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more so
解説
以下では「more so」を、学習者の方にもわかりやすいように、9つの観点から詳しく解説します。
1. 基本情報と概要
英語: more so
日本語: 「さらにそうである」「(先に述べたことを)いっそう強調する」
品詞
慣用的に使われる副詞句 (adverbial phrase)として扱われます。
意味の概要
“more so” は、前に述べた内容をさらに強調するニュアンスを持っています。例えば「Aは素晴らしい、Bはmore so(なお一層そうだ)」というふうに使い、「よりいっそう」「さらにそうである」という感じを出します。
「相手が言ったことや前の文脈を踏まえて、『それは確かにそうだけれど、実はもっとそうなんだよ』という場面で使われます。」というイメージです。
活用形
フレーズなので、動詞のように活用変化はありません。文脈によって微妙に構造が変わることはありますが、基本は “more so” のままです。
他の品詞形
“more so” そのものが品詞転換するケースはありません。同じような強調表現として “even more so” や “all the more so” などのバリエーションがあります。
CEFRレベルの目安
- B2:中上級
理由:日常会話でも出てきますが、特に文章やフォーマルな会話で強調したいときに使われるため、中上級レベル以上で自然に使える表現です。
2. 語構成と詳細な意味
語構成
- more: 「より多く」「さらに」などを意味する比較級。
- so: 「そのように」「そう」といった意味を持つ副詞。
これらが一緒になって、前の文または発言を「さらにその通りだ」という意味合いで強調する表現になります。
関連表現や派生語
- even more so: さらに一層、もっとそうである
- all the more so: それだけいっそう、なおさら
- much more so: さらにずっとそう、いっそうそうである
- far more so: はるかにそうある
- none the more so: まったく(それ以上に)そうではない(打ち消しの強調として稀に使われる)
よく使われるコロケーション(共起表現)や関連フレーズ(10個)
- “even more so” – 「さらにそうだ」
- “all the more so” – 「なおさらそうだ」
- “much more so” – 「ずっとそうだ」
- “far more so” – 「ずっとそうだ/はるかにそうだ」
- “increasingly more so” – 「ますますそうだ」
- “all the more so for ~” – 「~だからこそ、なおさらそうだ」
- “perhaps more so” – 「おそらくさらにそうだ」
- “significantly more so” – 「顕著にそうだ」
- “likely more so” – 「おそらくさらにそうだ」
- “all the more reason to ~” – 「だからこそ、なおさら~する理由だ」
※最後は “more so” の形を直接含んではいませんが、似た「more」を含む強調表現としてよく使われます。
3. 語源とニュアンス
語源
- “more” は古英語 “máre” に由来し、比較を示す形。
- “so” は古英語 “swá” に由来し、「そのように」という意味。
これらを組み合わせて、強調として使われるようになりました。
ニュアンスや注意点
- 文脈依存: 前の文脈(先行する話題)があって初めて成り立つ表現です。単独でいきなり使うと意味が伝わりません。
- ややフォーマル寄り: 口語でも使われますが、文章や論文、ビジネスシーンでの信憑性を強調する際によく登場します。
- カジュアルにも使われるが、カジュアル会話では “even more” だけで済ませることも多いです。
4. 文法的な特徴と構文
一般的な構文
- “X is good, and Y is more so.”
- 例: “This restaurant is famous, but the one next door is more so.”
- 例: “This restaurant is famous, but the one next door is more so.”
- “X is true; all the more so given that Y.”
- 例: “This regulation is important; all the more so given the recent changes.”
フォーマル/カジュアル
- フォーマルでは「書き言葉やスピーチ」で論理展開を強調する際に有効。
- カジュアルでは「会話で既に述べたことをさらに強調するとき」に使われます。
可算・不可算、他動詞・自動詞などの文法上のポイント
- “more so” は副詞句なので、名詞の可算・不可算などの問題はありません。また動詞の他動詞・自動詞の区別とも直接結びつきません。
- 文全体の補足として使われ、前にある文意を受けて「より一層」をつけ加えるだけです。
5. 実例と例文
以下では、日常会話・ビジネス・学術的文脈でそれぞれ3つずつ、合計9つの例文を示します。
① 日常会話での例文
- “I like spicy food, and my sister does more so. She can handle any level of heat!”
(私は辛いものが好きだけど、妹はもっと好きなんだ。どんな辛さでも平気!) - “He’s friendly, but his brother is even more so.”
(彼は親しみやすいけど、彼の兄はさらに親しみやすいよ。) - “This park is beautiful in spring, and perhaps more so in autumn.”
(この公園は春もきれいだけど、秋はさらにきれいかもしれないね。)
② ビジネスシーンでの例文
- “Our new product is innovative, even more so than our previous model.”
(新製品は画期的で、前のモデルよりさらにすごいです。) - “We value teamwork, all the more so given our current challenging environment.”
(私たちはチームワークを重視しています。なおさら今の厳しい状況下では重要です。) - “This strategy is effective, and it becomes more so when combined with proper data analysis.”
(この戦略は効果的で、適切なデータ分析と組み合わせるとさらに効果的になります。)
③ 学術的な文脈での例文
- “Recent studies suggest that climate change is affecting coastal areas, and more so in regions with vulnerable ecosystems.”
(最近の研究によると、気候変動は沿岸地域に影響を及ぼしており、脆弱な生態系を持つ地域ではなお一層その影響が大きい。) - “The theory holds true in most cases, and is more so when external variables are controlled.”
(この理論は多くの場合で当てはまるが、外的変数が制御されるとさらに当てはまる。) - “Particle interactions are complex, even more so at the quantum level.”
(粒子の相互作用は複雑で、量子レベルではさらに複雑になる。)
6. 類義語・反意語と比較
類義語
- “even more”(さらにもっと)
- 例文: “I liked the original movie, but I liked the sequel even more.”(元の映画も好きだったけど、続編はさらに好き。)
- “more so” は「先に述べた性質を強調する」ニュアンスが強いのに対し、“even more” は単に「比較してより強い程度」を示します。
- 例文: “I liked the original movie, but I liked the sequel even more.”(元の映画も好きだったけど、続編はさらに好き。)
- “all the more”(なおさら)
- 例文: “Because he’s honest, I trust him all the more.”(彼は正直なので、なおさら信用している。)
- “all the more so” と非常に近い意味。言いかえで使われることがあります。
- 例文: “Because he’s honest, I trust him all the more.”(彼は正直なので、なおさら信用している。)
- “further”(さらに)
- 例文: “We need further proof to support our hypothesis.”(仮説を裏づけるさらなる証拠が必要だ。)
- 「あとに続くものを追加する」感覚で、前文を受けて使う “more so” とはやや異なる背景があります。
- 例文: “We need further proof to support our hypothesis.”(仮説を裏づけるさらなる証拠が必要だ。)
反意語
- はっきりした反意語はありませんが、強調を打ち消す意味合いの “less so” や “not as much” が状況によって反対のニュアンスとなります。
- 例文: “He’s excited about the project, but I’m less so.”(彼はそのプロジェクトにワクワクしているが、私はそこまでじゃない。)
7. 発音とアクセントの特徴
発音記号(IPA)
- more: /mɔːr/ (米) /mɔː/ (英)
- so: /soʊ/ (米) /səʊ/ (英)
ふたつ続けて発音するときは、
- (米) /mɔːr soʊ/
- (英) /mɔː səʊ/
のようになります。大きく強勢(アクセント)が移動することはなく、“more” と “so” をそれぞれはっきり発音するのが自然です。
よくある発音の間違い
- “more” の /r/ をしっかり発音するアメリカ英語に対し、イギリス英語の /mɔː/ はほとんど “モー” のように聞こえます。
- “so” はアメリカ英語で /soʊ/、イギリス英語では /səʊ/ と違いがある点に注意。
8. 学習上の注意点・よくある間違い
- スペルミス: “moreso” のように一語で書いてしまうのは誤りとされることが多いです。正しくは “more so” の2語。
- 前文脈がないと伝わらない: “more so” は必ず「前に述べている何か」を受けて使います。会話や文章の流れを意識して使いましょう。
- TOEIC・英検など: 多くの場合は別の強調表現(“even more” や “much more”)が出題されることが多いですが、高度な長文読解やエッセイなどで“more so”を見かけることがあります。
9. 記憶に残るヒントやイメージ
- “more so” = “前の内容をさらに上乗せ”とイメージする:まず使いたい形容詞や状態を述べ、それに「さらにそれを強める」感じです。
- 「さらにそうだ」フレーズ集として“even more so,” “all the more so” などをまとめて覚えると便利。
- スペルは必ず「more (スペース) so」。
- 文脈を忘れず、前の文や話題をあとで増幅させるために用いる、と理解しておくと自然に使えるようになります。
以上が「more so」の詳細な解説です。文脈のなかで「さらに」「いっそう強調したい」場面にうまく使いこなしてみてください。
意味のイメージ
意味(1)
ましてそうだ
意味(2)
《~ than》...よりももっと