元となった辞書の項目
enough
解説
1. 基本情報と概要
単語: enough
品詞: 代名詞(pronoun)として使われる場合がありますが、形容詞(adjective)、副詞(adverb)、限定詞(determiner)としても使用されます。
CEFRレベル目安: B1(中級)
- 日常会話でもよく出てくるため、中級レベルの学習者が理解・使用を目指す単語です。
意味(英語・日本語)
- 英語: “as many or as much as required,” “sufficient”
- 日本語: 「必要なだけ」「十分な量・程度」
「必要な量や程度に足りている、というニュアンスで使われます。相手が十分持っているかどうかを聞くときや、自分にとってちょうど足りていると言うときに便利な単語です。」
活用形
- 原形: enough
- 代名詞としては変化しません。
- 形容詞、副詞、限定詞としても形は変わりません。
- 代名詞としては変化しません。
他の品詞での例
- 形容詞 (adjective): “We have enough food for everyone.”
- 副詞 (adverb): “He didn’t run fast enough to win the race.”
- 限定詞 (determiner): “Enough people have signed up, so the class will start.”
2. 語構成と詳細な意味
「enough」は、大きく分けて「必要なだけ」「足りるだけ」という意味を含んでいます。直接的な接頭語や接尾語は持たず、古英語起源の語幹を保っている単語です。
関連語・派生語
- enoughness (名詞・やや稀) : “十分さ”,ただし日常的にはあまり使われない。
よく使われるコロケーション(共起表現)10選
- enough time(十分な時間)
- enough money(十分なお金)
- enough sleep(十分な睡眠)
- enough to eat(食べるのに十分)
- enough space(十分なスペース)
- have enough(十分に持っている)
- more than enough(十分すぎるほど)
- just enough(ちょうど十分)
- fair enough(なるほど・わかった、納得できる)
- enough said(もうこれ以上言わなくていい)
3. 語源とニュアンス
語源
- 古英語「genog」または「genoh」が語源で、「十分な量」を表す意味が古くから一貫しています。
ニュアンス
- “Enough”は肯定的なイメージで、何かが「必要最小限以上ある」という安心感を与えます。
- 稀に、「うんざり」というニュアンスでも用いられます(“Enough!” と一言だけで「もうたくさん!」という用法)。
使用シーン
- フォーマル・カジュアルどちらでも使われますが、
- 「Enough is enough!」(もう十分!)などはややカジュアル、感情的な表現です。
- ビジネス文書などでは「We have enough data to proceed.」(次へ進むのに十分なデータがあります)のようにややフォーマルにも使えます。
- 「Enough is enough!」(もう十分!)などはややカジュアル、感情的な表現です。
4. 文法的な特徴と構文
代名詞用法
- “Enough”単独で「必要量」を指す場合。
- 例: “I’ve had enough.”(もう十分だ。)
- “Enough”単独で「必要量」を指す場合。
形容詞用法
- 名詞の前に置いて「必要な量の~」を修飾。
- 例: “We have enough chairs for 20 people.”
- 名詞の前に置いて「必要な量の~」を修飾。
副詞用法
- 形容詞や副詞を修飾して「十分に、足りるほどに」という意味。
- 例: “He isn’t tall enough to reach the shelf.”
- 形容詞や副詞を修飾して「十分に、足りるほどに」という意味。
限定詞用法
- 名詞を直接修飾しつつ、量を示す。「~人の(分の)/量の~」を示すとき。
- 例: “There isn’t enough water left in the bottle.”
- 名詞を直接修飾しつつ、量を示す。「~人の(分の)/量の~」を示すとき。
文法上の要点
- 代名詞としての“enough”は可算・不可算どちらの名詞もまとめて指すことができます。
- 例: “I don’t need more sugar. I have enough.”(不可算名詞)
- 例: “I don’t need more chairs. I have enough.”(可算名詞)
- 例: “I don’t need more sugar. I have enough.”(不可算名詞)
5. 実例と例文
ここでは、日常会話・ビジネス・学術的な文脈でそれぞれ3つずつ例文を示します。
(1) 日常会話
- “That’s enough for me, thanks!”
- 「もう十分だから、ありがとう!」
- “I’ve eaten enough; I’m totally full.”
- 「もう十分食べたよ。お腹いっぱい。」
- “Do we have enough seats for everyone?”
- 「みんな分の座席は足りてるかな?」
(2) ビジネス
- “We have enough budget to start the new project.”
- 「新規プロジェクトを始めるのに十分な予算があります。」
- 「新規プロジェクトを始めるのに十分な予算があります。」
- “Is there enough time to finalize the documents?”
- 「書類を最終確定するのに十分な時間はありますか?」
- 「書類を最終確定するのに十分な時間はありますか?」
- “I don’t think we have enough resources to handle this task.”
- 「このタスクを処理するのに十分なリソースはないと思います。」
(3) 学術的な文脈
- “The sample size is large enough to yield statistically significant results.”
- 「サンプルサイズは統計的に有意な結果が得られるほど十分大きいです。」
- 「サンプルサイズは統計的に有意な結果が得られるほど十分大きいです。」
- “Make sure you have enough evidence to support your hypothesis.”
- 「仮説を裏付けるのに十分な証拠を用意してください。」
- 「仮説を裏付けるのに十分な証拠を用意してください。」
- “It is essential to have enough background reading to understand the theory.”
- 「理論を理解するために十分な背景文献を読むことが重要です。」
6. 類義語・反意語と比較
類義語
- sufficient(十分な)
- ややフォーマル。書き言葉でよく使われる。
- ややフォーマル。書き言葉でよく使われる。
- adequate(適切な量の)
- 十分あるが、品質やレベルが「最低限」満たされているといったニュアンス。
- 十分あるが、品質やレベルが「最低限」満たされているといったニュアンス。
- plenty(有り余るほど)
- 「大量」「余裕がある」というニュアンス。よりカジュアル。
反意語
- insufficient(不十分な)
- inadequate(十分でない、不十分な)
- scarce(乏しい、十分でない)
“enough”は「必要量に対して十分」という意味を持つのに対し、これらの反意語は「必要量に達していない」というニュアンスを強調します。
7. 発音とアクセントの特徴
- 発音記号(IPA): /ɪˈnʌf/ または /əˈnʌf/
- アクセント位置: 第2音節 “-nough” にアクセントがきます(「イナッフ」)。
- アメリカ英語とイギリス英語の違い: 大きな違いはありませんが、イギリス英語では頭音がやや短め (/ɪ/) で、アメリカ英語ではもっと曖昧母音 (/ə/) に近い発音になる場合があります。
- よくある間違い: 「enuff」のように綴られてしまったり、「enou*g*」とgの音を強調してしまう人がいますが、正しくは “-nuff” と発音します。
8. 学習上の注意点・よくある間違い
- スペルのミス: “enough”は“en*ou*gh”の部分で間違えやすいです。
- 発音の混同: “g”が聞こえそうで聞こえないため “-nuff”と意識して発音するのがコツ。
- 同音異義語との混同: 似た綴りや音をもつ単語はあまりありませんが、 “though” /ðəʊ/ (発音が異なる) などと混同に注意。
- 試験対策での出題: TOEICや英検などでは「~ enough to V(Vするのに十分~)」構文や「enough + 不可算/可算名詞」の文法知識を問う問題がよく出ます。
9. 記憶に残るヒントやイメージ
- 語頭“en-”+ 語尾“-ough”: 「“en ~ enough”で始まり、後半が“~ough”で終わるからスペルに注意!」と覚える。
- 口に出すときには「イナッフ」と2拍で押し出すように発音すると、自然に身につきます。
- 「必要が満たされる状態」をイメージして「コップに水をそそぎ、ちょうどいっぱいになったところ」で止まるイメージを思い浮かべると覚えやすいです。
以上が代名詞「enough」に関する詳細解説です。代名詞だけでなく、形容詞・副詞など多彩な用法があるため、例文とともにまとめて押さえておくと便利です。気になった使い方をぜひ声に出して練習してみてください。
意味のイメージ
意味(1)
十分な量(数),足りる量 / うんざりするほどの量