」「間違いなく」という強い肯定のニュアンス。
- “categorically” (断固として)
- 「断定的に」「明確に否定する・肯定する」という硬いニュアンス。フォーマル文脈でよく用いられる。
- 例: “They categorically denied the allegations.”
- 「断定的に」「明確に否定する・肯定する」という硬いニュアンス。フォーマル文脈でよく用いられる。
- “totally” (完全に)
- 口語的に「全く」「完璧に」という意味。
- 例: “I totally agree with your opinion.”
- 口語的に「全く」「完璧に」という意味。
反意語
- “partially” (部分的に)
- 「一部においては同意する・認める」が含意されるため“flat”(完全に拒否、または完全に同意)とは正反対。
- 「一部においては同意する・認める」が含意されるため“flat”(完全に拒否、または完全に同意)とは正反対。
- “hesitantly” (ためらいがちに)
- 明確さを欠く態度を示すので、「きっぱりと」とは逆のスタンスを表す。
7. 発音とアクセントの特徴
- 発音記号 (IPA): /flæt/
- アクセント: 1音節なので特別なアクセント移動はありません。一拍で “flat” と強めに発音します。
- アメリカ英語とイギリス英語の違い:
- よくある誤り: “flat” と “plat” の混同や “flap” などとの混同に注意が必要です。「フラップ」にならないように “æ” の音を意識します。
8. 学習上の注意点・よくある間違い
- スペルミス: “flat” はシンプルですが、“flatt” のように “t” を重ねてしまう間違いがたまに見られます。
- 同音異義語との混同: “flat” と “flut” などは英語にはありませんが、聞き取りで似た響きの単語がないか注意。
- TOEICや英検での出題傾向:
- 一般的には形容詞としての “flat” が出やすいですが、副詞的用法も含めて「きっぱりと断る」などのフレーズで問われることがあります。
- イディオム “fall flat” が頻出のイディオム問題で登場する可能性があります。
- 一般的には形容詞としての “flat” が出やすいですが、副詞的用法も含めて「きっぱりと断る」などのフレーズで問われることがあります。
9. 記憶に残るヒントやイメージ
- 短くてインパクトある単語なので、発音 “フラット” と日本語の「フラット(平ら)」のイメージを関連付けて覚えるとよいでしょう。
- 「平らな=ごまかしのない、完全な」 という連想で、「余地をなくしてきっぱりと」という意識を持つと、意味を定着させやすくなります。
- 短い副詞ですが、口語で使うときのニュアンスは強め。きっぱり断る姿を思い浮かべてみましょう。
以上が副詞 “flat” の詳細解説です。短い単語ですが、「きっぱり断る」「はっきり言う」という場面でとても便利な表現です。ぜひ例文と併せて覚えてみてください。
意味のイメージ