元となった辞書の項目
by now
解説
1. 基本情報と概要
- 品詞: 連語(副詞句 / 慣用表現)
- 意味 (英語): “by now” means “already” or “at this point in time.”
意味 (日本語): 「もうすでに」「今の時点では」。
すでに何かが完了している、またはこの時点までに起こることを示す表現です。「今頃にはやっているはず」「今の時点ですでに…」というニュアンスで使われます。CEFR レベル: B1(中級)
比較的よく使われる日常的な表現なので、初級から中級レベルで覚えておくと便利です。
他の品詞形
- 「by」は前置詞、「now」は副詞ですが、セットで使われるときは一種の副詞句的な表現です。
- 「by」の他の使い方: 「by (動詞の ing 形)」で「~することで」、例: “By working hard, you can achieve your goals.”
- 「now」の他の使い方: 副詞として「今」「さあ」「さて」など。
2. 語構成と詳細な意味
- 接頭語: なし
- 接尾語: なし
- 語幹: 「by」「now」
“by” は「~のそばに」「~によって」「~までに」などの意味をもつ前置詞・副詞です。“now” は「今」「現在」を表す副詞。 - 関連性:
“by now” は、時間の経過や完了を強調する文脈で使われます。
よく使われるコロケーションや関連フレーズ(例と日本語訳)
- “By now, you should know…” –(今の時点では、あなたは知っているはずです…)
- “I thought we’d be finished by now.” –(もう終わっていると思っていた。)
- “It’s likely done by now.” –(今頃には終わっているでしょう。)
- “You must have realized by now…” –(今頃には気づいていなければいけません…)
- “By now, it’s clear that…” –(今の時点で、それは明らかです。)
- “I’m sure he’s left by now.” –(彼はもう出発しているはずです。)
- “The store should be open by now.” –(その店はもう開いているはずです。)
- “We probably missed the train by now.” –(たぶんもう電車に乗り遅れています。)
- “They might have reached a conclusion by now.” –(今頃には結論に至っているかもしれません。)
- “If not by now, then soon.” –(もし今でなければ、もうすぐそうなるでしょう。)
3. 語源とニュアンス
- 語源:
“by” は古英語の “bi, be” に由来し、接近や手段などを表す前置詞。 “now” は古英語の “nu” に由来し、時間的に「今」を表す語。 - 歴史的に:
“by now” という組み合わせの表現自体は英語の口語表現として長く使用され、手紙や会話などで「これまでには」「今やもう」などを強調するのに使われてきました。 - ニュアンス・使用時の注意:
特にカジュアルまたは日常会話でよく使われ、「もういい加減に~しているはずだ」という印象を持たせることもあります。書き言葉でも問題なく使えますが、フォーマルな文書では “already” や “at this point” などの別表現も検討される場合があります。
4. 文法的な特徴と構文
副詞句としての働き:
文頭、文中、文末など、比較的自由な位置で使われます。
例:- “By now, we’ve all realized the importance.”
- “We’ve all realized the importance by now.”
- “By now, we’ve all realized the importance.”
他動詞・自動詞の区別:
“by now” はあくまでも副詞句なので、動詞の他動・自動に関係なく修飾することができます。フォーマル/カジュアル:
どちらでも使えますが、砕けた日常会話からビジネスメールまで幅広く使用可能です。
5. 実例と例文
(1) 日常会話での例文
- “By now, I thought you’d be home.”
(もうあなたは家にいると思っていたよ。) - “You must be hungry by now.”
(もうお腹が空いているでしょう。) - “By now, everyone knows about the surprise party.”
(今の時点では、みんなサプライズパーティーを知っているよ。)
(2) ビジネスシーンでの例文
- “By now, our team should have finalized the proposal.”
(今の時点では、我々のチームは提案書を完成させているはずです。) - “I expect the shipment to have arrived by now.”
(もう発送品は届いていると思います。) - “By now, we’ve gathered enough data to make a decision.”
(今の段階で、意思決定に十分なデータを収集しました。)
(3) 学術的な文脈での例文
- “By now, considerable research has been conducted on this topic.”
(今までに、このテーマに関するかなりの研究が行われています。) - “Most scholars by now acknowledge this theory’s significance.”
(現時点では、多くの学者がこの理論の重要性を認めています。) - “By now, it is widely accepted that climate change affects biodiversity.”
(今では、気候変動が生物多様性に影響を与えることが広く受け入れられています。)
6. 類義語・反意語と比較
類義語
- already(すでに)
- “I have already finished the report.”
- “by now” と比べて、動作がやや早めに完了しているニュアンス。
- “I have already finished the report.”
- at this point(この時点で)
- より客観的で形式的に「現在の状況」を示す。
- より客観的で形式的に「現在の状況」を示す。
- so far(これまでのところ)
- まだ完了しきっていないが、ここまでの進捗であることを示すときに使う。
- まだ完了しきっていないが、ここまでの進捗であることを示すときに使う。
反意語
厳密な反意語はありませんが、もし時間の進行が全くないニュアンスを出したいなら “not yet” (まだ~していない)などが対照的になります。
7. 発音とアクセントの特徴
- 発音記号 (IPA):
- “by” /baɪ/
- “now” /naʊ/
- “by” /baɪ/
- アメリカ英語とイギリス英語の違い:
特筆すべき大きな違いはありません。両方とも [baɪ naʊ] という発音です。 - 強勢:
ふつうは “by” よりも “now” をやや強調する傾向があります。 - よくある発音ミス:
“by” を /bɪ/ と発音しないように注意。 “now” の語尾 /aʊ/ を曖昧にせず、はっきり下げ気味に発音するとよいです。
8. 学習上の注意点・よくある間違い
- スペルミス:
“by now” は二語なので、つなげて “bynow” と書かないように注意。 - “already”、“yet”、“still” などとの混同:
時制や文脈によっては “already” や “yet” などと機能が似るため、文脈を確かめることが重要。 - 試験対策:
TOEIC や英検でも文脈を問う問題で “by now” が選択肢として出る場合があり、「すでに~している」というニュアンスを理解しているかどうかをチェックされることがあります。
9. 記憶に残るヒントやイメージ
- 「by + 時間」=「~までには」というイメージ。そこに “now=現在” が合わさって「現在までには(すでに)」というイメージで覚えましょう。
- 「現在までにしっかり完了している!」という絵をイメージすると印象に残りやすいです。
- “already,” “yet,” “still” など「時間」を表す副詞を一緒にまとめて覚えると、比較しながら習得しやすくなります。
意味のイメージ
意味(1)
《推量》今ごろはもう
意味(2)
《過去形と共に》そのころにはもう