rather than

1. 基本情報と概要

単語（フレーズ）: rather than

品詞: 接続詞(conjunction)、前置詞句(prepositional phrase)として用いられることが多い

「rather than」は、「～よりもむしろ…、～ではなく…」という意味を表す表現です。たとえば、「AではなくBを選ぶ」というように、選択の対象を比較するときに使われます。日常会話でもビジネスでも、比較や選択のニュアンスを強調したいときによく登場するフレーズです。

• CEFRレベル: B2（中上級）
  
  中上級レベルの学習者が、選択や比較に関する少し複雑な内容を話す・書くときに使います。
  

「rather」は副詞、「than」は主に接続詞や前置詞としても使われますが、一緒に使うときは「～よりむしろ…」という接続詞的役割を果たすことが多いです。

活用形は厳密にはありませんが、動詞の前や名詞の前など、さまざまな位置で使われます。

（例）

• I decided to walk rather than drive.
  


• She chose tea rather than coffee.
  

他の品詞になったときの例

• rather (副詞): “It’s rather cold today.”（今日はかなり寒い）
  


• than (接続詞/前置詞): “I prefer this than that.” / “She arrived earlier than I did.”

2. 語構成と詳細な意味

「rather than」は、

• rather: 「むしろ」「かなり」「どちらかといえば」を意味する副詞
  


• than: 比較や対比を表す接続詞または前置詞
  

これが組み合わさって「AではなくBを選ぶ」、または「AよりもBを重視する」というニュアンスになります。

派生語や類縁語

• prefer A to B: BよりAを好む
  


• instead of: Aの代わりに
  

よく使われるコロケーションや関連フレーズ（10個）

1. would rather do … than do …
   
   
   
   • （…するよりも…する方がいい）
     
   
   


2. prefer … rather than …
   
   
   
   • （…よりも…の方を好む）
     
   
   


3. choose … rather than …
   
   
   
   • （…ではなく…を選ぶ）
     
   
   


4. focus on … rather than …
   
   
   
   • （…よりも…に焦点を当てる）
     
   
   


5. emphasize … rather than …
   
   
   
   • （…よりも…を強調する）
     
   
   


6. rely on … rather than …
   
   
   
   • （…よりも…を頼りにする）
     
   
   


7. be driven by … rather than …
   
   
   
   • （…よりも…によって突き動かされる）
     
   
   


8. think about … rather than …
   
   
   
   • （…よりも…について考える）
     
   
   


9. act on … rather than …
   
   
   
   • （…よりも…に従って行動する）
     
   
   


10. prioritize … rather than …
    
    
    
    • （…よりも…を優先する）
    
    

3. 語源とニュアンス

• 語源:
  
  
  
  • 「rather」は古英語の“hræther”(より速く、より早く)に由来し、そこから「好みに近い」「むしろ」という意味合いへと変化してきました。
    
  
  
  • 「than」は古英語の“Thanne”や“Thænne”に由来し、比較・対比の意味を発達させてきました。
    
  
  


• ニュアンス:
  
  
  
  • 「instead of」は「代替」の意味にフォーカスしますが、「rather than」は「より好ましい選択」「優先する選択」に重点があることが多いです。
    
  
  


• 注意点:
  
  
  
  • 「rather than」はややフォーマル寄りですが、日常会話でもよく使われます。口語でも文書でも問題なく使える便利な表現です。
  
  

4. 文法的な特徴と構文

1. 動詞の形:
   
   
   
   • 「rather than」の後に続く動詞は、しばしば原形（to不定詞を省略した形）や動名詞が用いられます。
     
   
   
   • 例) I prefer to walk rather than (to) drive. / I prefer walking rather than driving.
     
   
   


2. 名詞や形容詞にも使える:
   
   
   
   • 例) She bought a computer rather than a tablet.
     
   
   


3. 可算・不可算の区別:
   
   
   
   • 「rather than」自体は名詞ではないため可算・不可算はありませんが、後に続く名詞の場合は可算・不可算を意識する必要があります。
     
   
   


4. フォーマル/カジュアル:
   
   
   
   • 日常会話でもビジネスシーンでも使われるため、カジュアル・フォーマルどちらにも対応できます。
   
   

5. 実例と例文

日常会話での例文（3つ）

1. I’d rather hang out at home rather than go to the crowded mall.
   
   （混雑したショッピングモールに行くより、家で過ごす方がいいな。）




2. Let’s order pizza rather than cook tonight.
   
   （今夜は料理をするよりピザを頼もうよ。）




3. I’ll text you rather than call you. It’s quicker.
   
   （電話するよりメッセージを送るね。そのほうが早いし。）

ビジネスでの例文（3つ）

1. We should focus on quality rather than quantity in this project.
   
   （このプロジェクトでは、量よりも質に注力すべきです。）




2. They decided to invest in research rather than marketing.
   
   （彼らはマーケティングよりも研究に投資することを決めました。）




3. Let’s schedule a meeting rather than exchanging endless emails.
   
   （延々とメールのやり取りをするよりも、ミーティングを設定しましょう。）

学術的な文脈での例文（3つ）

1. The researchers sought to identify causes rather than merely describe symptoms.
   
   （研究者たちは単に症状を記述するのではなく、その原因の特定に努めました。）




2. The study emphasizes practical application rather than theoretical discussion.
   
   （その研究は理論的な議論よりも実践的な応用に重点を置いています。）




3. We should adopt a holistic approach rather than focusing on isolated factors.
   
   （単独の要因に集中するのではなく、総合的なアプローチを採用すべきでしょう。）

6. 類義語・反意語と比較

類義語

1. instead of（代わりに）：

   
   
   • 例) Let’s stay home instead of going out.
     
   
   
   • 「代替」の意味が強い。一方で「rather than」は「好み」のニュアンスがやや強い。
   
   



2. as opposed to（～とは対照的に）：

   
   
   • 例) She prefers working independently as opposed to in a group.
     
   
   
   • 比較や対照を強調する表現。
   
   



3. in preference to（～より優先して）：

   
   
   • 例) I’d choose an online course in preference to a face-to-face course.
     
   
   
   • よりフォーマルなニュアンスがある表現。
   
   

反意語

• 「rather than」の明確な反意語はありませんが、強いて言えば「in addition to（加えて）」や「as well as（～だけでなく）」のように「両方とも重視する」ニュアンスはちょうど対照的です。

7. 発音とアクセントの特徴

• IPA: /ˈrɑːðər ðən/ (アメリカ英語), /ˈrɑːðə ðən/ (イギリス英語)
  


• アクセント: 「rather」の「ra」に強勢があります。「than」は弱めに発音されます。
  


• アメリカ英語とイギリス英語の違い:
  
  
  
  • アメリカ英語では “r” の音がしっかり発音され、[ˈrɑːðər ðən] と「ラザー・ザン」に近い音です。
    
  
  
  • イギリス英語では “r” が弱め、母音がやや異なり、[ˈrɑːðə ðən] と「ラーザ・ザン」に近い音になります。
    
  
  


• よくある間違い:
  
  
  
  • “rather” を “reather” とつづってしまう。
    
  
  
  • “than” を “then” と間違えてしまう。
  
  

8. 学習上の注意点・よくある間違い

• スペルミス: 「rather」の“a”や「than」の“a”を“e”にしてしまうミス。
  


• 「than」と「then」の混同:
  
  
  
  • 「than」は比較を表す。
    
  
  
  • 「then」は「その時」「その後」を表す。
    
  
  


• TOEICや英検などで、比較・好みを表す表現を問う問題でよく出題されることがあります。
  


• 同じような意味の「instead of」と混同して使い方を誤ることがあるので注意。

9. 記憶に残るヒントやイメージ

• “I’d rather do A than do B”を「Aを選ぶ前に、Bは消去！」とイメージすると覚えやすいです。
  


• “rather” = “より好ましい気持ち”、「than」= “～ではなく”、というイメージを一緒に持つと、自然と使い方が身につきます。
  


• 「ラザーザン」と口に出して、語感を身体で覚えるのも効果的です。

「rather than」は「AではなくBを選ぶ」というニュアンスを表す、とても便利なフレーズです。ぜひ会話や文章で積極的に使ってみてください。