以下では、副詞「nearly」の使い方・意味・歴史などについて、できるだけ詳しく解説していきます。

1. 基本情報と概要

英語での意味

• “nearly” = “almost,” “close to,” “not quite”

日本語での意味

• 「ほとんど」「ほぼ」「もう少しで」「危うく〜しそうになる」
  
  例：「ほとんど完成した」「もう少しで失敗しそうだった」というように、「あと少しで実現しそうだが、完全には至っていない」というニュアンスがあります。会話でも文章でもよく使われる副詞です。

品詞・活用形

• 品詞: 副詞 (adverb)


• 活用: 副詞のため、読み書きの形は “nearly” のみ。動詞のように時制変化はありません。

他の品詞との関連

• もともと “near”（形容詞/副詞/前置詞）から派生した副詞。
  
  
  • 例: 形容詞 “near” = 「近い」
    
    動詞 “nears” = “to come close to” (3人称単数形)
    
    副詞 “nearly” = 「ほとんど」
    
  
  

難易度（CEFRレベル）: B1（中級）

• 比較的よく使われる単語ですが、中級レベルの学習者が身につけ始めるとよい表現です。

2. 語構成と詳細な意味

語構成

• 語幹: “near”（「近い」の意味）


• 接尾語: “-ly”（副詞を作る接尾語）

派生語・類縁語

• near (形容詞・副詞・前置詞): 近い


• nearness (名詞): 近さ

よく使われるコロケーション（共起表現）10選

1. nearly finished — (ほとんど終わった)
   


2. nearly died — (危うく死にかけた / もう少しで死にそうだった)
   


3. nearly there — (もう少しで着く / あと少しで到達する)
   


4. nearly impossible — (ほとんど不可能)
   


5. nearly enough — (十分とは言えないがほとんどそうだ)
   


6. nearly the same — (ほとんど同じ)
   


7. nearly forgot — (ほとんど忘れかけていた)
   


8. nearly everyone — (ほとんどみんな)
   


9. nearly lost — (危うく失うところだった)
   


10. nearly all — (ほとんどすべて)

3. 語源とニュアンス

語源

• 「near」は古英語 “nēah,” “nēar” からきており、「より近く」という意味がありました。そこに “-ly” がついて、副詞として「ほとんど」「もう少しで」という意味を持つようになりました。

ニュアンス・注意点

• “nearly” は「もう少しで起こる・発生する」ニュアンスを表すので、使うときは「結果にはまだ至っていない」ことを強調します。


• カジュアルからフォーマルまで幅広く使われる単語で、日常会話にもビジネス書類にも自然に登場します。

4. 文法的な特徴と構文

• 副詞として、動詞を修飾したり、形容詞を修飾したりします。文の中では主に動詞の前、または助動詞の後ろに置かれることが多いです。
  
  例: “I nearly missed the train.” (あと少しで電車に乗り遅れるところだった)




• フォーマル / カジュアル両方で使えるが、口語表現では “almost” と同じような感覚でよく耳にします。




• “nearly” は可算・不可算などの名詞に関する区別はありません。副詞なので、さまざまな構文で柔軟に活用できます。

5. 実例と例文

日常会話での例文（3文）

1. “I nearly dropped my phone in the water!”
   
   （あと少しで携帯を水の中に落とすところだったよ！）
   


2. “He nearly forgot to lock the door.”
   
   （彼はドアに鍵をかけるのをほとんど忘れるところだった。）
   


3. “We’re nearly there. Just another five minutes.”
   
   （もう少しで着くよ。あと5分くらい。）

ビジネスでの例文（3文）

1. “We’ve nearly completed the project ahead of schedule.”
   
   （予定より早くプロジェクトをほとんど終えました。）
   


2. “Our sales figures have nearly doubled compared to last year.”
   
   （売上高は昨年と比べてほぼ2倍になりました。）
   


3. “I nearly missed the deadline due to a sudden server issue.”
   
   （突然のサーバートラブルで期限に危うく遅れるところでした。）

学術的な文脈での例文（3文）

1. “The results of the experiment were nearly identical in both trials.”
   
   （その実験結果は2つの試行でほとんど同じであった。）
   


2. “His hypothesis nearly explains all observed anomalies.”
   
   （彼の仮説は観測された逸脱をほぼすべて説明している。）
   


3. “We have nearly reached a consensus among all researchers involved.”
   
   （関係するすべての研究者間でほぼ合意に達しています。）

6. 類義語・反意語と比較

類義語（Synonyms）

1. almost （ほとんど）
   
   
   
   • “I almost missed the bus.” = “I nearly missed the bus.”
     
   
   
   • 違いはほとんどなく、ほぼ同意語として使えます。
     
   
   


2. practically （事実上、実質的に）
   
   
   
   • “I have practically no money left.” = 実質的にお金が残っていない。
     
   
   
   • “nearly” よりニュアンスが少し強めになることがあります。
     
   
   


3. virtually （ほぼ、事実上）
   
   
   
   • “The two products are virtually the same.”
     
   
   
   • 「コンピューター世界の仮想的に」という意味を持つことにも注意が必要。
     
   
   


4. about （およそ）
   
   
   
   • “There are about ten people in the room.”
     
   
   
   • 数量を示すときによく使われますが、行為や状況に「危うく～しそう」というニュアンスはありません。
     
   
   

反意語（Antonyms）

• completely （完全に）
  


• exactly （正確に）
  
  
  
  • “I nearly finished it.” ↔ “I completely finished it.”
    
  
  
  • “nearly” は不完全さを含むが、”completely” は完了、”exactly” は誤差がないことを示す。
  
  

7. 発音とアクセントの特徴

発音記号 (IPA)

• アメリカ英語: /ˈnɪr.li/
  


• イギリス英語: /ˈnɪə.li/

アクセント

• “NEAR-ly” というように、第一音節 “near” に強勢があります。

よくある発音の間違い

• “nearly” を “nerly” のように短く発音してしまうことがあります。/r/ の音を明確に、2音節で発音しましょう。

8. 学習上の注意点・よくある間違い

• スペルミス: “n e a r l y” と綴る。または “nearby” と混同しないよう注意。（“nearby” は「近くの・近所に」という別の単語）


• “almost” と同じ意味で使えることが多いが、正式な試験や英作文で、状況に応じてどちらが自然か判断する練習が必要。


• TOEICや英検などでは、「数量の概算」や「もう少しで～する」という意味を問う問題で “nearly” が出題されることがあります。

9. 記憶に残るヒントやイメージ

• “nearly” = “near” + “-ly” で「近くの状態」＝「ほとんど」のイメージ。
  


• 「近い(near)」けれど最終達成にはもう一息のニュアンスを覚えておくと、使い方が分かりやすくなります。
  


• 危機一髪、あと少しで実現する状況をイメージすると使い忘れが減ります。

「nearly」は、初級から中級にかけてよく登場する副詞でありながら、近い意味を持つ「almost」と使い分けると語彙力が一段と上がります。あともう少しで何かが起きる、という独特のニュアンスをしっかりとマスターして使ってみましょう。