元となった辞書の項目
slave
解説
1. 基本情報と概要
単語: slave
品詞: 名詞 (可算名詞)
英語での意味:
- A person who is legally owned by someone else and forced to work without pay or personal rights.
日本語での意味:
- 「奴隷」という意味です。歴史的には、他者に所有され、自由を奪われた状態で労働を強いられる人を指します。とても重い意味をもつ単語なので、使う場面や文脈には注意が必要です。
活用形:
- 可算名詞なので、複数形は“slaves”です。形自体に活用変化はありません。
他の品詞形:
- enslave (動詞): 奴隷にする、束縛する
- enslaved (形容詞的): 奴隷状態にある、束縛された
- slavery (名詞): 奴隷制、奴隷状態
- slavish (形容詞): 奴隷のような、盲従的な
CEFRレベルの目安: B2(中上級)
- 歴史や社会問題を語るときに出てくるやや専門的な内容を含むため、B2程度になると理解しやすい単語です。
2. 語構成と詳細な意味
語構成:
- “slave”には目立った接頭辞・接尾辞はなく、単独で完成した語です。
他の単語との関連性(派生語や類縁語など):
- slavery: 奴隷制、奴隷状態
- enslave: 奴隷化する、束縛する
- slavish: 奴隷のような、卑屈な
よく使われるコロケーション(共起表現)や関連フレーズ(10個)
- “slave trade” – 奴隷貿易
- “slave labor” – 奴隷労働
- “slave owner” – 奴隷所有者
- “slave rebellion” – 奴隷反乱
- “set (someone) free from slavery” – (人)を奴隷状態から解放する
- “slave away (at something)” – (仕事などに)へとへとになるまで精を出す (比喩的表現)
- “be a slave to fashion” – 流行の奴隷になる(ファッションに縛られる)
- “treat someone like a slave” – (人)を奴隷のように扱う
- “break free from slavery” – 奴隷状態からの解放
- “slave system” – 主従システム(機械制御やコンピュータでのマスター・スレーブ方式を指す)
3. 語源とニュアンス
語源:
- 古フランス語の “esclave” や 中世ラテン語の “sclavus” に由来するとされます。もともとは “Slav(スラヴ人)” に由来した言葉とも言われ、歴史的にスラヴ人が大量に奴隷として売買されていたことが名前の由来と考えられています。
ニュアンスと使用時の注意点:
- “slave” は歴史的にも社会的にも非常に重たい意味合いをもつ単語です。特に人種差別や歴史上の悲惨な出来事を連想させるため、使う際には文脈への十分な配慮が必要です。
- フォーマル・カジュアルにかかわらず、肉体的・社会的な束縛や捕らわれの状態を強く示す言葉です。
使用シーン:
- 口語でも使われますが、口に出すときは特に周囲の感情に配慮する必要があります。歴史や文学、社会問題・公民権について論じる文脈ではよりフォーマルに使用されることが多いです。
- 比喩的に「~の奴隷になる(be a slave to~)」という表現も使われますが、本来の意味の重みもあるため、やはり使い方には注意が必要です。
4. 文法的な特徴と構文
- “slave” は 可算名詞 です。
- “slave” を使ったイディオムや構文:
- “to be a slave to something”: 「~のとりこ(奴隷)になる」
- “to slave away (at something)”: 「(仕事などに)必死に打ち込む」という比喩的表現
- “to be a slave to something”: 「~のとりこ(奴隷)になる」
フォーマル/カジュアル:
- 歴史的・学術的文脈であればフォーマルに使われます。
- 日常の比喩的使用(“I’m a slave to my smartphone.”)はカジュアルですが、ネガティブなイメージが強い言葉なので、使い方に配慮が必要です。
5. 実例と例文
(1) 日常会話での例文
- “I feel like a slave to my phone. I can’t stop checking it every minute.”
- いつもスマホをチェックしてしまって、スマホの奴隷になっている気がする。
- いつもスマホをチェックしてしまって、スマホの奴隷になっている気がする。
- “I’ve been slaving away in the kitchen all day!”
- 一日中台所でせっせと働いていたんだ!(大変な労働を比喩的に表現)
- 一日中台所でせっせと働いていたんだ!(大変な労働を比喩的に表現)
- “Don’t become a slave to other people’s opinions. Live your own life.”
- 他人の意見に振り回されないで。自分の人生を生きなよ。
(2) ビジネスシーンでの例文
- “He felt like a slave to his work, never taking a day off for months.”
- 彼は長い間休みをとらなかったので、仕事の奴隷になっているように感じていた。
- 彼は長い間休みをとらなかったので、仕事の奴隷になっているように感じていた。
- “We must ensure no one is treated like a slave under our corporate policies.”
- 企業の方針によって誰も奴隷のように扱われないようにしていかなければなりません。
- 企業の方針によって誰も奴隷のように扱われないようにしていかなければなりません。
- “The new law aims to protect undocumented workers from modern-day slavery.”
- 新しい法律は、不法就労者が現代の奴隷制のような状況に陥るのを防ぐことを目的としている。
(3) 学術的な文脈での例文
- “Historical records show the harsh living conditions endured by slaves on colonial plantations.”
- 歴史資料によると、植民地時代のプランテーションで奴隷が耐えなければならなかった生活環境は過酷だった。
- 歴史資料によると、植民地時代のプランテーションで奴隷が耐えなければならなかった生活環境は過酷だった。
- “The abolition of slavery in the 19th century significantly altered the socio-economic landscape.”
- 19世紀における奴隷制の廃止は、社会経済の状況を大きく変えた。
- 19世紀における奴隷制の廃止は、社会経済の状況を大きく変えた。
- “Interdisciplinary studies examine the psychological impact of slavery on successive generations.”
- 学際的な研究では、世代を超えて奴隷制度がもたらす心理的な影響について調査している。
6. 類義語・反意語と比較
類義語(Synonyms)
- “bondservant” (ボンドサーヴァント):やや古い概念で、契約による拘束の下に働く人
- “serf” (農奴):封建制度にもとづく、土地に縛られた農民
- “thrall” (奴隷、囚われ(の状態)):古英語に由来し、やや文学的
これらはいずれも「自由を奪われた(拘束された)人」を表す点で似ていますが、時代や制度・法的背景が異なります。
反意語(Antonyms)
- “master” (主人)
- “freeman” (自由民)
- “liberated person” (解放された人)
7. 発音とアクセントの特徴
IPA: /sleɪv/
- アメリカ英語・イギリス英語ともに大きな違いはなく、どちらも「スレイヴ」に近い発音です。
- アクセント(強勢)は語頭に置かれ、“_SLA_ve”と発音します。
- よくある発音ミス: “slab” /slæb/ や “slay” /sleɪ/ などと混同しやすいので注意しましょう。
8. 学習上の注意点・よくある間違い
- スペルとして “slabe” や “slav” としてしまう誤りがまれにありますが、正しい綴りは “slave” です。
- 同音異義語は特にありませんが、発音記号 /sleɪv/ と /sleɪ/(slay) が似ているので要注意です。
- 試験対策(TOEIC・英検)では、主に長文読解や歴史・社会問題の文脈で登場する可能性が高いです。比喩的な使い方(“slave away”)も語句問題で出題される場合があります。
9. 記憶に残るヒントやイメージ
- “S + lave” と分解して「助けを求める(?!)」と覚えるのはちょっと強引ですが、発音をイメージするために「スレイヴ=‘S’ (エス) + ‘lave’ (レイヴ)」という音の流れを意識するとつづりを間違えにくくなります。
- 歴史の授業などで「奴隷」として扱いが出てきたら必ずセットで“slave”/ “slavery”/ “enslave”の関連語を覚えるようにするとよいでしょう。
- 「be a slave to ~」という比喩表現を覚えておくと、日常会話や文章表現の幅が広がります。
以上が名詞“slave”の詳細解説です。人権や歴史に関わる厳粛な単語であるだけに、学習するとき・使うときは文脈と相手への配慮を忘れないようにしてください。
意味のイメージ
意味(1)
奴隷(どれい)
意味(2)
(奴隷のように)あくせく働く《+away》
意味(3)
(欲望・習慣・職業などの)とりこ,(…に)ふける人《+of(to)+名》,(他人のために)あくせく働く人